# 前半分は法律論ではなし。

At Mon, 6 Oct 2003 08:53:57 +0900,
in the message, <blqb92$fq4$1@nn-os105.ocn.ad.jp>,
"papa" <papa_iwase@yahoo.co.jp> wrote
>システムの内部設計をご存じなんですか?凄いですね。「撮影時の速度計測」
>ってのが少し気になりますけど。どうやって撮影タイミングを計測しているので
>しょう。宜しければお教え願えませんか?

もう解ってるみたいだから説明の必要はないんでしょうけど、参考に。

車両が撮影位置に来たのをセンサーで検知するだけです。

例えば、240km/hで移動していても1/100秒間に70cm足らずしか移動しませんか
ら、センサーで検知してから1/100秒で撮影したとしても
(実際にはもっと速いと思うけどね。)、
撮像範囲が縦方向に1mしか取ってなくても
(実際にはもっと広いと思うけどね。)
充分写ります
(ちなみにシャッター速度は自動速度取締装置の場合、1/1000秒くらいだそ
 うな。
 240km/hでも7cmも移動しないからほとんどぶれない。
 Nシステムは、赤外線の光量が少ないからもっと遅いかも知れないけど、
 逆にナンバーを撮るだけなら光量を下げても大丈夫ということなのかも知れ
 ない。)。

つまり、
 センサーで車両を検知してから撮影までの間に被写体は現実問題として撮影
 範囲を外れるほどに移動できない。
 よって、撮影位置は固定すなわちカメラアングルも画角もフォーカスも固定
 で何の問題もない。
 つまり、撮影時に被写体の速度に応じた何らかの対応など何もしなくても写
 る。
ということ
(これはただの「理屈」であって装置の構成を知っていなくても少し考えてみ
 れば判る。)。

同じことを人間が手でやっても、アングル等の設定にもよるが、時速60kmくら
いまでは充分対応できると思う。
アングル等の設定を決めた後は、どの程度の速度まで対応できるかはファイン
ダー内に被写体が入ってからレリーズボタンを押すまでの反応時間で決る
(ちなみにこの要素を排除するのにはビデオカメラを使えばいい。
 何しろ被写体が入る前から出ていった後までずっと撮影しているんだか
 ら。
 ところで、全然関係ないんだけど、昔、ボクサーと星野和義と誰だったかの
 3人のプロスポーツ選手に動体視力競争をさせたテレビ番組があった。
 ビデオカメラで走行中の新幹線を撮影、その窓に掲げた紙に書いてある絵と
 か文字を当てさせるとかなんとかいう代物。
 でも、そもそも写っているの?という疑問があったのだが実際どうなんだろ
 う。
 秒間約30コマのNTSCではシャッター速度を1/30にしないと全ての映像を
 写すことができない。
 ところがそれだと仮に240km/hで移動する物体は、一コマの中で20m以上移動
 することになるからそんなぶれた映像見ても何だか判るわけがない。
 NTSCビデオカメラの標準シャッター速度は1/60だからそれでも10m以上ずれ
 るし、なにより時間にして半分は写っていない。
 シャッター速度を上げれば上げるほど、写っている分はぶれがなくなって鮮
 明になるが写らない時間が増える。
 ということで、企画自体が無理じゃねぇの?と思った。
 似たような話で通過する新幹線同士で撮影するというのを某ビデオ雑誌で
 やっていた。
 シャッター速度を上げた分カメラの台数を増やして写らない部分をなくそう
 としてたけど、コマの記録タイミングがきれいに並ぶという保証がどこにも
 ない、つまり台数を増やしてもタイミングがかぶってしまえば意味がないん
 だから、写っていなくてもなんの不思議もない。
 実際写っていなくて実験は失敗していた。
 当り前じゃねぇかと思ったね。
 その理由が判らない雑誌記者と編集の頭の悪さには呆れたが……。
 見なくても理屈で判るけど、映像を見ればかぶってんのが判りそうなもんだ
 し……。)。

人間の反応時間を超えた撮影をするなら大凡の速度を判断して勘でタイミング
を料るということをするけど、機械は人間より反応速度が圧倒的に速いので実
用上その必要もない
(自動車がマッハの領域で移動するようになれば話は別だけどね。
 ちなみに現在の設備では300km/h程度で既に対応できないけど、実用上
 問題はない。)。

ところでもし仮に速度に合せて撮影位置を変えたり焦点距離を変えたりする
と、カメラを機械的に動かすわけだから却って撮影に時間がかかってしまいま
す。
単焦点レンズでフォーカス、アングルは固定した方が撮影は速いです。
ついでに言えば、絞りとシャッターも機械式の場合は遅いが、これは電気的に
やれる。
余事ながら、故障も減るし、コストも下るし、小型軽量化も容易。
更にもっと確実性を上げるなら「連写」すればいい
(第三世代のNシステム端末はそうだという説がある。)。

# 実のところ自動速度取締装置だって速度情報を撮影それ自体に使う必要はな
 い。
 って言うかたぶん使ってない。
 上記の通り、「理屈上」必要ないし無意味だから。

なお、速度によって写る位置が多少ずれますけど、撮像範囲内に写っていれば
いいのでずれたって別に構わないんですよ
(芸術作品じゃあるまいし、必要なものが写ってさえいれば構図などどうで
 もいいのです。)。


ところで、「撮影時の速度計測」と言ったのは、撮影時以外の速度など論ずる
までもなく撮影には無用だから。
その心は、二ヶ所のNシステム端末間の平均速度を求める機能が仮にあったと
してもそれは撮影とは全く関係がない、ということ。

……ところで、だ。
二点間の平均所要時間を調べるシステムは既にあるんだな……。
NシステムじゃなくてTシステムと言われる渋滞情報のためのシステム。
原理的にはNシステムと全く同じ。
しかもNシステムと繋がっているらしい。
挙げ句端末数はNシステムの3倍近い(都内)。

>> そもそも、公権力による撮影と私人による撮影を区別しないことが誤りなだけ
>> です。
>
>商店街のビデオ撮影は公権力では無いでしょう。

そうです。
一方、Nシステム等は公権力です。
つまり、Nシステム等の話と商店街の防犯カメラの話は違うと言いたいので
す。
畢竟、Nシステム等の話に商店街の防犯カメラの事例を持ち出すのは誤りだと
言っているのです。

>ちなみに僕は別に人権侵害だとは思いません。銀行のATMでも撮影してるしね。

# どう思うかは個人の勝手なのでいいとして。
 どう思おうと法律的に権利侵害かどうかにはまったく関係ないし。

銀行の店内と商店街も区別しないといけません。

銀行の店内は銀行の管理権の範囲内の私的領域だけど商店街の通路は公共の場
であり商店街の管理権の範囲内の私的領域ではない。
だから、銀行の店内などでは防犯上の必要からの容貌の撮影について黙示の承
諾があると考えることができる(だからちゃんと「防犯カメラ作動中」とか出
してるでしょ。あれは要するに、管理権の及ぶ範囲なら何をやろうと勝手とい
うわけではないということ。)けど商店街はそうはいかない。

ちなみに、強盗などについては、常識的に考えて撮影に承諾などしているわけ
がないけれど、そもそも強盗目的での立ち入りを管理権者は認めてはいない以
上、立ち入りにつき管理権者の承諾を欠き建造物侵入の現行犯なので撮影され
ても文句は言えない。
あるいは、他人のキャッシュカードを勝手に使用して現金を引き出すのも窃盗
であり、窃盗行為のための立ち入りを認めてなんていないから同上。

コンビニも同様。


そういう風に違いがあるのだということを知っておいてもらいたいのこと。
その違いを無視しあるいは気付かずに十把一絡げにしてはいけないというこ
と。

# そういうことを聴く耳くらいは持っていると思っているから本筋と外れてい
 てもあえて言っているんだけどね。
 ……持ってない人も世の中には少なからずいるけどね。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp