# 引用順を変えています。

At Wed, 19 Nov 2003 21:31:40 +0900,
in the message, <20031119213140cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>>本件の反対債権は??
>>管理者が*号室を管理する?管理者が建物と土地を管理する。
>>どちらでも管理を分割できない?
>
>その可能性もありますな。
>(反対債権というよりは対価と言った方がよいかもしれない。)

いわゆる管理費って、「管理者の管理行為に対する対価」ですか?
違うでしょう?
単に「管理に掛る経費に当てるための金銭」でしょう?
「管理者の管理行為に対する対価」が経費となることもあるでしょうけど、そ
れはあくまでも経費の内訳の問題であって、管理費が何であるかではないはず
です。

そして「管理に掛る経費に当てるための金銭」であるならば、その「経費」が
具体的に何であるか(内訳)は決っている必要はないし、実際にも決っていな
いことはいくらでもあります。
決っていないからといって特に問題もないのですから、仮に決っていたとして
も別に考慮する必要もないはずです。
であれば、反対債権とか何の対価かとかそんなものを具体的に考える必要自体
全くありません。

また、

At Fri, 14 Nov 2003 23:10:43 +0900,
in the message, <20031114231043cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>判例で有名なものには
>「数人が1室を借りている場合の賃料債権は
> 金銭債権ではあるけど不可分債権だ。
> なぜなら反対債権である「1室を貸す」は不可分だから。」
>というものがあります。

という例が、たまたま「反対債権との関係で不可分である」からと言って、不
可分性が常に反対債権との関係で決ると考えるのはただの短絡です。

……もっとも本例は誤りだと思いますが。
詳しくは別投稿。

で話を戻しますが、発想としては、

>「持分が不明のときは金銭債権でも不可分債権」
>(AならばB)
>という命題から
>「持分が不明でないなら金銭債権は可分債権」
>(not AならばnotB)
>は全然導けませんよ。

と指摘される発想とほとんど同じ。
「AだからB(不可分な反対給付が存在するから不可分債権)」だからと言っ
て「BだからA(不可分債権ならば不可分な反対給付が存在する)」とは限ら
ない
(逆は真でありません。なお、上記引用は「裏は真でない」という指摘。)
のは、中学数学でやる「論理の常識」です
(もっとも、本例は反対給付が不可分ということを不可分性の理由にしている
 が、実のところ反対給付が不可分なら常に不可分というわけでもないです。
 だから「AだからB(不可分な反対給付が存在するから不可分債権)」自体
 成立っていないのです。
 現に売買契約では反対給付が不可分でも通常は可分になるので。
 で、本例において売買契約と区別するのは、特に「継続的契約」における債
 権者の保護を考えただけだろうと思いますが、むしろ連帯債務の黙示の合意
 があると構成しても良かったのではないのかと思います。
 まあ、そうすると保護しすぎということかも知れませんが……。
 あるいは連帯しないと解すべき何らかの特殊事情があったのかも知れません
 が、普通はそういう事情はないんじゃないのかな。)。

>まつむらさんの出した判例は全て損害賠償債権に転化したものだって指摘は
>すでにしたとおりですが
>そういう判例が確立したってことは
>裏を返せば
>「もし判例がなければ損害賠償債権も不可分債権である」
>という判断になるからこそだって説明も可能です。
>この説明の線なら
>「損害賠償債権でなければ別の判断が可能=不可分債権」
>だってことにむしろなります。
>……ってえかなんかそんな気がしてきたぞ。

推測ですけど、違うんじゃないですかねぇ
(ちゅうかこの説明では金銭債権は原則可分、例外不可分がひっくり返ってな
 いですか?
 もし判例がなければむしろ、損害賠償請求権は金銭債権だから原則からすれ
 ば当然可分、となるはず。
 だから、極端に言えば、当該判例は「原則通り」であることを確認しただ
 け。
 原則通りなら実は理由は要らないんだよね。
 例外とする理由がないから原則通り、で充分。)。


そもそもこの判例は、全て「可分債権であることを理由にしてはいても、可分
債権であるかどうか自体が争点になってはいない」でしょう。
だから可分債権であることの理由付けは特に明らかとは言えないと思います。

その上で、考察を加えてみるに……。

まず、2および3の判例で問題になった「共用部分に関する」損害賠償請求権
というのは、共用部分の価値代替物なのだから共用部分の所有者に帰属するの
が順当でしょう。
そして、共用部分はそもそも「区分所有者(全員)の共有」です
(つまり、法律上はおろか事実上の社団財産ですらない。)。
つまり、管理組合の法的性質に拘らず、管理組合とは何の関係もありません。
ならば、その共用部分の所有権が転化した損害賠償請求権もまた管理組合とは
無関係です。

1は若干事情が違いますが、いずれにしても「共用部分に関する」損害賠償請
求権である点は共通
(もっとも、本件判例はそもそも共用部分ですらないとしているのですが、こ
 れは本論とは関係なし。)。
あくまでも共用部分は、……以下同文。

4は、販売代理店の情報提供が不充分だったことを不法行為として構成して損
害賠償請求をしている(契約の履行についても争点になってはいる。)のです
が、それは個々の購入者=区分所有者と販売代理店の間の問題。
つまり、これもまた管理組合と無関係な権利。

という風に、全て「元々管理組合とは無関係」な権利関係です。

で、権利の帰属には無関係だけど管理組合が裁判上行使できるかどうか
(言うまでもなくできないに決っていると言えば決っているのですが。)。
その点についても「管理組合に対する判決の効力は各区分所有者個人に及ばな
いから駄目」って判例はきちんと指摘しています。
ということで最終的にどう転んでも管理組合は当事者たりえない。

# 要するに、管理組合なぞは端から出る幕ではないのです。


次に、共用部分の管理行為として「管理組合ではなく」管理者が訴訟追行でき
るかどうかに関してですが、共用部分の管理行為ではないからできないとして
いる。
その中で、共用部分の管理行為でない理由の一つとして「可分債権である」こ
とを述べている。

とすれば、仮令不可分であったとしてもやはり管理組合あるいは管理者が請求
することはできない、というのは理屈の上では大いに考えられると思います。
すなわち、管理組合に無関係な権利であり、かつ、管理組合あるいは管理者を
特別に訴訟担当その他の当事者とする法的根拠もないのならば、仮令不可分債
権であっても請求はできないとなるはずです。
逆に言えば、その条件を満たせば、可分であっても請求できるということも理
屈上あり得ます。

結局、「可分かどうか」を論じたところでそこから直ちに当事者が誰となるか
など出てきはしないでしょう
(と言うか、「可分であり管理行為でない」と言うのは実は理由を述べている
 のではないのではないかと思っている。
 本当は、「その請求が管理行為と言えないような請求権である」ことと「可
 分である」こととは直接関係がないが、実際には「管理行為と言えないよう
 な請求権」はほとんどの場合「可分」となるだけではないかと。
 つまり、両者には強い相関関係があるが、別に因果関係になっているわけで
 はないと。
 あるいはもっと進めて、管理行為と言えないような請求権だから=管理行為
 と言えるような特別な事情がないような請求権だから、原則通り可分で問題
 なし、と言っていると考えてもいいのではないかと。
 そして結果的には「可分の場合は管理行為と言えない」だけであると。
 確かに可分である以上、個々の債権者に独立して帰属する別個の債権な
 のだからそれをまとめて請求する行為が法令の根拠なく管理行為となると
 は言い難いのは確かで、その意味で「可分だから管理行為でない」と言っ
 ていいとは思いますが。
 ただ、よく考えてみれば「可分であるからと言って管理行為でないと言い切
 れるかどうかは怪しい。たまたま本例のような場合はそれが言えるだけ」と
 も言えるんで、結局、「どれが原因でどれが帰結かは実は厳密に確定するも
 のではない」だろうと言いたいわけ。
 これが「共用部分の賃貸契約に基づく賃料請求権」だったら管理行為なのは
 ほぼ間違いないだろうしおそらく不可分債権になるだろうとは思うけど、仮
 に可分であってもなお管理行為であるはず。
 だけど損害賠償請求権に転化してしまえば、「持分相当の所有権喪失に対す
 る填補」でしかなく「既に権利の消滅した共用部分の維持管理回復とは別の
 趣旨で成立する債権」だから(確かに可分だけど実際には可分性に拘らず)
 管理行為でないでしょう。)。

ちなみに1の判例で、共用部分の回復のための行為でないことを問題にしてい
るので、共用部分の回復のための行為であれば管理行為と認められた可能性は
あります。
そうすれば「可分な債権であっても管理行為の一環として管理者が任意的訴訟
担当として当事者たりうる」ということは一応言えるでしょう。
ただ、その場合、損害賠償請求権自体が不可分となるのではないかという気
がしますが。


で、ここまでは誰が当事者たりうるかという話なのですが、請求権が可分とな
るか不可分となるかは本来、全然別の話でしょう。
判例の損害賠償請求権が可分なのは、先にも触れたとおり不可分と解する特別
の理由がないから原則通り可分というだけだと思います。

これがもし権利能力なき社団に事実上帰属する権利が損害賠償請求権に転化し
たなどならば、おそらく「損害賠償請求権であっても不可分」となる可能性は
否定できないと思います。
例えば大学の野球サークルの共有(総有)財産であるピッチングマシンを第三
者が壊してしまってその損害賠償を請求するとしましょう。
これを損害賠償請求権だからと言って可分とするかと言うと相当疑問。

要するに、「損害賠償請求権だから」ではなく「当該損害賠償請求権が不可分
と言うべき特別の事情がないから」原則通り可分なだけだと
(とにかく金銭債権である以上、原則は可分。)。
逆に言えば、もしも「損害賠償請求権に転化した元の権利が総有に掛るもので
法律上およそ分割のできないもの」であれば、転化した後の損害賠償請求権も
不可分となる可能性が高いのではないかと思います。

であれば、損害賠償請求権以外の金銭債権でもそれが権利能力なき社団に事実
上帰属するいわゆる総有的に帰属する権利であればやはり「不可分」だし、そ
うでなければ他に不可分と解する事情がない限り原則通り可分とただそれだけ
のことだと思います。


とまあそんなわけで、結局は「管理費」なるものの法的性質から、可分性も誰
が訴訟当事者たるべきかも導くべきものだと思います
(って言うか他に考えようがないと思う。)。
そうするとその前提として「管理費って何?」なんで、それを
佐々木さんもかつて問題にしたはずなんだけど……、どうなったんだ?

>>建物区分所有法では管理者が管理すると規定しています。規約でも理事長、理事
>>会が管理
>>するという規定はありませんから、集金、請求権は管理者があると思います。
>
>債権者債務者の他に法的意味を持つ
>集金権とか請求権の要件と効果は何?
>
>さすがにあの文章で債権法に集金権って概念を導入したとは読めません。
>請求権って……特別の意味があるの?

ちゅうか、可分債権として各区分所有者に分割帰属するという前提が仮に万が
一ひょっとして正しいとしても、あの条文はせいぜいが弁済受領権(代理受
領)を認めているだけでしょう?

# いつも思うんだけど、事実行為の代行は本来「代理」じゃないんで、例えば
 準代理(代行と言えばそれでもいいんだけど。)とか言わないのはなぜだろ
 う?

むしろ問題は、債権者が各区分所有者であるならば管理費を受け取った管理者
は受け取った金銭を各区分所有者に引き渡す義務があるところ、きちんと渡し
ているのか、じゃないですか?

管理委託が委任契約だとすれば委任に関して受領した金銭の引渡し義務の履行
を請求できる。
委任契約でないとしても区分所有法上の管理者には委任の規定が準用されるか
ら同じ。
となるはずだと。

註:前提がおかしいから実際にはならない。

>>管理費の帰属主体は管理組合ではなく区分所有者全員です。
>
>区分所有者全員じゃなくて各区分所有者でしょ?
>まつむらさんは「可分債権だ」って言っているんだから?

一方で、「準総有だ」って言ってますから
(それともそれは撤回したのかな?)。

# で、準総有なら可分になることは概念矛盾であり得ないと二年半前に指摘済
 みです。



以下は、単なる苦言。:-P
法律とはほとんど(まったくではない)無関係だから興味ない人は読まぬが
吉。


確かfj.*.lawでの議論は「程度が低い」という意見に理解を示していたようで
すけど……。
「程度が低い」と思うならそんなところで質問しなきゃいいのに、って感じ。

だいたい、

At Thu, 18 Sep 2003 11:14:56 +0900,
in the message, <3F691520.7CC13E7D@nr.titech.ac.jp>,
Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp> wrote
>ーーー判断ができなくなってしまうーーー。判決がいい加減だから。
>裁判官は、毎度毎度自由に(勝手に)、法律によらず、判例によらず判決してい
>るのです。
>私は、20数年間たくさん裁判をしていますし、法廷は数百回出席しました。そ
>の結論です。

などと言うのなら、訴訟なんかやるだけ無駄でしょう。
判決が「いい加減」だというのならそんなもの得たところで何が嬉しいのか。
そもそも、判決が「いい加減」だと言っておきながら自分の主張の根拠に判例
を引いてくるというのが既に自己矛盾。
判例だって判決
(厳密に言えば決定とか命令もあるけど、ここで言う「判決」というのは法律
 用語で言うところの「裁判」のことであろう。)
なのだから判決が「いい加減」なら判例だって「いい加減」なはず。
「いい加減」なものをどうして根拠にできるのか?
(しかし佐々木さんの言うことは聴けても裁判官の言うことは聴けないっての
 は、どういう発想なのかね。
 どっちも人間だから間違うことはあるに決ってるけど、こと民事の法律解釈
 に関しては裁判の方が佐々木さんよりも間違いは少ないと思うけどね。)

こんなの読めば、訴訟すること自体が目的としか思えない。
あるいは訴訟を駆け引きないしは制裁の道具に利用しようとしているだけ。
だとすれば相手方にとっては単なる嫌がらせでしかない。

# こういうのを訴訟マニアってんじゃないの?と思うけど、別にラベルを貼る
 ことに意味があるわけじゃないんでどっちでもいい。
 どうせこんなもの何を以て訴訟マニアと呼ぶかだけの問題だ。
 何にしても、およそ共感などできないし単なる他人迷惑としか思えないだ
 けのこと。
 まあ妄想に付き合うのも付き合わないのも個人の自由だし、妄想を抱くこ
 と自体からして別に勝手ではあるけどね。

……ひょっとすると、自分にとって都合のいい判決がいつか出るという淡い期
待と言うか幻想と言うか妄想と言うかそういうものがどこかにあるのかも知れ
ないけど……。
ま、出ないでしょうな。


いずれ、聴く耳持ってないならそれでいいからfj*なんかでぐだぐだ言ってな
いでさっさと訴訟を起こせばいい。
で、その独りよがりな法律構成で敗訴して訴訟費用を負担させられればいい
(本件に関する限り事実認定の問題じゃないから100%負けると思っていいだろ
 う。
 まあ、'本件において'「管理費」と呼ばれるものが実体としてどういうもの
 かという点については、事実認定が問題になる可能性が全くないとは言わな
 いけど。
 仮に世間一般で言うところの「管理費」なら、まず争いの余地はない
 な。)。
ただし、敗訴してもその愚痴をfj*には「絶対に」投稿しないでくれ。
他人迷惑だ
(それが他人迷惑だってことが解らないから、おかしなもめ事を起こすんだろ
 うがね……。)。
個人でサイト作ったみたいだからそこに掲載するだけにしてくれ。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp