In article <040427194243.M0112974@flame.hirata.nuee.nagoya-u.ac.jp> takao@hirata.nuee.nagoya-u.ac.jp (Takao Ono) writes:
>小野@名古屋大学 です.
        ...
>コーシーの平均値の定理:
>F(x), G(x) が区間 [a, b] で微分可能ならば
>[F(b) - F(a)] / [G(b) - G(a)] = F'(c) / G'(c)
>を満たす c ∈ (a, b) が存在する
>において F(h) = f(x+h) + f(x-h) - 2f(x), G(h) = h^2 とおけばでき
>るような気がします.

この方法だと f'' については x での存在だけあればいいわけですね。
だから塚本さんが言っているのもこれなのかな。
(あるいはそうではないかもしれない。)...(*)

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うーん、困ったな。
「ロピタルの定理」と言ったのはそういう話です、と言ったら怒る?
まあ怒るよね。もっともです。
だけどそう遠い話というわけでもない。

ロピタルはコーシーの平均値の定理の極限形ですよね。
で、ロピタルを使って:
 lim {f(x+h)+f(x-h)-2f(x)}/h^2 = lim {f'(x+h)-f'(x-h)}/2h

ここでロピタル一本で行くならもう1回使って:
 = lim {f''(x+h)+f''(x-h)}/2

となって x の近傍での f'' の存在とかも必要になるけど、
ロピタルはここでやめてしまって通常の極限計算に戻れば、
小野さんの言う:
 lim {f'(x+c)-f'(x-c)}/2c  (h→0 のとき c→0)

と大差ないことになります。ロピタルを回り道しただけで。
 # ちょうどこの直前に lim {f(x+2h)-f(x)}/h とか lim {f(x)-f(x-h)}/h 
 # (M_SHIRAISHI さんの間違いの1つ)とかの練習問題をやるわけだし。

もっとも、たぶんロピタルに引っ張られてでしょう、
コーシーから直接というのを見落としていたのは確かです。
ありがとうございます。
(ラグランジュの)平均値の定理だと f(x+h), f(x-h) がバラバラなのを、
まとめて面倒みてしまうわけですね。

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ただ、まだ問題はあります。

1つは証明として易しいかという点。
上でロピタルは回り道と書いたけど、証明過程は無視して
定理は所与と考えれば、コーシーよりはロピタルのほうが扱いやすい。
(もっともロピタルを1回使うと2回目まで突っ走りそうだけど。)

そしてロピタルが引っかかるのは、「h の関数として微分」というのが
発想の転換を伴う点で、これはコーシーでも同じこと。
発想の難しさだけでなく、「2階差分の極限は2階微分」がもっと
直接的に見えてほしいわけです。

(*) とここまで書いたら塚本さんの:
> ロピタルの定理がそれを使って証明されていることは御存知でしたか?

の記事が来たので、やはり塚本さんは違う考えのようですね。
うーん。見えない。

# ついでに、2次のテーラー展開もとりあえず知っているのは
# コーシーを使う流儀。

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鴻池さんのは「2階差分の極限は2階微分」の精神に沿っているのですが:
> f(x+Δx) = f'(x)Δx+f(x)              ------(1)
> f(x+2Δx) = f'(x+Δx)Δx+f(x+Δx)  ------(1')
> f'(x+Δx) = f''(x)Δx+f'(x)            ------(2)

これらはいずれも有限近似だから、誤差項が伴いますよね。
順に e1Δx, e2Δx, e3Δx とすると、
e1, e2, e3 はいずれも Δx→0 のとき、→0。
そうすると:
> f(x+2Δx)+f(x)-2f(x+Δx)=f''(x)(Δx)^2

には実際には:
 f(x+2Δx)+f(x)-2f(x+Δx)=f''(x)(Δx)^2 + (-e1+e2+e3)Δx
 {f(x+2Δx)+f(x)-2f(x+Δx)}/(Δx)^2 = f''(x)+ (-e1+e2+e3)/Δx
という誤差項がついて回る。
これが始末できない。いや、実際には消えるんですが、やり方がわからない。

(平賀)