In article <bhahdt$j6u$1@ns.src.ricoh.co.jp> ohta@src.ricoh.co.jp writes:
>逆に“対比がある”場合には「つぎ/そのつぎ」方式で
>も誤解を招く可能性が(関東では)あると思います。
誤解を招く可能性はあるでしょうが、
誤解の質というか、影響力に大きな差異があるような気がします。

表示のルールを知らない人が、いきなり「そのつぎ」という表示を見たら、
「エ、どのつぎ?」と悩むのではないかと思います。
この「悩ませる」という作用が重要だと思うのです。
悩ませることによって、ルールを認知しようとする動機を与え、
正しい(=表示者の意図通りの)理解へ導く効果があると思います。

>たとえば「こんどの電車に乗る?」と聞かれて、「いや、
>つぎのに乗る」といったとき、表示が「つぎ/そのつぎ」
>であれば、「そのつぎ」に対応する電車を「つぎの」で
>表しているわけですから。
というような状況でも、
この「悩ませる」作用によって、
「そのつぎ」の「その」が、隣にある「“つぎ”の」、
即ち自分たちの発語における「“こんど”の」に対応していることに
気付く可能性は高いでしょう。

これは、私が以前に書いた、
In article <bgnf7j$m4n$1@bluegill.lbm.go.jp> I write:
>「こんど/つぎ」は日常用語で、
>普通に日本語を話す人なら、その意味を理解して「納得」してしまう。
>その結果、誤った理解をしていることに気付かない可能性が高いのです。
(中略)
>一方の「先発列車」「次発列車」は、日常用語で無いがゆえに、
>言葉を知っている人なら基本的には必ず「厳密に定義された」用語として
>理解していると考えられ、案内表示との齟齬を来すことは無いと思われるのです。
と同じ理路です。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp