工繊大の塚本です.

In article <75c8006a-c0e9-4993-98df-aa60d63a4108@fq4g2000vbb.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> In article <110620022050.M0425793@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > 先ず, { n \choose i }/n! = (1/i!)(1/(n-i)!) ですから,
> >  \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) u^n
> >   = \sum_{n=0}^\infty (\sum_{i=0}^n { n \choose i } B_i x^{n-i})/n! u^n
> >   = \sum_{i=0}^\infty (B_i/i!) u^i \sum_{n=i}^\infty (x u)^{n-i}/((n-i)!)
> >   = (u/(e^u - 1)) e^{x u}
> > となることは宜しいでしょうか.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop206__04.jpg
> となったのですが最後部分の
> Σ_{i=0}^∞(B_i u^i/i! Σ_{n=i}^∞(xu)^{n-i}/(n-i)!)から
> u/(exp(u)-1) Σ_{n=i}^∞(xu)^{n-i}/(n-i)!
> と変形できるのは何故なのでしょうか?

  \sum_{i=0}^\infty (B_i/i!) u^i \sum_{n=i}^\infty (x u)^{n-i}/((n-i)!)

の後ろの部分は, n - i = m と置けば,
 \sum_{m=0}^\infty (x u)^m/m! となり,
 i に無関係な定数となりますから,

  \sum_{i=0}^\infty (B_i/i!) u^i \sum_{n=i}^\infty (x u)^{n-i}/((n-i)!)
   = (\sum_{m=0}^\infty (x u)^m/m!) \sum_{i=0}^\infty (B_i/i!) u^i

となります. \sum_{i=0}^\infty (B_i/i!) u^i は
 Bernoulli 数の定義の式ですから,
 u/(e^u - 1) に一致します.

> 更にu/(exp(u)-1) Σ_{n=i}^∞(xu)^{n-i}/(n-i)!から
> uΣ_{n=0}^∞(xu)^n/n!/(exp(u)-1)
> と変形できるのも何故なのでしょうか?

 n - i を m と置き直して, \sum_{m=0}^\infty (x u)^m/m!
と書いても \sum_{n=0}^\infty (x u)^n/n! と書いても
同じであることを用いただけですね. 最後に

  \sum_{m=0}^\infty (x u)^m/m! = e^{x u}

であるのは, \exp 関数の定義です.

> >  \int_0^1 e^{- x u}/(1 - e^{-u}) u^{s-1} du
> >   = \int_0^1 e^{(1-x)u}/(e^u - 1) u^{s-1} du
> >   = \int_0^1 (u e^{(1-x)u}/(e^u - 1)) u^{s-2} du
> >   = \int_0^1 (\sum_{n=0}^\infty (B_n(1-x)/n!) u^n) u^{s-2} du
> >   = \int_0^1 \sum_{n=0}^\infty (B_n(1-x)/n!) u^{n+s-2} du
> > となります.
> 
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop206__05.jpg
> ∫_0^1(Σ_{n=0}^∞Bnl(n)u^n/n!) uexp(-xu)u^{n-2}duから
> ∫_0^1(Σ_{n=0}^∞Bnl(n)(1-x)u^n/n!) u^{n-2}du
> と変形できるのは何故なのでしょうか?

折角 \int_0^1 u \exp((1-x)u)/(e^u - 1) u^{s-2} du と
したのに, その形を崩してはいけません.

  u \exp(x u)/(e^u - 1) = \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) u^n

なのですから, x のところに 1 - x を代入すれば,

  u \exp((1-x) u)/(e^u - 1) = \sum_{n=0}^\infty (B_n(1-x)/n!) u^n

となります. これを積分に代入すれば,

  \int_0^1 u \exp((1-x) u)/(e^u - 1) u^{s-2} du
   = \int_0^1 \sum_{n=0}^\infty B_n(1-x)/n! u^{n+s-2} du

となります.

> > 更に, B_n(1-x) = (-1)^n B_n(x) ですから,
> 
> この公式はどうして成立つのでしょうか?

  \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) u^n
    = u e^{x u}/(e^u - 1),
  \sum_{n=0}^\infty (B_n(1-x)/n!) u^n
    = u e^{(1-x) u}/(e^u - 1)
    = u e^u e^{- x u}/(e^u - 1)
    = u e^{x (-u)}/(1 - e^{-u})
    = (-u) e^{x (-u)}/(e^{-u} - 1)
    = \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-u)^n
    = \sum_{n=0}^\infty ((-1)^n B_n(x)/n!) u^n

の u^n の係数の比較から分かります.

> >   = \int_0^1 \sum_{n=0}^\infty (-1)^n B_n(x)/n! u^{n+s-2} du
> > となります. この収束は一様ですので,
> 
> すみません。 どうしてΣ_{n=0}^∞∫_0^1 (-1)^n B_n(x)/n! u^{n+s-2} duが
> 全複素平面で一様収束する事が分かるのでしょうか?

そうではなく, u \in [0, 1] で

  \sum_{n=0}^\infty (-1)^n B_n(x)/n! u^{n+s-2}
   = u e^{-x u}/(1 - e^{-u}) u^{s-2}

の収束が一様収束であるという主張です.
 u/(e^u - 1) の収束半径は 2 \pi ですから,
そうなります.

> > 先ず, \zeta(s, x + 1) = \zeta(s, x) - x^s ですから,

おっと失礼, \zeta(s, x+1) = \zeta(s, x) - x^{-s} ですね.

> > 0 < x \leq 1 について証明できれば良いことに注意しましょう.

以下は同様.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop206__06.jpg
> としてみたのですが
> 1/lim_{n→∞}(n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k))
>  [Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(x+1)/(n!(s+n-1)
>   +∫_0^∞ exp(-(x+1)u))u^{s-1}/(1-exp(-u)) du]から
> 1/lim_{n→∞}(n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k))
>  [Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(x)/(n!(s+n-1)
>   +∫_0^∞ exp(-xu)u^{s-1}/(1-exp(-u)) du]-x^s
> と変形できるのは何故なのでしょうか?

先ず, \Gamma 関数を
 \lim_{n \to \infty} n^s n!/(\prod_{k=0}^n (s + k))
と表示することは, この際, 何の役にも立ちませんから,
止めましょう.

 \zeta(s, x+1) = \zeta(s, x) - x^{-s} となることは
積分表示から出ることではありません.
 Re(s) > 1 においては,

  \sum_{n=0}^\infty 1/(x + n)^s
   = 1/x^s + \sum_{n=1}^\infty 1/(x + n)^s
   = 1/x^s + \sum_{m=0}^\infty 1/(x + m + 1)^s
   = 1/x^s + \sum_{n=0}^\infty 1/((x+1) + n)^s

ですから, 解析接続した関数 \zeta(s, x), \zeta(s, x+1) についても

  \zeta(s, x) = \zeta(s, x+1) + x^{-s}

が成立します.

> そして,Σ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(x)/(n!(s+n-1))がC〓{1,0,-1,-2,-3,…}で正則を示すのに
> 0<x≦1のみでΣ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(x)/(n!(s+n-1))が
> 正則を示せば十分であるのはどうしてなのでしょうか?

示したいのは, \zeta(s, x) がどう解析接続されるか, です.
 1 < x であれば, \zeta(s, x) = \zeta(s, x-1) - (x-1)^{-s}
ですから, 0 < x - N \leq 1 となるように N を選んで,
 \zeta(s, x) = \zeta(s, x-N) - (x-1)^{-s} - (x-2)^{-s} - \cdots - (x-N)^{-s}
と書き表せば, \zeta(s, x-N) の表示から
 \zeta(s, x) の表示も得られますから,
 0 < x \leq 1 と仮定して,
 \zeta(s, x) の全複素平面での有理形関数としての表示を
求めれば良いわけです.

> そして1/2^n-|Σ_{i=0}^n n_C_i (B_i)x^{n-i}|/n!≧0という
> 不等号が成立つのはどうしてでしょうか?

 B_n(1-x) = (-1)^n B_n(x) でしたから,
 B_n(x) は x = 1/2 に関して,
自然数 n が偶数のとき, 偶関数,
自然数 n が奇数のとき, 奇関数になっています.
特に, 自然数 n が奇数のとき B_n(1/2) = 0 です.
又, (d/dx)(B_n(x)) = n B_{n-1}(x) が分かりますから,
 
  \int_0^1 B_n(x) dx
   = (1/(n+1)) \int_0^1 (d/dx)(B_{n+1}(x)) dx
   = (1/(n+1)) (B_{n+1}(1) - B_{n+1}(0))

となり, 自然数 n が偶数でも,
 B_{n+1}(1) = (-1)^{n+1} B_{n+1}(0) = B_{n+1} = 0
ですから, \int_0^1 B_n(x) dx = 0 です.
このとき, ある x_n \in (1/2, 1) において B_n(x_n) = 0 であることが
分かります.
自然数 n が奇数のときは x_n = 1/2 としましょう.

さて, |B_k(x)/k!| \leq 1/2^k であるとき,
|B_{k+1}(x)/(k+1)!| が x_M \in [1/2, 1] において最大であるとすると,

  |B_{k+1}(x_M)/(k+1)!|
   = |\int_{x_k}^{x_M} (d/dx)(B_{k+1}(x)) dx|/(k+1)!
   = |\int_{x_k}^{x_M} (k+1) B_k(x) dx|/(k+1)!
   \leq |\int_{x_k}^{x_M} (k+1) k! (1/2^k) dx|/(k+1)!
      = |x_M - x_k| (k+1) k! (1/2^k)/(k+1)!
      \leq (1/2) (k+1)! (1/2^k)/(k+1)!
         = 1/2^{k+1}

となりますから, |B_{k+1}(x)/(k+1)!| \leq 1/2^{k+1} が
成立します. 明らかに

  |B_1(x)/1!| = |x - 1/2| \leq 1/2  (x \in [0, 1]) 

ですから, 数学的帰納法により, 任意の自然数 n について

  |B_n(x)/n!| \leq 1/2^n  (x \in [0, 1])

です.

> そしてΣ_{n=R+2}^∞ B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)が{s∈C;|s|<R}で
> 正則であるような正実数Rをどのように採ればいいのでしょうか?

問題の設定がおかしい. 任意に自然数 R を取る時,

  \sum_{n=R+2}^\infty B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)

について,

  |B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)|
   \leq (1/2^n) (1/(R+2-1-|s|))

ですから, |s| \leq R では

  |B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)| \leq 1/2^n

となって, Weierstrass の優級数判定法より,

  \sum_{n=R+2}^\infty B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)

は正則になります. R は任意ですから,

  \sum_{n=0}^\infty B_n(x)/n! (-1)^n/(s+n-1)

は, 全複素数平面の任意の点のある近傍において,
正則関数と有限個の有理関数の和として常に表示できますから,
全複素平面で, 有理型になります.

> 更にΣ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(x)/(n!(s+n-1))がs=1,s=0,s=1,…で
> 一位の極を持つ事を言う為に
> Σ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(x)/(n!(s+n-1))=Σ_{n=0}^∞c_n(s-1)^n+b/(s-1),
> Σ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(x)/(n!(s+n-1))=Σ_{n=0}^∞c_n(s-0)^n+b/(s-0),
> Σ_{n=0}^∞(-1)^nB_n(x)/(n!(s+n-1))=Σ_{n=0}^∞c_n(s-(-1))^n+b/(s-(-1)),
> 鐚^Z
> なる
> c_n∈Cと(0≠)b∈Cをどのように採ればいいのでしょうか?

自然数 N について, s = - N でどうなるかが知りたければ,
和を |s| \leq N で正則な部分と, それ以外の部分に
分ければ良い.

  \sum_{n=0}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s+n-1)
   = \sum_{n=0}^{N+1} (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s+n-1)
     + \sum_{n=N+2}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s+n-1)

とすると \sum_{n=N+2}^\infty (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s+n-1)
は s = - N で正則です.

 \sum_{n=0}^N (B_n(x)/n!) (-1)^n/(s+n-1) も s = - N で正則です.

  (B_{N+1}(x)/(N+1)!) (-1)^{N+1}/(s + N+1 -1)
   = (B_{N+1}(x)/(N+1)!) (-1)^{N+1}/(s + N)

が s = - N で一位の極を持つことは自明です.
 s = 1, s = 0 でも同様です.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp