青龍です。

"kaz hagiwara" <kazhagiwara@yahoo.co.jp> wrote in message news:2pu45tFpavlkU1@uni-berlin.de...
> なにしろ、元が国を挙げての「正義」だから、あとで、それが犯罪だということ
> になっても、「当時は正義だった」「やらねばならない正統な理由があった」
> 「犯罪としたのは、後の時代の価値観であるにすぎない」「結局勝てば官軍の論
> 理にやられただけだ」という気分がいつまでも消えません。一個人なら消えて
> も、社会になるとずっと消えないで残ります。

 この理屈でいくと、過去の故意行為については、謝罪どころか反省すら
出来ないことになってしまいます。
 しかし、日中共同宣言の際に、過去の侵略について謝罪だけでなく反
省の意も表さなかったら、そもそも国交回復自体が出来たかどうか疑問
です。
 同じく、敗戦国であるドイツも過去のナチスの犯罪について徹底的な反
省の姿勢を取ることによってようやく西欧社会に復帰出来たのです。
 幸か不幸かは、人によって評価が異なるでしょうが、日本が侵略戦争を
やって負けた時点で、戦勝国である中国に対して何らかの反省や謝罪の
意を示すことは不可避だったと思います。
 
> そういう意味では、
> 
> >  中国のやり口が以上のようなものであれば、「書面」で明確に謝罪して、
> > その態度を徹底すればこのやり口は破綻してしまうのでしょうね。
> 
> 上記のような社会的気分が残っている限りは、「書面で明確に謝罪」したって、
> 「その態度を徹底」することは到底無理です。なかんずく政権政党内にそんな気
> 分がまだ色濃く残っていますから、口頭であろうが、書面にしようが、いずれボ
> ロが出る。書面にした上でボロが出るのは、口約束だけのときよりまだ始末が悪
> いわけです。そうなれば中国の「やり口」が破綻するどころか、その口実を「書
> 面」によって補強してしまうことになります。

 ここで、ぼろが出るのは、それこそ日本の外交が稚拙だからでしか
ありません。日本政府の立場が明確に決まっているのに、政府を構
成する首相や閣僚が本音を出すのは、外交的には致命的なミスです。

> つまり、故意でやったことに対して詫びを入れてしまうことは、こうした構造的
> なねじれを生み、国の対応の一貫性のなさを突く隙を相手に与え続けることにな
> るわけです。
> 
> 「故意でやったんなら謝るべきではない」というのが、世界各国の外交方針の大
> 勢を占めるゆえんでしょう。

 萩原さんの主張の問題点は「構造的なねじれ」といって、政府内
での失言を容認してしまうことでしょう。一旦閣僚になった以上、心
の中でどう思っていようと、政府の立場と矛盾することを言わない
のは当然のことです。
 また、政府外で、過去の侵略を正当化するような発言があったら、
政府がそのような立場を取らず、反省の立場を維持し続けることを
明らかにすることで国としての立場は一貫性を保つことが出来るの
です(ドイツでも市民レベルではネオナチなど過去の犯罪を正当化
する人が少なからずいますが、ドイツ政府はそのような正当化に対
して明確に反対し、批判をすることで国家としての立場の一貫性を
保ってきました)。
 すなわち、政府にまともな判断能力があるのであれば、政府から
過去の侵略を正当化するような発言が出てくるようなことは決して
構造的なねじれではなく、政府のミスにすぎません。そこで、ミスを
した日本側が、中国がそのような状態に追い込んだと非難しても、
鼻で笑われるだけだと思います。