工繊大の塚本です.

どうも「等式」の意味, 使い方についての誤解がある
ように思われます.

In article <de4bc047-ff3c-457f-9d32-9e126cbeb6c0@z10g2000yqb.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> ここはgraph(∪_{g∈S'}g)=∪_{g∈S'}graph(g)を言わねばなりませんね。

 graph(∪_{g∈S'}g) = ∪_{g∈S'}graph(g) というのは
 chain S' の上限(それを ∪_{g∈S'} g と表そうとしている
わけですが)に対する「処方箋」を与えているものです.
証明すべきはその「処方箋」で確かに一つの写像が
(しかも全単射になるようものが)定義されるということです.
右辺が何か写像の graph になることを認めてしまっては
等号であることを言うも言わぬも意味がありません.
だから, 「言わねばなりませんね」という言葉を見た瞬間に,
ああ, この人は証明が出来ないな, という判断が
出来てしまいます.

> 「graph(∪_{g∈S'} g)が全単射のgraph ⇔
> もし(a,b),(a,b')∈graph(∪_{g∈S'} g)ならb=b'…(1)
> 且つもし(a,b),(a',b)∈graph(∪_{g∈S'} g)ならa=a'…(2)」
> ですね。

ここも同じことで, 全く分かっていないな, と判断されます.
示すべきは, ∪_{g∈S'}graph(g) が全単射写像の graph に
なっていることで, それを,
もし (a, b), (a, b') ∈ ∪_{g∈S'}graph(g) なら b = b' と,
もし (a, b), (a', b) ∈ ∪_{g∈S'}graph(g) なら a = a' とを
示すことで確認することが求められているのです.

 graph(∪_{g∈S'}g) = ∪_{g∈S'}graph(g) と等号で結ばれている
のであるから同じこと, と思ったら大きな間違いです.
この違いが分からなければ, 結局, 数学的な証明にならない
無意味な文字列を書き続けることになります.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp