河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

In article <5fllv5689g.fsf@maya.phys.kyushu-u.ac.jp>, Kiyohide Nomura <knomura@maya.phys.kyushu-u.ac.jp> writes
> >     ・波動関数の振動数が、等速運動する座標系からみたとき変わってしまう
> しかし、1つの平面波に対応する波動関数の位相は観測可能ではないですが、2
> つ(ないしそれ以上)の平面波に対応する波動関数の位相差は観測可能ですよ
> ね。

この論法だと、直接観測できないものは実在と言えないってな
感じかな? だとすると、電位とかも、

    絶対的な電位は観測できず、その差しか測定できない

ので実在として怪しくなっちゃうかな...

> 小林憲次さんの問は、
> 「では、波動関数の複素表示は認めるとして、波動関数全体の不定で観測手段
> もない位相部分の物理的意味はなにか?」
> と置き換えると意味があります。

そうね。

物理理論を表現しようとする時、何故か、ぴったりした数学表現が
ないので、

    ちょっと大きめの数学表現を使う
    そして、同値類で縮小して使用する
    その同値類はゲージ変換群で決まる

ってかん感じかな?

数学的表現自体は、人間の記号的な物のとらえ方によって制限され
ていて、記号の直積表現と、その拡張に偏っているわけなので、仕
方ないのかも知れませんね。

ゲージ変換自体に物理的意味がないと感じるのは、それが数学表現
からの引き算される部分だからですよね。でも、ヒルベルト空間が
実在かと言うと、それもあやしい。

    物理的実在 = 大きめの数学的表現  - ゲージ変換

確率自体を実在としてとらえるのは、結局は、連続群あるいはヒル
ベルト空間に測度定義するのと同じですよね。でも、それは、ある
意味では人間の持つ記号的な直観に束縛された考え方であって、量
子力学から定義される観測の確率とは離れているような気がします。

この前、議論したときは、僕は、波動関数は実在ではなくて、「実
在するのは、「ブラウン管に写った電子の衝突だけだ」みたいな主
張だったな。でも、波動関数の方が実在であり、電子の衝突は、そ
の表れに過ぎないっていう考え方もありだと思います。便利な方を
とればよいわけだね。どっちでも良いはず。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus, 
              PRESTO, Japan Science and Technology Corporation
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科, 
           科学技術振興事業団さきがけ研究21(機能と構成)