工繊大の塚本です.

In article <ade78fa5-a669-4fcc-a5a3-f660c66c9978@l1g2000yqk.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 結論は「SがHausdorff次元ln3/ln2を"きっかり"持つ」というのですね。
> 余談ですがHausdorff次元を複数持つ図形ってあるのでしょうか?

ひとつの図形については Hausdorff 次元は一意に決まりますが,
 S = S_1 ∪ S_2 ∪ … ∪ S_N となっているときに,
 S_i の Hausdorff 次元が異なることはあります. そのときは
 dim S = max dim S_i となります. 可算和なら max を sup に
して同じことが成り立ちます.

> するとα =log 3/log 2の時,m_α(S)≦1となるのはどうしてでしょうか?

それが直ぐ後に証明してあることです.

> そうですね。右辺はぴったし覆ったものの直径の総和になってませんね。
> 単に直径2^-Kの集合3^K個の直径の総和になっているだけでしたね。

いや, それは特別な一つの被覆についての計算になっているわけです.
その被覆についての計算で diam の α = log 3/log 2 乗の和が
 1 以下なのですから, 2^{-K} < δ の時に H_α^δ(S) ≦ 1 が
分かります. 従って, 任意の δ について H_α^δ(S) ≦ 1 が
分かり, 結局, m_α(S) ≦ 1 です.
 
> この定理ではα=log 3/log 2を持つ事を示しているのですよね?
> なのにα = log 3/log 2と仮定してしまっているのはどうしてでしょうか?
> どのような手順で証明されてあるのでしょうか?

 α = log 3/log 2 とすれば, m_α(S) ≦ 1 となることを,
具体的な被覆を用いて示しているわけです.

# そういう α を取れば良い, というのは, どんな被覆があるか,
# ということから見つけたわけですが.

このように, 上からの評価は, 具体的な良い被覆を一つ見つければ
示せますが, 下からの評価は, どんな被覆についてもある値以上に
なることを示さないといけないので難しいわけです.

> 1/2^k≦min{diamB_j;1≦j≦N}≦2/2^kなるB_jを採れる事は分かります。

これは, 被覆 { B_j } について k を定めているので,
 k から被覆が決まるのではないです.

> 結局,cとしてどんな値が採れるのでしょうか?

それは証明を全部読まないといけませんね.

> 段々,証明の手順が分かってきました。
> つまり,α = log 3/log 2と仮定し0<m_α(S)≦1である事を示す。
> するとdimSとしてlog 3/log 2が考えられる
> (勿論,log 3/log 2以外のαでも0<m_α(S)≦1となるかもしれないんですよね)。

一つの α について 0 < m_α(S) < ∞ となれば,
他の β については 0 < m_β(S) < ∞ とはなりません.
実際, β < α なら m_β(S) = ∞, α < β なら m_β(S) = 0
となります.

> α = log 3/log 2以外では0=m_α(S) or m_α(S)=∞となる事は
> どうすれば示せますでしょうか?

だから, α = log 3/log 2 について 0 < m_α(S) を
示せばお仕舞いです. 本当に証明の手順が分かっていますか.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp