# フォロー先はfj.soc.lawのみ。

Sun, 6 Feb 2005 21:32:07 +0900,
in the message, <42060e4d$0$974$44c9b20d@news2.asahi-net.or.jp>,
"Minoru Nagai" <@m_nagai@d5.dion.ne.jp> wrote
>●(関係ありませんが・・・)特許の利用目的は以下の2つがあります。
> (1)  実施料の徴収を目的としたもの
> (2)  実施させないことを目的としたもの
>
> 他人にさせない、(2)の目的のものは意外と多かったりします。

# 確かに関係ない
 (もっとも他の部分も本論からは関係ない話ばっかだが。)。

はっきり言って間違い。
特許の一番の目的は「自分だけが独占的に実施すること」。
これが抜けた時点で間違い。

特許権とは「発明者が独占的に実施する」積極的効力が本質でありその裏返し
として「他者の実施を排除する」消極的効力を有する権利と考えるのがおそら
く通説。
つまり「自分だけが独占的に実施する」ことこそが本質にして最大の目的で
その反射的効力が「他者に実際させない」こと。
だから、他人に実施させないための特許は本来の目的と表裏をなすものでそれ
が多くても別に「意外」でも何でもありません。

むしろ「他人に実施させて金を取る」というのは、「そういう利用ができる」
だけであって特許権の本質から言えばおまけでしかありません
(所有権の本来の目的が「他人に貸して賃貸料を取ることではない」のと同
 じ。
 だけど賃貸することもできるししたって構わない。)。

確かに、実務系の人間は他者にライセンスするという経済的用法を重視するよ
うだけど、それにしても「自分が独占実施する」という点を無視している人は
いない。


なお、自分では実施しないのに特許だけ取るといういわゆる防衛特許もありま
すが(全特許の半数を占めるという話もある。)、それは「自分で実施する特
許を実効有らしめるために類似の特許を押さえておく(例えば同じ効果の得ら
れる複数の特許についてすべて特許登録した上で一番都合のいいものだけを実
施する。)いわゆる衛星特許」とか「範囲の広い特許と狭い特許を同時に押さ
えておくことで広い方が万一無効となっても狭い方は確保できる」とか「当面
実施予定がなくても将来のため念のため取っておく」とかの理由で、突詰めれ
ば「特許を独占的に実施するため」。
「単純に他者の実施を妨害する目的」で取っているわけではありません。
そんなの特許料の無駄遣い。
他者に実施させないのはあくまでも「自分が実施する利益を確保する目的」が
あるからです。

……審査請求制度がなかった1970年以前には確かに先願要件つぶしの防衛出願
だけで目的を達せられるが制度上必然的に特許になってしまったというのもあ
るけど、今では防衛出願だけでは特許になることはない。


で、そうやって特許を取ったが特に実施を制限する必要がなかったり結局使わ
なかったりしたいわゆる休眠特許について塩漬けにしておくのは特許料が掛か
るばかりで何の得にもならないので有効活用する(譲渡したり実施権設定した
り。)のが最近の特許ビジネスが台頭してきた背景。
もし「ただただ実施させないため」だったらこんなビジネス成り立たないね。

ついでに言えば、休眠特許にして放っておくと制度上は裁定実施権が認められ
ることもありうる(実際にはまずない。確か前世紀には裁定は一つもな
い。)。

……とにかく特許法の入門書でも何でもいいからまずは読んでみたらどうです
か?
(もっとも法律論を論じる気はなさそうであるが。
 あれば、フォロー先をきちんと指定するはず。)。

>●プログラムは通常特許にならないと言うことでありますが、特許法で言う
> 「発明」には以下の2つの条件が必要です。
> (1)  自然法則を利用していること
> (2)  高度な技術的思想の創作であること

# なんか日本語が変だな。

法律論としては不正確だけどまあいいでしょう。

# 参考に言うと、法律論としては、
 (1)自然法則を利用したものであること。
 (2)技術的思想であること。
 (3)創作であること。
 (4)高度であること。
 という風に「4つに」分けます
 (もっとも「高度」に関しては実用新案との区別のために書いてあるだけで
  実際には進歩性の問題と捉える。)。

これも本筋の訴訟とは「関係ない」。

で、「プログラムは通常特許にならない」というのは「結論としては」間違い
ではないけれど、その根拠が「発明に当らないから」と言うのは、「法律論と
して」理論的にも実務的にも誤り
(事実認識としても誤りだがそれは後述。)。

特許になるかどうかは「要件を充たすか充たさないか」だけ。
そしてそれは「プログラムだろうがそれ以外だろうがまったく同じ」
(要件該当性の判断基準が多少違うということはある。
 参考として特許庁の審査基準を見よ。)。
そこで「実際に充たさない例が多い」としてもその理由は、「進歩性がない」
「産業上の利用可能性がない」など他の要件を充たさないからであって「プロ
グラムが発明でないから」ではない。

> この内、プログラムは通常(1)の条件を満たすことが出来ないので、特許にな
>りません。この条件を満たせば「発明」となり、特許を受ける権利があります。

# 特許法の発明に該当するからと言ってそれだけでは「特許を受ける権利」な
 どありません。
 特許の要件知ってますか?
 つーかさ、読んでいると「発明」だけで特許を論じようとしているような気
 がするんだけどね。
 発明であるかどうかは特許の前提だけどそれだけで特許を説明しようなん
 て、どだい不可能。
 と言うか、発明であるかどうかよりもそれ以外の要件論が実際には問題で
 あって、発明なんかに拘泥している時点で特許法をまるで理解していない
 のが明らか。
 ああそうだ、念のため言っておくけど、「特許」と言うのが「特許法に基づ
 く制度」である以上、「特許」を論じるならまがりなりにも「特許法を理解
 しているの」のは当然のこと。

特許法における発明の要件を充たさなければ特許が取れないのは「プログラム
に限りません」。
特許法における発明の要件を充たせば特許が取れる可能性(他にも要件がある
からね。)があるのは「プログラムも同様です」。

プログラムを他の発明と区別する理由は「特許法上は」ありません。
プログラムであっても自然法則を利用することが可能である以上、プログラム
を発明から除外することは「特許法の理解としてまったくの誤り」です。
プログラムだからということを殊更に問題にするのは「特許法をまるで理解し
ていない」ゆえと言わざるを得ません
(確かに実務的には、要件との整合性とそこから出てくる審査基準の都合で、
 プログラムの場合特有の議論はあるが、それはプログラムが特許の対象にな
 ることが前提の話。)。

そして「プログラムは'通常'自然法則を利用していない」というのは、現行特
許法理論、特許実務あるいは常識的事実認識から言ってまったくの誤り。
例えば制御プログラムは、「通常でない」プログラムでもなんでもありません
が、自然法則を利用しているのは極普通のことです。
例えば化学法則を無視して化学反応を利用した機器の制御ができると思います
か?

> 実際にプログラムや何かの方法を特許にしたい時はどうしているかと言いま
>すと、物質として存在している固有のものに関連付けることでこの条件を満た
>します。例えば、特定の装置を制御するためのプログラムとして申請する、特
>定の物(物質として存在する物)を扱う方法として申請します。

現行法理論および実務における審査基準からして誤り。

一体いつの話をしているのか知りませんけど、「プログラムを記録したメディ
ア」は97年から記録媒体クレームが認められているのでハードと一緒ではなく
ても特許登録できます
(これは汎用ハードを利用するソフトウェア開発メーカーが自社のソフトウェ
 アを特許登録できるようにするため。)。
近年の改正ではさらにメディアに記録していなくても(具体的にはネットワー
クで配布する場合。一応ここではメディアを物理的な記録媒体と捉えてネット
ワークとは区別している。)
特許登録を認めています。
「ハードと一緒に登録することもできる」からその方がいいのであればそれで
もいいけど、プログラムだけで特許登録するしたって全然構いません。
法律論としてはこれだけ。

なお、現行の特許審査基準においてプログラムが実際にハードウェアで動作す
ることを要求する理由は、「実施可能であることを示すため」。
実施可能でないと産業上の利用可能性という要件を充たさないので特許が取れ
ません。
しかし、これは別に、ハードと一体でなければ発明にならないからではありま
せん。

> プログラムが特許として無条件に認められるような記事がありましたが、

読解としてまったくの誤り。
誰もそんな寝ぼけたことは言っていません
(判決文と条文だけじゃなくて他人の投稿すらきちんと読まないのか……。
 って言うか、読「め」ないのか?
 もしかすると話をすり替えようとしているだけかも知れないけどね。)。

そもそも「無条件」に認められる効果なんて法律上まずありません
(まあ人であればっていうだけの人権くらいかね。
 なお、人であることが条件になってはいるけど、それはプログラムであ
 ればというのに相当するので、それ以下の点では「無条件」。
 尤も、厳密なことを言えば、国籍の有無などによって保障の範囲が変わって
 きたりもするので本当に「無条件」か?とは言えるけどね。)。

著作権だってプログラムに無条件に認められるわけではありません
例えば、

main()
{
        printf("Hoge\n");
}

このプログラムは著作権の要件を充たさない(端的に言えば、誰が書いても同
じようになる=創作性なし。)ので著作権はありません
(mainの前にintをつけるか、()にvoidを入れるかってのは差を生じな
 い。)。
知財専門でないと弁護士でも間違う人がいるけどね。

法律上の要件を満たさなければ法律上の効果が発生しないのは当り前です。
効果の発生を論じる際には「要件を充たせば」という前提であるのは当り前で
す。
当り前だから、特に必要がなければ誰も一々断らないだけです。
そして、特許法上の『発明』の要件を充たさなければ発明にならないのは、
「プログラムに限った話ではありません」。

特許法における発明の要件を充たさなければ特許が取れないのは「プログラム
に限りません」。
特許法における発明の要件を充たせば特許が取れる可能性(他にも要件がある
からね。)があるのは「プログラムも同様です」。

# どうも特許法を理解する以前に理解すべきことがありそうだな。

>2条3項は「実施」を規定するもので、「発明」を規定するものではありませ
>ん。

それが何か?
それ自体は確かですが、それは「プログラムが特許法における物の発明になら
ない」ということをまったく意味しません。
むしろ、「プログラムが特許法における物の発明たりうる」ことを明らかに
するために、2条は「発明がプログラムの場合の」実施を明示した規定になっ
ているのです。
発明にならないのなら「実施」について規定しても全く無意味です。

# これが解らないとすれば、常識または論理性がないということだからもう手
 の打ちようがない。

ってーかプログラムが物の発明に当ることを明示するために平成14年にわざわ
ざそういう風に改正したもの。
これは入門書レベルで書いてある程度の話。

> この特許にならうと、ほとんどのGUIが特許として認められそうな気がするの

# ああ、やっと関係ある話が出たよ。

気のせい。
根拠がまったくありません。

>ですが。これからのGUIデザイナーは特許に詳しくなくてはいけない時代になっ
>たということなのでしょうか。

それが何か?
発明をする人は、多かれ少なかれ特許権侵害の危険があるのはGUIを創る人に
限った話ではありません。
GUIを創る人だけ特許権に縛られないとする理由がない以上、GUIを創る人も
「そのほかの発明をする人と同様に」特許権に縛られるだけのことです。

だから「特許権にかかる何かを創る人は特許に留意しなければならない時代で
ある」というのは間違いなし。

……まあ正直言えば、「何を今更」ですけどね。

> 私にはこの特許(1ページではなく、6ページの請求項)が自然法則を利用し
>ているようには見えないのですが・・・。

自然法則を利用しないで「表示画面に表示させ」ることはできません。
お終い
(まあ「機械なら自然法則を利用している」というのは安易だという話は確か
 にあるんだけどね。
 あるんだけど、それは「プログラムだから自然法則を利用していない」とい
 うのは安易だというのと同じ程度の話。
 そして現行の審査基準では「機械だから直ちに自然法則を利用している」と
 は判断しない。
 でも当該特許は「当時の」審査基準の話だからね。)。

# あれが特許性を否定されるとすればそれは進歩性の要件の方だろう。
 「自然法則を利用していないから発明と言えない」なんて理由じゃない。
 本件は、発明に当るかどうかなんて「まったく問題になってない」。

>●日本では、審査官が認めれば特許になります。

で、それが何か?
そんなの日本だけじゃないでしょう
(少なくとも特許法もろくに理解しているとは思えないどこの馬の骨とも知れ
 ない人間であっても「おかしい」と言う人がいれば特許が取れないなどとい
 う制度にするよりは遥かにましでしょう。)。

大体、これは、「日本では裁判官が有罪の判決を出せば有罪になります」と
言っているのと大差なし。
一定の権限を有する国家機関の判断により一定の法律上の効果を生じるという
制度はごく普通のもので、特許だけ特別に問題にする理由がありません。

>  過去に全く同じ特許があっても、既存技術であっても、審査官が認めれば
> 特許になります。認められた特許は裁判で無効にならない限り有効であり、

# 審査官が気づかないで特許登録を認める査定をすればね。
 一体それがどの程度あると言うのか。

それが何か?
そうしなければ法的安定を図れません。
裁判だって裁判官が誤った判決を出しても確定してしまえば(当然無効となる
のでない限り)完全に有効な判決になります
(確定しなくても一定の拘束力がある。
 先日法定刑を上回る求刑を受けて法定刑を上回る判決を出した例があった
 が、期日内に訂正しないと上訴で取消さない限り判決として有効。)。
それと同じ。
公権的判断を安易に変更していては、一体何に従えばいいのさ?という話にな
るだけです。
人間が判断する以上間違いはありうるけど、間違ったからといっておいそれと
変更を認めれば却って混乱を招くだけです。

ちなみに日本では「裁判では特許は無効になりません」。
特許の無効は特許庁が行う行政行為としての「特許無効の審判」によるので
あって裁判所は無効の判断を(少なくとも形式的には)できないというのが判
例の立場。
無効審判請求の審決に対しての異議申立ては東京高裁にしますが、そこで審理
の対象となるのは特許自体ではなく審決。
無効請求を拒絶する審決取消の判決が出ても改めて審判官が特許無効の審決を
しなければ特許は無効となりません。
これが何を意味するかと言うと、取消判決の後で新たな事情が判明した場合、
審判官が再度無効請求拒絶することはありうるし、それに対して取消訴訟を提
起しても、その事情によっては取消請求を棄却する判決が出ることもありうる
ということ。
つまり、あくまで審理の対象は「審判官の判断である審決の是非」であって
「特許権そのものではない」。

……だから本件訴訟で「無効原因が明白であるから『権利濫用』」という表現
をしているのですよ。
裁判で無効にできるのなら端的に「無効である」と言えば済む話です。
無効な権利に「濫用」など観念できません。
あくまでも「無効原因が明白だから無効審判によって無効となるべきものであ
るが無効審判を経ていない以上、形式的には有効であり、ただ、無効となるの
が明らかな権利を行使するのは法律上是認できないから濫用である」というこ
と。

なお、独禁法上、特許の取消という制度があるがこれは「無効」とは違う。


ちなみに東京高裁における特許無効審判の取消訴訟により特許無効となる確率
は実に8割なんだそうだ。
これは、特許無効の審決が是認されることが多く、特許無効請求拒絶の審決が
取り消されることが多いということ。
そうなる事情はいろいろあるみたいだけど、どうも特許庁と東京高裁の判断基
準が違うことが大きいらしい。
もしかすると本件でも控訴審で東京高裁が濫用を認定しないとも限らないかも
ね。

> 無効になっても有効であった期間に徴収した実施料の返却は行なう必要があ
> りません。

それが何か?

まず法律上はそうと決ってはいません。
実務的には実施権設定契約に「無効になっても返還しない」という不返還条項
が入っているから返す必要がないだけであって、法論理的必然の結論ではあり
ません
(尤もこの不返還条項が一方当事者に著しく不利で公序良俗違反で無効となる
 ことがある可能性は否定できない。
 当該条項の効力を認めたと思しき判例(東京地判昭和57年11月29日)はむし
 ろ、当該条項の無効主張を否定した反射的効果として効力を認める結果に
 なっただけとも考えられる。
 まあ「暇があったら」確認します。
 って言うかさぁ、正直言って、それだけの手間隙をあたしが割く義務はもち
 ろん義理もないのは当然としても、心情的にも「判例とか条文とかをきちん
 と読んでるかも怪しい上に自分で文献調べようって意思も感じられない。そ
 もそもフォロー先指定からして法律的な議論をしようという気すらないのか
 もしれない。単に自分の思い付きをネットニューズにばら撒きたいだけとし
 か思えない」ような相手のためにそんな労力割くのはあほらしいのだ。
 相手なんかどうでもよくて自分の興味だけのために労力を掛けて調べてもい
 い、あるいは読者一般の便宜のためという気になればそれでも調べるけど、
 生憎今はそれほど暇じゃないしね。
 半年くらい待ってくれれば「忘れなければ」調べることもあるかもしれな
 い。)。

不返還条項がない場合に返還義務があるかどうかについては、両説あります
が(判例はおそらくない。)、本来的には以下の通り考えるべき。

特許が無効になれば特許は「遡って消滅」(特許法125条。)します。
つまり無効になれば「有効であった期間」はなくなります。
遡って消滅した以上、特許が有効であるという前提での実施権の対価として得
た利益は遡及効についての原則に従って不当利得となり返還請求権の対象にな
るというのが法論理的帰結です
(ただし、有効を前提とした確定裁判の効力については理論上一考の余地あ
 り。
 通説的には再審事由に当ると解するつまり損害賠償を支払っていれば再審に
 より原裁判を取消した上で不当利得として返還請求できる。
 ……尤もそれなら実施料も返還を認めていいとはずであるが。)。

ただし、特許が無効だったという主張を後からするのであれば、そもそも無効
審判請求をしておくべきであり、契約の前提となる権利関係の有効性を問題に
せずにおきながら後でそれを言い出すのは信義則違反と考えることもできま
す。
そうすると、本来返還義務があるがその請求は信義則違反でできないというこ
とになります。

前出の判例は、「無効審判請求が出ていることを知りながら不返還条項のある
実施権設定契約を締結した例で、無効審判が確定した後でした実施料返還請求
を否定した」ものですが、これがどういう理由で否定したかは未確認。
もしかすると信義則を使った可能性もあります。
まあ「暇があったら」調べます。

# ちなみに和解の前提となった実用新案が無効となった場合の和解無効を理由
 とする不当利得返還請求の訴えは、請求棄却した判例(大阪地判昭和52年
 1月28日)あり。

大体、

>  過去に全く同じ特許があっても、既存技術であっても、

なんて代物は「無効審判請求すればいい」だけです。
もともとそんなお粗末な特許は滅多にないし仮にあっても確実に無効の審決が
出ます。
出なくても取消訴訟で取消の判決が出ます
(出ないとすれば請求人が相当あほだということ。)。
それをしないで実施権設定契約をして実施料払ったなんてのは「自業自得」。
自らの愚かさを呪うべき。


……ちなみに、有効だったときに払った特許料を国から返してもらえるのか?
というのは審決確定後の分に限り返すという「特別の規定」があります。
これは、一応有効だった状態によって利益を受けていることもあるからという
趣旨
(爾後無効になっても、有効のときに有効を前提として行った行為は違法とは
 限らない。
 特に特許権に基づく差止め請求・損害賠償請求等は基本的に適法。
 ただし、侵害者の取引先に対する「権利侵害だから取引するな」とかいう警
 告は、実用新案の事例で違法という判断が出たものがある。)。

逆に言えば、特別の規定がないところは一般則に戻って返還請求できると考え
るべきでありますが、少々古いが青林書院の注解特許法[第三版]は「消極説を
採る」と言っています
(ただし理由を書いていないので根拠不明。)。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp