工繊大の塚本と申します.

# <d5fca405-58c9-4ee2-bf11-54d9c62f4d59@o40g2000prn.googlegroups.com>
# <cd700916-430e-4fed-9829-7759bdf7d7d5@s9g2000prm.googlegroups.com>
# <7521a351-6f8d-4511-b214-42b494c3a405@k36g2000pri.googlegroups.com>
# は同じ内容ですね.

In article <1b1ee5dd-6e63-452b-aeb1-c88bc41e201b@v39g2000pro.googlegroups.com>
cchikakoo <cchikakoo@yahoo.co.jp> writes:
> (v_1+v_2)(×)w=v_1(×)w + v_2(×)w
> という等式の証明についての質問です。
> 
> Rを可換環としV,Wを自由左R加群とし,M:=span(V×W)とする。
> 左R加群とは線形空間のスカラーが体の元から可換環の元に変
> わっただけだと思います。
> 自由とは基底を持つという意味です。

# V, W が自由であることは差し当たり利いてきません.
# R は 1 をもつとしていて, span(V×W) は V×W の
# 全ての元を基底とする自由左R加群ですね.
 
> T := span{ (x_1+x_2,y)-(x_1,y)-(x_2,y),
>            (x,y_1+y_2)-(x,y_1)-(x,y_2),
>            (rx,y)-r(x,y),
>            (x,ry)-r(x,y) }
> (但し,x_1,x_2,x∈V, y_1,y_2,y∈W, r∈R,つまりTの生成元はMの元)
> と定義し,
> 
> V(×_R)W := { {(x,y)∈span(V×W);(x,y)≡(v,w) (mod T)} ;
>               (v,w)∈V×W }
> をR上のテンソル積という。

 span(V×W) の元は (x, y) (x ∈ V, y ∈ W) と書ける
わけではありません.

  Σ_{i=1}^N r_i (x_i, y_i)  (N: 自然数, r_i ∈ R, x_i ∈ V, y_i ∈ W)

の形のものの全体です. (N が 0 なら, 零元を表すものと考え
る約束もあります.)

> V(×_R)Wは単にV(×)Wと書いたりもする。
> 
> {(x,y)∈span(V×W);(x,y)≡(v,w) (mod T)}をv(×_R)wまたは
> 単にv(×)wと書き,(v,w)のテンソルという。
> つまりテンソルは類の事だと思います。

各類を構成するのは span(V×W) の元ですから,

  v(×)w = { u = Σ_{i=1}^N r_i (x_i, y_i) ; u ≡ (v,w) (mod T) }

と書くべきでしょう. T を法とするときの, (v, w) を含む類を
 [(v, w)] と書くならば, v(×)w = [(v, w)] であるというのは
その通り.

  V(×)W = { [u] ; u ∈ span(V×W) }

です. V(×)W の左R-加群としての構造は, span(V×W) の
商加群として入るものですね.

> 定義から
> (v_1+v_2)(×)w=v_1(×)w + v_2(×)w
> v(×)(w_1+w_2)=v(×)w_1 + v(×)w_2
> (αv)(×)w=v(×)(αw) =α(v(×)w)
> 
> が成り立つとあったのですが

例えば, 一番最初の式は

  [(v_1+v_2, w)] = [(v_1, w)] + [(v_2, w)]

ということです. 一般に類の和が又類になることを既に
知っているとすれば, これを示すのに必要なことは,
 span(V×W) の元 (v_1, w) + (v_2, w) が
類 [(v_1+v_2, w)] に入ること, 即ち,

  (v_1+v_2, w) ≡ (v_1, w) + (v_2, w)  (mod T)

となることだけです.

# [(v_1, w)] + [(v_2, w)] は
# [(v_1, w)] の代表元 (v_1, w) と
# [(v_2, w)] の代表元 (v_2, w) との 
# span(V×W) での和 (v_1, w) + (v_2, w) が属する類
# として定義されます.
# 又, 類 [x] と類 [y] が一致するには y ∈ [x] で
# あれば十分です.

> とりあえず
> (v_1+v_2)(×)w⊂v_1(×)w + v_2(×)wを示してみようと思い
> まして

合同類についての一般論, 商加群についての一般論等と
このテンソルについての話とは切り分けて議論する方が
楽だと思います.

> (v_1+v_2)(×)w∈V(×)Wを採ると,
> (v_1+v_2)(×)w={(x,y)∈span(V×W);(x,y)≡(v_1+v_2,w) (mod T)}
> と書け、

  (v_1+v_2)(×)w = { u ∈ span(V×W) ; u ≡ (v_1+v_2,w) (mod T) }

ですね.

> ∀(α,β)∈{(x,y)∈span(V×W);(x,y)≡(v_1+v_2,w) (mod T)}

 (α,β) の形であるとは限りません.
 u = Σ_{i=1}^N r_i (x_i, y_i) の形です.

> をとると
> (α,β)-(v_1+v_2,w)∈T (∵合同の定義)
> でTの定義から
> (α,β)-(v_1+v_2,w)=a_1(x_1+x_2,y)-b_1(x_1,y)-c_1(x_2,y)+d_1(x,y_1+y_2)-
> e_1(x,y_1)-f_1(x,y_2)+g_1(rx,y)-h_1r(x,y)+j_1(x,,ry)-k_1r(x,y) …(ア)

 T の元を書くなら,

    Σ_i a_i ((x_{i1}+x_{i2}, y_i) - (x_{i1}, y_i) - (x_{i2}, y_i))
  + Σ_j b_j ((x_j, y_{j1}+y_{j2}) - (x_j, y_{j1}) - (x_j, y_{j2}))
  + Σ_k c_k ((r_k x_k, y_k) - r_k (x_k, y_k))
  + Σ_l d_l ((x_l, r_l y_l) - r_l (x_l, y_l))

としないといけません.

もっとも, 

  (v_1+v_2, w) ≡ (v_1, w) + (v_2, w)  (mod T)

を示すのは,

  (v_1+v_2, w) - (v_1, w) - (v_2, w)

が T の生成元の一つなのですから, 自明です.

# ここは, 河野さんの記事に書いてありますね.
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp