Re: BSE検査の緩和
【再確認「科学Vol66 1996,6 397頁より抄】
プリオンはタンパク質だけの微小増殖性病原体である。
Prusiner(プルシナー)によって1982年に命名された。
命名以前はスクレイピー ウイルス、scrapie virus
と呼ばれていた。感染後長い年月を経て脳が海綿状に成る。
普通ウイルスはその粒子の中にDNAまたはRNAの核酸を
遺伝子として含んでいる。プリオンは核酸を含まず
タンパク質だけで病原性を示す。これは1967年
(スクレイピーのとき)に明らかにされていた。
どうしてタンパク質だけで感染性と増殖性を持ちうるのか、
Prusinerらによって明らかにされた。
プリオンに感染した細胞は、細胞自身が生産している
プリオン類似タンパク質を、プリオンの触媒作用によって、
感染力のあるプリオン様の高次構造に変える。その結果、
プリンが見かけ上増殖して周囲の細胞に感染を繰り返す。
【感染する分子量 実験】
細胞の持っているプリオンと類似のタンパク質は、
PrPcという動物の脳に発現している糖タンパク質である。
(スクレイピーの場合、分子量33〜35kDaキロダルトン)
スレイピーのプリオンは、分子量27〜30kDaのシアル酸を
含む糖タンパク質でPrPscと呼ばれる。〜略〜
プリオンによって高次構造を変化させたPrPcは、分子量
33〜35kDaのPrPscとなり、さらにタンパク質分解酵素で
処理すると分子量27〜30kDaのPrPsc、つまり感染性の
プリオンとなる。一方正常なPrPcはタンパク質分解酵素で
分解されてしまう。PrPcとPrPscのアミノ酸配列は同じで
あるから上記実験結果はPrPscの触媒作用でPrPCの高次構造
がPrPscに変えられたことを示す。〜略〜
【分子量キロダルトン】
細胞内の33kDaが多いのか少ないのかは私には判りません。
多分極少量でしょう。
【クロイツェルヤコブ病CJD】
イギリスのCJD研究所でのCJD感染者から非典型的新種CJDの
登場によってBSEとの関連性を示唆され、イギリスSEACは
CJDとBSEの関連を示唆する声明を発表した。
【ヒトへの感染】
しかしBSEの牛の肉や臓物を摂取した人の脳に、プリオンが
どのように侵入するかは不明である。また医薬品や化粧品
に使われているコラーゲンや、ゼラチンなどにプリオンが
存在するときにどうなるかも不明である。
【水平感染】
BSEの脳抽出液を濃縮してマウスに摂取すると感染する事は
確認されている。これは種を超えた水平感染することを
意味している。
【病原体】
BSEの病原体は検出はされていない。(今は検出されているか?)
【政府対応】
イギリスでは1989年には動物飼育における贓物使用の
禁止令が出ている
当然日本政府も知りうる立場にある。その後肉骨紛を使い
続けていることで狂牛病危険国上位にランク付けされ
慌てた農水【族】は必死にランク上げするようみっともない
恥さらしをしたことはご存知のとおり。また再三の
イギリスからの勧告を無視し続け、その結果国内の対応が
遅れて狂牛病が発生したことも周知のこと
【疫学的措置】
病原体が確認されないとか因果関係が確認できないという
ことで疫学的に対応が遅れて被害が悲劇的に発生増加した例は
枚挙に暇が無いということはご存知のとおり
水俣病では熊本大学の献身的な努力・対応にも関わらず起きました。
薬害エイズ問題では安部教授はしつこいぐらい他の医療・研究
機関に追加試験を依頼し何れも危険という報告を無視して
被害を拡大しました。森永ヒ素ミルク、サリドマイド、
スモン病、その度に2度と繰り返さないとしています。
今回また、繰り返すことは充分考えられることです。そして
100年後になんて馬鹿なことをやったのかと反省されても
遅いです。それよりも10年後に「アメリカ牛を輸入しても
問題は無かったですよ」というほうがどれだけ優れているか
Sampo wrote:
> tetsutaroさんの<cl5vad$5ki$1@news01.point.ne.jp>から
>
>>>>>>>本当に微量で大量に複製されるってことなら、日本でも、大量の
>>>>>>>BSE牛が発見されいるはずです。
>>>>>
>>>>> そういう想像だけでものを言おうという姿勢はあまり科学者として
>>>>> 褒められたものではありませんね。
>>>>
>>>>え?
>>>>
>>>>日本でのBSE牛の発見率が十数頭ってのは事実ですよね。
>>>
>>>正確には14頭、事実です。
>
>
> 私は頭数を問題にしてはいませんが。
>
> 微量でも感染すると確認したという話も聞きませんが、
> 微量なら感染しないという報告もまたありませんよね。
> それを推測だけで「でも、問題は異常プリオンの蓄積なんだよね。」
> と断言してしまうのは、議論のミスリードを狙っているように見えますが。
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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