佐々木将人@函館 です。

>From:Yasuyuki Nagashima <yasu-n@horae.dti.ne.jp>
>Date:2005/06/05 09:26:51 JST
>Message-ID:<d7tgfn$71q$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>ざっくり、説の分かれを私なりに整理しておきます。

だいたいこんな感じでいいと思います。

>1. 9条1項について
>
>(1) 「国際紛争を解決する手段として」の戦争放棄
>  (a) いわゆる侵略戦争を意味し、自衛戦争は含まれない
>  (b) 戦争はすべて国際紛争の解決手段なのだから、すべて含まれる

これポイントは「侵略戦争」の「侵略」という語にとらわれちゃだめで
ここでいう「侵略」は実は「=国際紛争を解決する手段」であるから
除かれるのは「自衛戦争」と「制裁戦争」なんだという認識は
両説にあって
(b)も「そうは言っても実際上区別できないだろう」という
問題提起がある訳です。

そして理論的背景を言えば
「国際紛争を解決する手段として」という語が
「武力による威嚇又は武力の行使」にのみかかるのか
「戦争」にもかかるのかという対立があって
通説的見解は「戦争」にもかかるという見解だけど
佐藤幸治先生は「武力による威嚇又は武力の行使」にのみという可能性も
結構あるんではないか(=研究の余地あり)って発想です。

>(4)については、芦部先生は(a)が妥当だと書いているんですが、
>一方で法律学小辞典(第3版)の「交戦権」の記述を読む限り、
>「その意味は必ずしも明らかにされていない」としつつ、
>(b)が妥当だと説明しているように思われます。
>これ、説が分かれているってことなんでしょうか?

はい。分かれています。
というのは(a)というのはさすがに唐突だし
意味不明の部分がなきにしもあらず。
自衛権自体は国際法上認められていてそれを受け入れておいて
等しく国際法上認められている権利(交戦権)を否定するというのは
ちょっと趣旨不明でしょ?
まあ「だから1項と2項とあいまって結局戦争や戦力の保持は一切だめ」
という説につながるんだけど……。
(b)はその点は明快なんですね。
(b)の唯一最大の問題点は「その権利を普通「交戦権」とは呼ばない」
点に尽きます。

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ルフィミア「函館で桜の開花宣言だそうですよ。(5/1)」
まさと「あんなに雪多かったのにね〜。」