佐々木将人@函館 です。

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2005/06/13 17:25:17 JST
>Message-ID:<42AD42ED.1A35C3A6@nr.titech.ac.jp>
>
>2階の部屋の賃料が5万円、土地の50%所有権の賃料が5万円で相殺し、元夫
>婦間に
>実際のお金のやりとりはありません。
> そのあたりは、その部屋だと月々25万円ぐらいですので、こちらの主張は、
>使用貸借だと主張できます。
>協定書には賃貸借とも使用貸借とも書いてありません。灰色です。

そうかね〜。
あたしゃ賃貸借って認定してなんの問題もないと思うけどね〜。
もっとも「認定」の問題なんで
別の要素の重要性を指摘して「使用貸借」って認定する判決が出ても
それはそれで驚かないけど。

まず「相場から見て相当安い賃料」というのは
「それは賃料ではなく単なる謝礼、
 よって賃料払ってないんで使用貸借だ。」
という主張はあり得ない訳じゃない。
昭和35年4月12日最高裁判決(民集14巻5号p817)も
結論は同じ。
もっとも同判決は
「借主が妻の伯父」という特殊な関係にある上での低額
ということを強調しているので
そういう特殊な関係がなければいくら相場より低額でも
直ちに使用貸借だということにはならないと思います。
そこで「元夫婦」ということがその特殊な関係にあたるかというと
この物件が元々夫婦共有であることに鑑みれば
(しかも協定書を作ったって言うんでしょ。)
もし元夫婦であることを理由とした使用貸借的なものなら
わざわざ賃料の設定をしてそれを相殺するなんて
煩雑な構成をしなくたって
端的に共有のままにしたり
分割するにしても使用を互いに認めればいいだけのこと。
それをわざわざ分割した上で賃料を設定しているあたり
「賃貸借」ととる方が自然でしょう。

実際のお金のやりとりがないことは
賃貸借の成立を否定する理由には全くならず。
というのは賃貸借の賃料を別の何かと相殺して
お金のやりとりをしなかったところで
いきなり使用貸借になる訳じゃあない。
むしろ賃料を発生させているからこそ相殺ってことになったはずで
そうすれば賃料の定めをしている時点で賃貸借と認定していいことになるし
いかにも普通は発生するでしょうって債権を相殺しているんで
この点からも賃貸借ととって問題はなし。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
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まさと「あんなに雪多かったのにね〜。」