工繊大の塚本です.

In article <fc0d1ce1-035c-4839-b550-22f8f95794fc@u29g2000pro.googlegroups.com>
cchikakoo <cchikakoo@yahoo.co.jp> writes:
> 今回の問題の意味が分かってきました。Vの基底として色々なものが採れる
> (単に一次独立な基底や直交基底など)
> それでV=V_0(+)V_p(+)V_nで
> V_0:={v∈V;∀w∈V,<v,w>=0},V_pの元xはx≠0なら<x,x>>0を満たす,
> V_nの元はx≠0なら<x,x><0を満たす。
> そのような線形部分空間V_p,V_nを定めよ。
> と言う問題なのですね。

そう, うまく選び出すことができることを示すのです.

> もし,まだu_1, u_2, ... , u_tしかみつかっていない場合,
> v∈V\span{u_1, u_2, ... , u_t}の場合は
> V_0の基底{u_1, u_2, ... , u_t}のみで
> 直交化v'=v - Σ_{i=1}^t (<v, u_i>/<u_i, u_i>)u_i してやるのですね

最初は直交化の必要がありません. 元から <v, u_i> = 0
ですから. 又, <u_i, u_i> = 0 ですから, 上の式は意味を
持ちません.

> このvはV_pかV_nのどちらかの元でもないのですね。
> だとしたらvはV_pとV_nから生成された元でしかありえない。
> ただ,V_0の元でない事だけは言える。

そうです.

> In article <081013174358.M0231999@cs1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > <v, w> = 1 となる V の元 w が存在します.
> 
> なぜなら<v,w>≠0なるw∈V\span{u_1,u_2,…,v_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_s}が
> 存在しないとしてみると
> この∀w∈V\span{u_1,u_2,…,v_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_s}に対して,
> <v,w>=0でなければならず,
> ∀w∈span{u_1,u_2,…,v_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_s}に対しも<v,w>=0となり
> (∵vはu_1,u_2,…,v_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_sで直交化済み)
> v∈V_0となり,u_1, u_2, ... , u_t以外に一次独立な
> u_1, u_2, ... , u_t,v∈V_0が採れた事になり
> {u_1, u_2, ... , u_t}がV_0の既に基底であった事に矛盾)

そう考えても良いですが, w が u_k, v_i, w_j, v らの張る
部分空間に入らないことは, 後で見たように, 簡単に分かり
ますから, v は V_0 に入らないので何か <v, w''> ≠ 0 と
なる w'' ∈ V がある, ということより w の存在を導けば
十分です.

> > やはり Gram-Schmidt の直交化で
> >  w' = w - Σ_{i=1}^r (<w, v_i>/<v_i, v_i>) v_i
> >         - Σ_{j=1}^s (<w, w_j>/<w_j, w_j>) w_j
> > を作ると,
> 
> なぜu_1, u_2, ... , u_t無しで直交化するのかは
> 既にwはu_1, u_2, ... , u_tと一次独立状態なので
> v_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_sのみで直交化して
> u_1, u_2, ... , u_tと一次従属になる事はあり得ないからなのですね。

 u_k の部分は直交化しなくても直交しているからです.
一次従属にならないことは <v, w> = 1 から分かります.

> > <v, w'> = 1 のままで,
> 
> なぜなら<v,w'>=<v,w-Σ[i=1..r]v_r-Σ[i=1..s]w_i>
> =<v,w>-<v,Σ[i=1..r]v_r>-<v,Σ[i=1..s]w_i>
> =1-0-0=1
> ですね。

そうです.

> > Case 3-3: <w, w> = 0 のとき.
> > <v, v> = 0, <w, w> = 0, <v, w> = 1 ですから,
> > <v + w, v + w> = 2 > 0, <v - w, v - w> = - 2 < 0
> > となっています.
> 
> vとwは既にv_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_sと直交化済みなので
> v+wやv-wもv_1,v_2,…,v_r,w_1,…,w_sと直交してますね。

そうです.
 
> > こうしていずれの場合も性質を満たす一次独立な V の
> > ベクトルの列で, 個数が増えたものが構成できます.
> > V が有限次元であれば, この構成を続けることにより
> > V の直交基底で求める性質を満たすものが得られる
> > ことになります.
> 
> 納得です。

 V の直交基底 u_1, u_2, ... , u_t, v_1, v_2, ... , v_r,
 w_1, w_2, ... , w_s で, u_1, u_2, ... , u_t が V_0 の
基底, <v_i, v_i> > 0, <w_j, w_j> < 0 を満たすものが存在
することが分かっていただければ, 結構です.

そこで, V_p を v_1, v_2, ... , v_r で張られる部分ベクトル空間,
 V_n を w_1, w_2, ... , w_s で張られる部分ベクトル空間とします.
これが条件を全て満足することはお確かめいただけたと思います.
 
> よって,後,考えられる事はこのvはV_pの元とV_nの元とで生成される元なのですね?

その通りです. 以下の例でも確認できますね.

> > 非定値な内積を扱う場合, <v, v> = 0, <w, w> = 0, <v, w> = 1
> > となる v, w が出て来るのが特徴的です. R^2 の内積として,
> > <(x_1, y_1), (x_2, y_2)> = x_1 y_2 + x_2 y_1 を与えると
> > v = (1, 0), w = (0, 1) がそうなります.
> 
> <v,v>=<(1,0),(1,0)>=0,  <w,w>=<(0,1),(0,1)>=0, <v,w>=1となりますね。
> v,w∈span(V_p∪V_n)となりますね
> (∵(1,1)∈V_p,(1,-1)∈V_nでv=1/2((1,1)+(1,-1))
> w=1/2((1,1)+(-1,1)))。

先の構成では v, w に対して, v + w を v_1 に, v - w を w_1 に
しましたから, V_p は (1, 1) で張られる部分ベクトル空間,
 V_n は (1, -1) で張られる部分ベクトル空間としているので,
その通りです.

> > この R^2 の内積は
> > で挙げた <(x_1, y_1), (x_2, y_2)> = x_1 x_2 - y_1 y_2
> > という例と同値です.
> > この例の場合にはどうなるか, 良くお考え下さい.
> 
> V_0={(0,0)},V_p=span{(1,0)},V_n=span{(0,1)}
> と取れますね。
> dimV_0=0,dimV_p=dimV_n=1となりますね。

そういうことです. なお, 先の例でもそうですが,
 v_1, w_1 の取り方は, 実はそれには限りません.
 a ≠ 0 なる a について
 v_1 = (a + 1/a, a - 1/a), w_1 = (a - 1/a, a + 1/a) と
することも出来ます. これは
 v = (a, a), w = (1/a, -1/a) に
対応しています. (この場合は <v, v> = 0, <w, w> = 0, <v, w> = 2
ですが. <v, w> = 1 としたいなら, 全てのベクトルを 2^(-1/2) 倍
して下さい.)
-- 
塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp