工繊大の塚本です.

In article <f22c9ead-6c60-48dd-9a5e-aa7c6b914da8@v31g2000vbs.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_4__22.jpg

 Abel の定理を使うなら, 示すべきは,
ある正数 M があって,
 n \leq m なる任意の自然数 n, m について,
 |\sum_{k=n}^m \chi(k)| < M,
となることです.

> にてχの値域がC^×を言わなければならないと思うのですが

そのような必要はありません.

> χ({1,2,3,…,N-1})が0を含まない事はどうすれば言えますでしょうか?

勿論, 一般には 2, 3, \dots, N-2 の中に
 N と互いに素でないもの k もあるでしょうから,
そのような k については \chi(k) = 0 です.

> この積分路をC:z(t)=x(t)+iy(t)とすると
> 0<t<1/12 の時
> x(t)=1/t-12+√3/2 
> y(t)=1/2
> 1/12≦t≦11/12の時
> x(t)=cos(2tπ) 
> y(t)=sin(2tπ) 
> 11/12<t<1 の時
> x(t)=1/(1-t)-12+√3/2 
> y(t)=-1/2
> という曲線になるのですね。

その曲線上の積分でも同じ値になるということでは
間違ってはいませんが,
 Re(s) > 1 では \sum_{n=1}^\infty 1/n^s と等しくなる
ことが分かりやすい曲線を取る方が良いでしょう.

> そして
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/def_08.jpg
> がζ関数の一般での定義式になるのですね。

まあ, そう思っても構いません. 普通は表示式だと言いますが.

 \Gamma function の解析接続はどうするか, については,
別の所で既に示しました. それを使いたくないということなら,
確かに

  \Gamma(s) = \lim_{n \to \infty} (n^s n!)/(\prod_{k=0}^n (s+k))

という公式もありますが,

> In article <110614173230.M0116118@ras2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > で, その極限が C から非正の整数を除いたところで
> > 存在して,

> どうすれば存在が分かりますでしょうか?

存在が分からないなら使わない方が良いですね.

> > 正則になることが分かりますか.
> 
> すいません。lim_{n→∞}n^s n!/Π_{k=0}^n (s+k)の微分
> d/ds lim_{n→∞}n^s n!/Π_{k=0}^n (s+k)はどのように計算すればいいのでしょうか?

正則になることが分からないなら使わない方が良いですね.

> はい、Γ(s)はRe(s)>1では正則ですから勿論,極限が存在しますね。

それは広義積分 \int_0^\infty x^{s-1} \exp(-x) dx から
分かることで, \lim_{n \to \infty} (n^s n!)/(\prod_{k=1}^n (s+k))
から分かるわけではない.
だから, このままでは後者を持ち出す理由がない.

 Wikipedia では,  Re(s) > 0 で広義積分と一致するその乗積表示から,
 1/\Gamma(s) の Weierstarss の乗積表示

  1/\Gamma(s) = z e^{\gamma z} \prod_{m=1}^\infty (1 + z/m) e^{-z/m}

が得られることを述べていますが, この乗積表示が収束して
正則関数を表すことは, 少し考えれば分かるでしょう.
使うなら, この乗積表示を使うのですね.

> L(s,χ)=Σ_{a=1}^∞χ(a)ζ_{≡a(modN)}(s)が

  L(s, \chi) = \sum_{a=1}^{N-1} \chi(a) \zeta_{\equiv a (N)}(s)

が正しい.

> 一般でのDirichlet L functionの定義式でしたね。

それは L function の定義式というよりも,
関係式, 或いは, 表示式というべきものである,
という話は別にしました.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/def_meromorphic.jpg
> が有理型関数の定義ですから
>  C \setminus IsoC(但し,IsoCはCの孤立点の集合)で正則,
> z∈IsoCでL(s,χ)=Σ_{k=0}^∞c_k(s-z)^k+Σ_{k=1}^∞ b_k/(s-z)^k
> (但し{b_k∈C \setminus {0};k∈N}≠φ)なるc_k,b_k∈が存在するということですよね。

 b_k の中で 0 と異なるものは有限個である,
というのが高々極になるということで,
大事な条件です.
貴方の書いているものにはその条件がありません.

> > C から孤立する点集合を除いたところで定義された正則関数で,
> > 除かれた孤立点を極とするものです.
> 
> ところでCの孤立点って存在するのでしょうか?

 C 自身には孤立点はありませんが,
 C の部分集合で孤立点のみからなるものは
当然ながらあります.

> > だから, 貴方の言う g(s) の方が L(s, \chi) なのですが,
> > 貴方の言う g(s) は最初から C 全体で正則としているのが
> > 少しまずい. \chi によっては, L(s, \chi) は極を持ちます.
> 
> という事は有理型関数の定義は
> 『Let C⊃D be an open region. Then Map(D,C∪{∞})∋f is meromorphic on D.
> ⇔ (i) f is holomorphic on D'⊂D, (ii) if D〓D'≠φ then D〓D'=IsoD and z is
> a pole for∀z∈IsoD』
> と書き直せますね。

私の書いたことと, 貴方が述べていることは,
「という事は」で結べるようなことではないでしょう.

> そして,χによってはIsoC={s∈C;L(s,χ)はsで正則}≠φと

 L(s, \chi) が s で正則 *でない* ような s の集まり
という C の部分集合が孤立点だけからなっていて,
それが空集合でない, です.

> 成り得る場合もあるという事ですね。

ちゃんと間違えずに書き写して下さい.

> なので
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/def_meromorphic__00.jpg
> がDirichletのL関数の一般での定義となるのですね。

駄目です. \zeta_{\equiv a (N)}(s) は
 \sum_{m=0}^\infty 1/(a + m N)^s ではなくて,
それを全複素数平面に有理形関数として解析接続したもの,
としなければなりません.
そうすれば, s = 1 を除いては,
 L(s, \chi) = \sum_{a=1}^{N-1} \chi(s) \zeta_{\equiv a (N)}(s)
です.

> > 但し, b_k についての条件は正確ではありませんが.
> 
> その条件とはb_k≠0ですね。

違います. b_k (k \in N) の中で 0 でないものは
有限個で, 一つはある, というのが一般に極である為の条件です.
 L(s, \chi) の場合, 極になり得るのは s = 1 だけで,
極になるとすれば一位であるので, 更に条件が制限されます.

> > L(s, \chi) の C から s = 1 を除いたところでの形は
> > 分かります.
> 
> L(s,χ)=Σ_{a=1}^{N-1}χ(a)ζ_{a(modN)}(s)ですよね。
> でも
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/theorem3_4__23.JPG
> ではs=1ででも具体的な形を持ったのですね。

そう, \chi(-1) = -1 であれば,
 L(s, \chi) は s = 1 でも正則ですので,
 L(1, \chi) の値が考えられます.
それを計算する為に定理 3.4 が用意されたのです.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp