In article <20050403215848cal@nn.iij4u.or.jp> cal@nn.iij4u.or.jp writes:
>もともと条例というのは
(中略)
>「立法・行政・司法」のどれかと言えば
>「立法」に他なりません。
>
>上の文をそれで書き直すと
>>違法な立法というのは、法が無い状態から有る状態へのプロセスに違法があった
>>と言う意味に
>>違法な立法というのは、プロセスは適法だったができあがった条例が違法と受け
>>止めたのですが。
>となり、明らかに間違いです。
それは、反論のロジックとして誤っていますね。

“「立法・行政・司法」のどれかと言えば「立法」”であるからといって、
文章中の「条例」という言葉を任意に「立法」に置換できるわけではありません。
「条例」という言葉は基本的には行為の「対象物」「結果生成物」を指し、
「立法」という言葉は基本的には行為そのものを指す言葉ですから、
その基本に従った文脈で使われている限り、置換することはできません。

言い換えると、本来の「基本的な語義」としては、
「条例」はあくまで「立法に密接に関わるもの」であって
「立法の一種」では無いのです。

そして、この「基本的な語義」に沿って表現するなら、
まつむらさんのいう
>>違法な立法というのは、法が無い状態から有る状態へのプロセスに違法があった
>>と言う意味に
>>違法な条例というのは、プロセスは適法だったができあがった条例が違法と受け
>>止めたのですが。
という使い分け、即ち
>「違法な手続によって作られた」
>ことと
>「手続自体は適法であるが内容が違法」
>ことと
を区別する目的で使い分けるのは、極めて自然なことです。

問題は、必ずしもこの「基本的な語義」に沿って表現されるとは
限らないということです。
“違法な「条例の制定過程」”のことを“違法な条例”と表現したり、
“違法な「立法の生成物」”のことを“違法な立法”と表現したりすることは、
文脈によっては有り得ます。
そうなってくると、「条例」が「立法の一種」となり、
文章中の「条例」という言葉を「立法」に置換できる場合が生じてきます。
佐々木さんの挙げた用例は、それを前提にしないと理解できません。

そういう意味で、
「違法な立法」「違法な条例」という言葉遣いを見て、
「手続きの違法性」「内容の違法性」に《無批判に》結びつけるのは、
誤りであると言うべきでしょう。

結局、佐々木さんの
>違います。
という結論は是認できますが、
そこに至る論旨は是認できません。

                                戸田 孝@滋賀県立琵琶湖博物館
                                 toda@lbm.go.jp