大変ありがとうございます。


> 代数学での「基底」の定義を誤解されているようです.
> (有限次元とは限らない) R 加群やベクトル空間 V の
> (有限集合とは限らない) 部分集合 A がその基底である
> とは, 勿論, A が一次独立であり, かつ,
> A が V を張っている, ということですが,
> このどちらの部分においても, A から有限個の元を
> 取り出して作った一次結合が用いられるのです. つまり,
>  A が一次独立
>  ⇔ A の任意の相異なる有限個の元 v_1, v_2, ... , v_N の
>     一次結合 k_1 v_1 + k_2 v_2 + … + k_N v_N が
>     零元になれば, k_1, k_2, ... , k_N は全て零である.
>  A が V を張る
>  ⇔ V の任意の元 v に対して, A の有限個の元
>     v_1, v_2, ... , v_N をとって, その一次結合
>     k_1 v_1 + k_2 v_2 + … + k_N v_N が
>     v = k_1 v_1 + k_2 v_2 + … + k_N v_N と
>     なるように取れる.

これは恥ずかしながら今まで知りませんでした。大変勉強になります。


> span(V×W) 自体がそういう有限和の全体であるので,
> そういうことです.
>  span(V×W) = (+)_{(v, w) ∈ V×W} R(v, w)
> であって,
>  Π_{(v, w) ∈ V×W} R(v, w)
> ではないのです.

span(V×W)は生成元の一次結合(もちろん無限和の一次結合など定義されてない)全体なのですね。
納得です。


>> a'∈C(a), b'∈C(b)ならa'≡a (mod T),b'≡b (mod T)で 合同の性質からa'+b'≡a+b
>>  (mod T)となるのですね。
> 合同の性質というより, 加群である T を法とした
> 合同を考えているから, です.

和の定義から[(a',a)]+[(b',b)]=[(a',a)+(b',b)]なので
a'+b'≡a+b (mod T)
と言えますね。


>> (0,0)modTは(v,0)や(0,w)を含むのですね。
> そうです. T を法として, 0 ≡ (0, 0) ≡ (v, 0) ≡ (0, w)
> です.
>> 代表元は異なってもやはり, 零元はあるのですね。
> そうです.

しっかり覚えておきます。


>>> 逆元は [-(v, w)] = [(-1)(v, w)] = [((-1)v, w)] = [(v, (-1)w)] = [(-v,
>>> w)] = [(v, -w)] ∈ V(×)W です.
>> もし,(v,w)modTの逆元が(-v,-w)modT∈V(×)Wなら [(-v, -w)] = [(-1)v, (-1)w)]
>> = [((-1)(-1)v, w)] = [(v, w)]より (v,w)modT自身が逆元になってしまいますよね。
> ですから, 一般には [(v, w)] の逆元は [(-v, -w)] では
> ありません.

そうでした。[(v,w)]の逆元は[-(v, w)]であって[(-v,-w)]ではないのでした。


> ですから, それよりも色々なものがあります. そうでないと
> T が和について閉じません.
> 以上, 宜しいでしょうか.

冒頭の基底の定義で漸く納得できました。

まとめますと

Rを可換環としV,Wを自由左R加群とし,M:=span(V×W)とする。

Mの元はV×Wの元の(有限)一次結合として表される。
左R加群とは線形空間のスカラーが体の元から可換環の元に変
わっただけだと思います。
自由とは基底を持つという意味です。


T:=span{(x_1+x_2,y)-(x_1,y)-(x_2,y),(x,y_1+y_2)-(x,y_1)-(x,y_2),
(rx,y)-
(x,ry)}
(但し,x_1,x_2,x∈V, y_1,y_2,y∈W, r∈R,つまりTの生成元はMの元)
と定義し,
V(×_R)W:={{(x,y)∈span(V×W);(x,y)≡(v,w) (mod T)};(v,w) ∈V×W}

において和を

{(x,y)∈span(V×W);(x,y)≡(v,w) (mod T)}+{(x',y')∈span(V×W);(x',y')≡(v,w)
(mod T)}
:={{(x,y)+(x',y')∈span(V×W);(x,y)≡(v,w) (mod T)}
と定義するとV(×_R)Wはこの和の関して群をなす。
この時,V(×_R)WをR上のテンソル積という。
V(×_R)Wは単にV(×)Wと書いたりもする。

で,実際に群になる事を示してみます。
(x,y)modT,(x',y')modT,(x'',y'')modT∈V(×)Wを採ると
(i) 結合法則
((x,y)modT+(x',y')modT)+(x'',y'')modT=(x,y)modT+((x',y')modT+
(x'',y'')modT)を満たす事は明らか。
(ii) 零元の存在
V(×)Wの零元として(0,0)modTが採れる。
これが零元であることを確かめてみると
(0,0)modT+(x,y)modT=((0,0)+(x,y))modT(∵テンソル積の和の定義)
=(x,y)modT (∵(0,0)はspan(V×W)での零元?)
うーん,(0,0)がspan(V×W)の零元であることはどうやって言えますでしょうか?

(iii) 逆元の存在
(x,y)modTの逆元として(-x,y)modTが採れる。
これが逆元である事を確かめてみると
(x,y)modT+(-x,y)modT=((x,y)+(-x,y))modT
うーん,これもこれら=(0,y)modTに持っていけません。