工繊大の塚本です.

In article <ivco5a$l8e$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> バラスって何処をどうバラシましたでしょうか?

 \sum_{i=0}^\infty (|B_i|/i!) |u|^i \sum_{n=i}^\infty (x |u|)^{n-i}/(n-i)!
の収束の話をしようとしているところに,
それのもとになった
 \sum_{n=0}^\infty \sum_{i=0}^n { n \choose i } |B_i| |x|^{n-i}/n! |u|^n
を持ち出してどうするのです,
ということです.
折角, 後者を上手く組み替えて, 前者の形にしたのに, です.

> Σ_{i=0}^∞(B_i/i!)u^i の収束域は{u∈C;|u|<2π}で
> Σ_{n=i}^∞(x u)^{n-i}/(n-i)!の収束域はCなのでそれらの積
> (Σ_{i=0}^∞(B_i/i!)u^i )(Σ_{n=i}^∞(x u)^{n-i}/(n-i)!)の収束域は
> {u∈C;|u|<2π}ですよね。

はい.

> とりあえず
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop207_93__00.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_18__14.jpg
> となったのですが
> Σ_{i=0}^∞(B_i/i!)u^iがu=2πiで収束する事はどうすれば分かるのでしょうか?

 \sum_{n=0}^\infty (B_n/n!) (2 \pi i)^n は収束しませんよ.
収束しなくても, 収束域の中で \sum_{n=0}^\infty (B_n/n!) u^n は
絶対収束していますよ.

一般に, \sum_{n=0}^\infty a_n z^n の収束半径が r であるとは,
 r = \sup { |w| \in R | \sum_{n=0}^\infty a_n w^n は収束する. }
ということです. 0 < r' < r であれば, r' < |w| < r となる w \in C で
 \sum_{n=0}^\infty a_n w^n が収束するものが存在します.
したがって, |z| = r' であれば, \sum_{n=0}^\infty a_n z^n は
絶対収束します.

> つまり,u/(e^u-1)は{u∈C;|u|<2π}\setminus{0}で正則なのですね。

勿論, u = 0 でも正則です.

> In article <110706182912.M0207842@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > ベキ級数の表す関数は, 収束半径の内部では正則ですよ.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop207_94__00.jpg
> という命題が在るのですね。

 { 0 } を除いてはいけません.

> > ベキ級数 \sum_{n=0}^\infty a_n (z - c)^n は
> > |z - c| < r となる z において, 勿論, 絶対収束しています.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop207_93__00.jpg
> ですね。

それを使って, 私が上で示したように,
 \sum_{n=0}^\infty a_n z^n の収束半径が r であるとき,
 |w| < r となる任意の w で \sum_{n=0}^\infty a_n w^n が
絶対収束することが出ます.

> そうでした。今,複素数の範囲で考えているので
> e^{実数}という形ではeは定義されず
> e^{実数×i}という形で定義されるのでしたね。

意味不明です. 任意の複素数 z に対して定義される e^z を
今考えています.
 
> > 収束半径が r のベキ級数 \sum_{n=0}^\infty a_n z^n は,
> > 0 < R < r となる任意の R について, |z| \leq R において,
> > 一様収束します.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop207_95__00.jpg
> という命題ですね。

違います. 収束半径を r とするとき, |z| < r では
広義一様収束することがいえるだけです.
一様収束するのは, 0 < R < r となる任意の R について,
 |z| \leq R という(閉)領域においてです.

> 収束域の定義を間違っておりました。

まあ, ベキ級数が収束する点全体を収束域とすることも,
半径が収束半径となる円板の内部を収束域とすることも
あるでしょうが,

> ベキ級数Σ_{n=0}^∞a_n z^n(但し,a_n∈C)が
> {u∈C;|u|<r}\setminus{0}で収束するr∈R^+が存在する時,
> {u∈C;|u|<r}\setminus{0}をΣ_{n=0}^∞a_n z^nの収束域というのでしたね。

何故 \setminus { 0 } を付けるのですか.

 { 0 } を除かなかったとしても,
ベキ級数が |z| < r で収束するような r の上限 r_0 について,
 |z| < r_0 で定まる領域とするのでなければ駄目です.
そうすれば後者の定義になります.

> これも
> ベキ級数Σ_{n=0}^∞a_n z^n(但し,a_n∈C)が
> {u∈C;|u|<r}\setminus{0}で収束するr∈R^+が存在する時,
> rをΣ_{n=0}^∞a_n z^nの収束半径というのでしたね。

だから, そのような r の上限が収束半径です.
やはり, もう一度復習されることをお勧めします.

> > 微積分学の基本定理と x_n の定義から,
> >  \int_{x_n}^{x_M} (d/dx)(B_{n+1}(x)) dx
> >   = B_{n+1}(x_M) - B_{n+1}(x_n)
> >   = B_{n+1}(x_M)
> > となります.

 x_n ではなく, x_{n+1} とするべきでした.
 
> 微積分学の基本定理は調べてみましたが
> 『d/dx∫_a^n f(t)dt=f(x) 但し,a<x<b』という風にd/dxが∫の外に出ているのですが 

微積分学の基本定理には幾つかの variation が存在します.
貴方の述べたものは存在しませんが,
 f が連続関数の時, 不定積分 \int_a^x f(t) dt = F(x) が
 f の原始関数になる, 即ち,

  (d/dx)(F(x)) = (d/dx)(\int_a^x f(t) dt) = f(x)

となることは, その一つです. 私の使った,
 F が f の原始関数で, f が可積分であれば,

  \int_a^b f(x) dx = \int_a^b (d/dx)(F(x)) dx = F(b) - F(a)

となる, というのも微分積分学の基本定理です.

> 『∫d/dx_a^n f(t)dt=f(x) 但し,a<x<b』とどうして同値になるのでしょうか?

貴方の書いているものは出鱈目ですから,
同値にはなりません.
まあ, そうでなくても, 同値という訳ではないのです.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop207_9__01.jpg
> ととりあえず試してみましたが
> 最後のx_nの定義からB_{n+1}(x_n)=0となる事がどうしても分かりませんでした。
> 何故 B_{n+1}(x_n)=0なのでしょうか?

どうも失礼しました. B_{n+1}(x_{n+1}) = 0 を使うのでした.
 |B_n(x)| \leq n!/2^n であれば,

  |B_{n+1}(x_M)|
   = |B_{n+1}(x_M) - B_{n+1}(x_{n+1})|
   = | \int_{x_{n+1}}\{x_M} (d/dx)(B_{n+1}(x)) dx |
   = | \int_{x_{n+1}}\{x_M} (n+1) B_n(x)) dx |
   \leq |x_M - x_{n+1}| (n+1) n!/2^n
   \leq (1/2) (n+1)!/2^n = (n+1)!/2^{n+1}

ですから, |B_{n+1}(x)| \leq (n+1)!/2^{n+1} となります.

> > 岩波講座 現代数学の基礎「数論1」加藤和也・黒川信重・斎藤毅著
> > の 101 page の最後の行から 102 page の上部に書いてあることで
> > 分からないところがありますか.
> 
> Γ(s)ζ(s,x)=Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(x)/n! 1/(n+s-1) +
> ∫_1^∞exp(-xu)u^s/(1-exp(-u)) du/u∈C
> と書ける事が分かりました。
> Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(x)/n! 1/(n+s-1)部分は
> s=1,0,-1,-2,…以外では正則となる事は明らかで
> ∫_1^∞exp(-xu)u^s/(1-exp(-u)) du/u部分はs∈Cで正則となる事も明らかです。
> この時,ζ(s,x)=1/lim_{n→∞}n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k)
> [Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(x)/n! 1/(n+s-1) + ∫_1^∞exp(-xu)u^s/(1-exp(-u)) du/u]
> と書ける
> (∵(Γ(s)=)lim_{n→∞}n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k)は値が0になる事は無いので
> 両辺をlim_{n→∞}n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k)で割った)。
> その時,1/lim_{n→∞}n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k)
> [Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(x)/n! 1/(n+s-1) + ∫_1^∞exp(-xu)u^s/(1-exp(-u)) du/u]
> はs=1以外,s=0,-1,-2,…ででもnの値によって分母(n+s-1)が0となるので
> s=1,0,-1,-2,…以外で正則になるはずだと思うのですが
> 本にはs=1のみ以外で正則となると述べてあるのはどうしてでしょうか?

 s = 1, 0, -1, -2, \dots は全て
 \sum_{n=0}^\infty ((-1)^n B_n(x)/n!)(1/(s + n - 1))
の一位の極です. 一方 1/\Gamma(s) は,
 s = 0, -1, -2, \dots を一位の零点とします.
一般に, s = s_0 を一位の極とする有理形関数 f(s) と
 s = s_0 を一位の零点とする有理形関数 g(s) との
積 f(s)g(s) は s = s_0 で正則です.

> そして1≦nならlim_{s→1-n}(s+n-1)Γ(s)=(-1)^{n-1} 1/(n-1)! が成立つのは
> どうしてでしょうか?

 \Gamma(s+1) = s \Gamma(s) となりますから,
 \Gamma(s) = \Gamma(s+1)/s であり, 更に,
 \Gamma(s) = \Gamma(s+2)/(s(s+1)) = \cdots
  = \Gamma(s+n)/(s(s+1)(s+2) \cdots (s+n-1))
となります. 従って,

  \lim_{s \to 1-n} (s+n-1) \Gamma(s)
   = \lim_{s \to 1-n} \Gamma(s+n)/(s(s+1)(s+2) \cdots (s+n-2))
   = \Gamma(1)/((1-n)(2-n)(3-n) \cdots (-1))
   = (-1)^{n-1}/(n-1)!

です.
 
> でもどうしてx∈(0,1]の時だけ
> Σ_{n=0}^∞(B_n(x)/n!)((-1)^n/(n+s-1))が正則である事を示せば
> 十分なのでしょうか?

 \zeta(s, x) = \zeta(s, x-1) - (x-1)^s
  = \cdots = \zeta(s, x-N) - (x-1)^s - (x-2)^s - \cdots - (x-N)^s

と書き換えられるからです.

> > 一般に f(z) が z = z_0 を極とする有理形関数であるとき,
> > 1/f(z) は z = z_0 を零点とする有理形関数となり,
> > 特に z = z_0 は 1/f(z) の正則点です.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop205_27__00.jpg
> となったのですが
> どうすれば1/[Σ_{k=0}^∞c_k(z_0-z_0)k+Σ_{k=1}^n b_k/(z_0-z_0)^k]=0が得られ,
> 1/[Σ_{k=0}^∞c_k(z-z_0)k+Σ_{k=1}^n b_k/(z-z_0)^k]がz=z_0で正則である事が
> わかるのでしょうか?

別のところにも書きましたが, もう一度書きます.
 a_{-n} \neq 0 として, z = z_0 の周りでの Laurent 展開:

  f(z)
   = a_{-n} (z - z_0)^{-n} + a_{-n+1} (z - z_0)^{-n+1} + \cdots
     + a_{-1} (z - z_0)^{-1} + a_0 + a_1 (z - z_0) + \cdots
   = \sum{m=-n}^\infty a_m (z - z_0)^m
   = (z - z_0)^{-n} \sum_{m=-n}^\infty a_m (z - z_0)^{m+n}
   = (z - z_0)^{-n} \sum_{\ell=0}^\infty a_{\ell-n} (z - z_0)^\ell

において, g(z) = \sum_{\ell=0}^\infty a_{\ell-n} (z - z_0)^\ell は
 z = z_0 の周りで正則な関数で, g(z_0) = a_{-n} \neq 0 ですから,
 1/f(z) = (z - z_0)^n (1/g(z)) も z = z_0 の周りで正則な関数で,
 z = z_0 を n 位の零点として持ちます.
       
> > 尤も, 1/\Gamma(s) が全複素数平面で正則な関数であることは
> > Weierstrass の乗積表示から分かることです.
> 
> 1/[lim_{n→∞}n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k)]=lim_n→∞}Π_{k=0}^n(z+k)/n^z n!
> という等式が成立つのはどうしてなのでしょうか?

左辺の変数が s で右辺の変数が z では等式にはなりませんね.
同じ変数なら, 1/(a/b) = b/a というだけのことですが,
いずれにせよ, その表示は使いません.

> > その [Prop205.25] とやらが, 駄目駄目なことは既に述べました.
> 
> えっ。(1),(2),(3),(4)も駄目でしょうか?

勿論, 全然駄目です.

> > だから, 必要なのは,
> >  |B_n(x)/n! (-1)^n/(s + n - 1)| \leq 1/2^n
> > であって, \sum_{n=R+2}^\infty 1/2^n < +\infty ですから,
> > そのことから Weierstrass の優級数判定法により,
> > \sum_{n=R+2}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1) が |s| \leq R で
> > 絶対収束し, その収束が一様であることが分かるわけです.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_18__15.jpg
> でいいのですよね。

正則になるのは, 項別微分を用いての話から出る話ではないことは
既に注意しました.

> > 分かったのであれば, ここまでの自分の間違いを
> > 全て訂正して, 推敲してから投稿して下さい.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_18__15.jpg
> でいいのですよね。

推敲が足りません.

> > 因みに, 正則関数の一様収束極限として正則であることが
> > 分かるので, 後半は不要です.
> 
> これはどうしてでしょうか?
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop205_22__00.jpg
> と証明を試みたのですが

それは証明になっていません.

> lim_{n→∞}d/dz f_n(z) が正則である事はどうすれば示せますでしょうか?

だから, それを用いて証明するわけではないのです.
岩波講座現代数学への入門「複素関数入門」神保道夫著
 106 page 定理 5.3 をお読み下さい, と既に別のところで書きました.

> > そこで扱っているのは s = 1 のときだけですね.
> > それ以外の場合に何が起こるのか,
> > もう少し気を付けないといけないでしょう.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_18__16.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_18__17.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_18__18.jpg
> となりましたが、何か注意が足りないでしょうか? 

示すべきは, s = 1, 0, -1, -2, \dots が
 \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1) の一位の極であること
であった, ということを, 途中から忘れているようですね.
 B_n(x) を x について展開するのも, 何か勘違いしているようです.
注意が足りないというより, 殆ど出鱈目です.

目標は, \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1) の
極 s = 1 - n での留数と, \Gamma(s) の s = 1 - n での留数から,
 \zeta(s, x) の s = 1 - n での値 \zeta(1-n, x) を計算すること
ですから, 正しく \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s + n - 1)
の留数が計算できるようにお考え下さい.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp