工繊大の塚本です.

In article <68b7601d-6909-4669-932c-0649cd8f1af8@gc3g2000vbb.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> まぁ書くとすれば
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop198_25__00.jpg
> と書けばいいのですね。

それはその通り. しかし, 証明としては不十分.
きちんと極限の定義に戻って示す必要があります.

> これを簡略化するために(a_n)_{n∈N}という風に円括弧を使ってあるのですね。

わざわざそんな記号を使わなくても,
文章で書けば済むことです.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__00.jpg

出鱈目ばかりですね. 意図すら不明.
 \prod_{n=1}^\infty (1 + a_n) が絶対収束するとは
 \sum_{n=1}^\infty a_n が絶対収束するということである,
ということを書きたかったのでしょうか.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__01.jpg

ここはまあ良い.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__02.jpg

複素関数入門の内容を前提とすれば,
 \prod_{n=1}^\infty (1 + u_n(z)) が絶対収束し,
正則関数になるという事実は良いが,
その理由として書いてあることは出鱈目.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__03.jpg

ここは出鱈目な理由の続きで読む価値なし.
掛け算と足し算位は区別しましょう.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__04.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__05.jpg

別に間違ってはいないが, 意味もない.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__06.jpg

余り意味のある変形は行われていませんね.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_12__07.jpg
> という具合に上手くいきました。

定理 5.3 から定理 5.12 が成立することは
それで明らかでしょう.

> p112の定義5.10
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/def5_10_p112.jpg
> を使えばいいのですね。

これは無限積が絶対収束するということの定義ですね.

> ところで無限積の定義についてですが

それは定義 5.9 に書かれています.

> 『∀n∈Nに対してa_n≠0)で∃!α∈C;α=Π_{n=1}^∞ a_nなら,
> Π_{n=1}^∞ a_nはαに収束すると言い,

それは駄目です. a_n \neq 0 でも
 \lim_{m \to \infty} \prod_{n=1}^m a_n = 0 となるなら,
 \prod_{n=1}^\infty a_n は収束するとは言いません.

> ∀n∈Nに対してa_n≠0)でα=Π_{n=1}^∞ a_nなるα∈Cが存在しない時は,
> Π_{n=1}^∞ a_nは振動すると言い,

普通「振動」などという用語は使いません.

> ∀n∈Nに対してa_n≠0)の時,α:=Π_{n=1}^∞ a_n=∞なら,
> Π_{n=1}^∞ a_nは∞に発散すると言い,

収束する場合以外は全て単に「発散する」と言います.

> ∃n∈N;a_n=0)の時,Π_{n=1}^∞ a_nは0に発散すると言う』
> で正しいでしょうか?

違います. 幾つか有限個の番号 n の a_n が 0 であっても,
十分大きな番号 n \geq N についてはいつでも a_n \neq 0 であり,
 \lim_{m \to \infty} \prod_{n=N}^m a_n が存在して
 0 でなければ, \prod_{n=1}^\infty a_n は収束すると言います.

それ以外の場合は単に「発散する」です.
 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_13__03.jpg

 " |z| \in R " ではなくて, |z| \leq R です.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_13__04.jpg

 (d/dz)(\log(\prod_{n=1}^\infty (1 - z^2/n^2))) と書いているものを
 (d/dz)(\prod_{n=1}^\infty (1 - z^2/n^2))/(\prod_{n=1}^\infty (1 - z^2/n^2))
に戻してはいけません.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_13__05.jpg
> ところで1/z+Σ_{n=1}^∞ 2z/(z^2-n^2)=πcot(πz)と変形できるのは何故でしょうか?

岩波講座 現代数学への入門「複素関数入門」神保道夫著
の 108 page, \S 5.2, 余接関数の部分分数分解 をお読み下さい.

> そして
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem5_13__06.jpg
> にてf(z)=Csin(πz)と定数Cが出てくるのは何故なのでしょうか?

  f'(z)/f(z) = \pi \cot(\pi z)

を満たす f(z) の一般解が f(z) = C \sin(\pi z) であることは
初等的な微分方程式の話ですね.

  (d/dz)(\log(f(z)) - \log(\sin(\pi z))) = 0

から \log(f(z)) = \log(\sin(\pi z)) + c  (c は任意の複素数)
ですが, これから f(z) = e^c \sin(\pi z) です.
 C = e^c としたわけです.

> あと,z=0でのfの微分係数f(0)'がπになる事からC=1を導き出しているようですが

 \lim_{z \to 0} f(z)/z = \pi だから, と書いてあります.

> どうしてf(0)'=πと言えるのでしょうか?

  \lim_{z \to 0} f(z)/z
   = \lim_{z \to 0} ((\pi z)/z) \prod_{n=1}^\infty (1 - z^2/n^2)
   = \pi \lim_{z \to 0} \prod_{n=1}^\infty (1 - z^2/n^2)
   = \pi \prod_{n=1}^\infty (1 - 0/n^2)
   = \pi

ですね.

> 一様収束⇒広義一様収束
> は成立つが逆は一般には成立たないのですよね。

はい.

> f∈Map(A,C)(但しA⊂C)が(A⊃)B上で広義一様収束とは
> 「∀z∈Bに対してB⊃∃F(z):閉近傍; fがF(z)で一様収束する」
> という意味ですよね。
> なのでf∈Map(A,C)(但しA⊂C)が(A⊃)B上で広義一様収束ではあるが
> 一様収束ではないとはどのように言えるのでしょうか?

 \lim_{n \to \infty} f_n(z) = f(z)  (z \in D) が一様収束ではない
ことを言うには, 
 \epsilon > 0 に対して, どんなに大きな自然数 N を取っても,
 N \leq n なる n と z_n \in D で,
 |f_n(z_n) - f(z_n)| \geq \epsilon となるものが存在する
ことを示します.

> でも広義一様収束ではあるのですよね?

広義一様収束となる領域 D は
一様収束となる領域 K_a の和集合 D = \cup_{a \in A} K_a
となっていて, \epsilon > 0 に対して
 N_a \leq n であれば, |f_n(z) - f(z)| < \epsilon  (z \in K_a)
が成立する自然数 N_a は a \in A ごとに異なっていて良いわけですが,

> 広義一様収束にどのような制約が付いたものを一様収束というのでしょうか?

一様収束なら, 同じ N で, 任意の z \in D に対して,
 N \leq n であれば |f_n(z) - f(z)| < \epsilon でなければ
なりません.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp