いいじまです。

> >一つの事象に対して、真実(あるいは正義)は一つしかない、と思ってらっしゃ
> >るのですか?
> 
> 真実は1つで事実は1つではないのではないでしょうか?(^^;

これは違います。

まず客観的事実、たとえば、この事例で言えば
        a)裸踊りを求められ、拒否した
        b)入部を拒否された
        c)大会に参加できなくなった
は、判決書では通常、「(当事者間に)争いのない事実」と記載されます。

「争いのない事実」があるってことは逆に「争いのある事実」があると言うこと
ですが、今回は民事ですから、当事者双方の出した証拠のうち、どちらのほうが
真実味が高いかを裁判官が判断して判決を決めます。

あるいは、たとえ真実であっても、ルールに反した証拠の出し方をしたら、その
証拠は不採用です。たとえば民事であれば訴訟引き延ばしのために、最初から出
すべき証拠をあとから小出しにしたら現行法では却下されますし(東京地裁平成
2年(ワ)第5678号他3件、H12.3.27判決;新民訴法では判決が逆転するぞと明記
してあります)、民事・刑事を問わず、真実を得るためであっても違法な方法で
集めた証拠は不採用です。

そして、上記 a)、b)、c) の因果関係については、b)→c) は明らかですが、
a)→b) に因果関係があるかどうかは、真相は被告の頭の中にしかありません。
ということは、原告・被告の言動から裁判官が主観的に判断するしかありません。


 
> 裁判ってのは真実を求める場ではなく,誰が実権を握っているか,誰が金や権
> 力を持っているか,誰がウソつくのがうまいのか,誰が言葉巧みに陥れるのか
> を争う場のような気がします.

実際、少なくとも民事裁判はそうなのですが…

原告と被告の間に異議がない事項については、裁判所はわざわざ裏付けを求めず
に、事実であると認定します。争いがあれば、前述のようにどちらの証拠のほう
が真実味が高いかで勝敗を決しますが、その場合でも、裁判所が当事者に断りな
く職員を法廷外に派遣して裏付けを取りに行くことはありません。


刑事裁判・少年審判も、まあ被害者から見れば「真実を求める場」であってほし
いという思いは当然ありますが、一番の目的は、被告の贖罪と更正とか、社会的
抑止力とか、そういうものに主眼がおかれています。だから、真相不明の事柄が
あっても、それが判決に影響しないと判断されれば深く掘り下げないこともあり
ます。それは被害者が損害賠償の民事裁判でやってくれと。


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飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま   http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta           mailto:delmonta@ht.sakura.ne.jp

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