安井@東大です。
引用の改行位置を変更しました。

Matsuyamaさん in <rFbTe.129$R62.35@news-virt.s-kddi1.home.ne.jp>,
>  ところで、私はこの度の解散の正当性に疑問を持ちます。解散しても、
> 「参議院」はそのまま存続しています。
>  今回、内閣提出の法案を否決した議会は「参議院」であり、「衆議院」
> は可決しています。
>  「解散」という政治様式の淵源を考えれば、解散して民意を問うべき議
> 会は「参議院」ではないでしょうか。

日本国憲法59条2項に
 「衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議
  院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律とな
  る」
という規定がありますので、“衆議院で三分の二以上の議席を獲得するこ
とを目的としての解散”という理屈も一応成り立ちます。


>  解散後、「参議院」で否決された同じ法案を再び提出して、「参議院」
> で可決した場合、解散前、「参議院」はどのような判断で法案を否決した
> のでしょうか。
        {中略}
>  簡単に思想を変える人は信頼できません。そして、そのような人に権力
> を委任できません。
        {中略}
> ”可決”あるいは”否決”は「政局」の問題ではありません。国民の問題
> です。

“小泉自民党が今次選挙を郵政民営化問題の国民投票にしようとしている”
旨の指摘をメディアなどでもしばしば目にしますが、仮にそのような意義
づけに説得力があるのならば、この選挙に小泉自民党が勝利した場合、そ
れは参議院議員にも無視できない影響力を持つでしょう。なにしろ、日本
国憲法前文にもある通り、国政は国民の信託に由来するものなのですから。
そうである以上、小泉自民党勝利後の行動の変更を「政局の問題」として
のみ論難することには若干の苦しさがあるように私には思われます。
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*  Freiheit  | 安井宏樹(YASUI Hiroki), jyasui@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp     *
*  Recht     | 東京大学大学院法学政治学研究科・比較法政国際センター      *
*  Einigkeit | (現代ドイツ政治,ヨーロッパ政治史)                        *