青龍です。

"Yoshitaka Ikeda" <ikeda@4bn.ne.jp> wrote in message news:ch9so9$eaj$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp...
> Sin'yaさんの<ch9pp4$luo$1@news-est.ocn.ad.jp>から
> >>>>>> In <ch5kl3$gc7$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp> 
> まあ、そうかもしれません。実際にアメリカの非難の根拠はこれにありました
> が。が、実際のところ悪かろうが悪くなかろうが、私の主張に変化があるわけ
> でもないので、これ以上これについては述べませんが、こういう事例は割と他
> にもあります。有名どころではソビエトの満州国及び北部日本への侵略です
> が。
> 
> 
> 私の書きたかったことの多くは、
> 「殆どの国は、侵略についての謝罪も、植民地支配についての謝罪も行ってい
> ない」
> という事実がまず一つです。
> ここで、「他が謝罪しなかったら、謝罪しなくてもいいというのは子供の意見
> だ」という反応がありましたが、こういうのこそ「子供の意見」です。

 これは、yamさんの投稿のことですね。
 でも、この件については、yamさんの言っている方が説得力がありますよ。
 池田さんは、他に過去の侵略を謝罪している国家が少ないから、謝る必
要はないといっていますが、他の国が謝っていないのだからと言う理由だけ
では、理由としてはあまりにも弱すぎます。
 兼松さんも指摘しているように、中国への侵略は当時の国際条約にも反
していたわけですから、道義的にも法的にも正当化出来ないものです。
 その結果、中国の人民に多大な被害を与えたのである以上、侵略につい
て謝罪するのは一般的な道徳観念からすればごく当たり前のことです。
 
 このように書くと、個人間の関係と国際関係は違うという、お決まりの反論
が出てきますが、では、個人間の関係と国際関係で結論を異ならせる要素
とは何なのかが、問われなければなりません。これを問題にすることなく、国
際関係は個人間の関係と違うと言い続けても説得力はありません。
 この点について、池田さんは、「国際社会において謝罪は無意味」と主張し
ています。これが謝罪の必要が無いという理由なのか、結論なのか不明です
が、結論なら不要だという主張の反復にすぎず独立した意味を有しないので、
とりあえず、理由だと仮定して話を進めます。
 「国際社会において謝罪は無意味」という主張は、池田さんの
"Yoshitaka Ikeda" <ikeda@4bn.ne.jp> wrote in message 
news:ch5kl3$gc7$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp...
> 賠償金というのは何で払うんですか?
> 「戦争の結果によって固定された外交上の優越関係を解消する」
> ために払うものが賠償金じゃないんですか?
 という投稿と合わせて理解すべきだと思います。
 このふたつの主張を統合すると、戦争による二国間の関係は賠償によって
解決するものであり、且つ賠償をすればそれで十分であると言うことになりま
す。
 これを日中間の関係に当てはめると、日本が支払うべき賠償金を中国側が
放棄した以上、それによって問題は解決し、謝罪も反省も必要なくなると言うこ
とになるでしょう。
 池田さんの今までの投稿からすると、日本がこのような主張をした結果、中国
を起こらせてもかまわない。戦争にならない程度にあしらっておけばいいし、うる
さく言うようならODAの中止をちらつかせて黙らせればいいという考えのようです。
 しかし、この結論は道義的には非常識極まりないものであることは当然として、
国際関係上も、共同宣言によって修復しかけた日中関係を決定的に破壊する
ものであり最悪の選択といえるでしょう。また、それは中国や韓国との関係のみ
ならず、日本の侵略の被害を受けた東南アジア諸国との関係も大幅に悪化させ
るでしょう(これらの国がこの問題に関心を持っていないと言うのは池田さんの希
望的観測にすぎません。ここまであからさまな態度を取れば、どう転んでも対日
感情は悪化するでしょう))。
 その結果、アジア諸国との関係は決定的に悪化し、アジアの中で孤立し、今まで
以上にアメリカのいいなりになるしか国際社会で生きていく道はなくなってしまうでし
ょう。

 また、池田さんは謝罪をするとまずいともいっていますが、なぜまずいのかにつ
いては言及していません。
 このようにここまでの発言を見る限り、なぜ個人間の関係と異なり、国際社会で
は、侵略を謝罪しないのが当たり前なのかを説明する実質的な理由は出てこず、
他の国が謝っていないからと言う以上の根拠を示していません。この段階で池田さ
んの主張を正当化することは困難です。

# どうも、池田さんの主張を見ていると、国際関係をパワーポリティックスのみで
 捉えてしまう傾向があるようです。その様な捉え方は道義的に問題があるだけ
でなく、国際関係も悪化させてしまうという点で現実の国際政治からも遊離してい
るのではないでしょうか。

 池田さんの主張について考える鍵として、ユーゴスラビア紛争の際にNATO米
軍が中国大使館を誤爆した事例を挙げたいと思います。このときアメリカは誤爆を
認め中国側に謝罪し、且つ賠償もしています。
 これに対しては、誤爆は過失であるのに対し、侵略は故意にやったものだから
同列に扱うべきではないと言う反論がありそうです。
 しかし、第一に謝罪と賠償が両方とも為されていると言うことは、池田さんがいう
ように、国家間の関係が賠償だけで片づくものではないということを示唆していま
す。
 また、故意と過失は異なるという主張については、過失の結果与えた損害につい
て謝罪するのに、なぜ、道義的にも法的にも問題のある故意行為によって与えた損
害については謝罪する必要はないのかという問題を新たに提起することになるでしょ
う。