In article <bo8j2g$hjh$2@zzr.yamada.gr.jp>, Koichiro wrote:
> > > # 常識や社会通念を疑うには案外コストが掛かるのです。
> > 
> > はてさて、どの程度の話なのかよく判りました。
> > 即ち、他人に説得できる程度のものではない、という
> > 事ですね。
> 
> いいえ。
> わたしの能力だと、まとめるのに軽く1年は掛かり、
> 書籍1冊分くらいの記述が必要です。
> それが形にできるまでお待ち戴ければ幸いなのですが。
> 
> 方向性としては、認識論的なものです。
> とっかかりだけ記しておくと、
> 社会心理学にfalse consensus effectという用語があります。
> 「自分が持っている意見は、世間でも一般的な意見である」
> という誰しも持っている思い込みのことですが、
> ここから内的規範や社会通念(として認識しているもの)などなどを
> 考察してゆく予定です。

 そんな大層なものを用意しなければならないと思う時点でおか
しいと思うべきですね。現実的な問題解決などできないという結
論になってしまうのですから。

 なぜ解決できないかというと、訴訟だの、マナー違反など、問
題認識がふらふら揺れる状況だからです。問題自体が自分に明確
になっていなければ、解決のしようもありません。具体的には、
解決のために適用されるべき「常識」も「社会通念」も定まりよ
うが無いということです。そんなときに、全てをカバーしないと
ならないという誤った結論に到達しがちなのです。
 これはよくあるパターンですから、すぐに分かります。

 脱却するためには、まず問題認識を整理することをお勧めしま
す。

> > > 私信の無断公開はマナー違反とされているからです。
> > > (少なくともわたしが暮らしてきた環境においては)
> > 
> > 頼光氏的に言えば、これはKoichiro 帝国でのみ通用する
> > 話であり、普通の告発では無断で行われるものです。
> 
> 「普通の告発では無断で行われる」というのは
> 狭猫帝国や頼光帝国では通用するのでしょうが、
> それ以外の世界でどれだけ通用するか疑わしいです。

 マナー違反という話は捨ててしまっているようですから、告発
の部分だけにしておきましょう。
 それにしても、不思議な感性ですね。
 北朝鮮からの脱出者が北朝鮮の内情を告発する際、金正日に断っ
ていると思っているのでしょうか。外務省の不正を内部告発した
官僚は、田中真紀子に断っていたと思っているのでしょうか。

 まあ、こういうのは極端な例ですが、普通は告発に当たって告
発相手と相談したりその意を汲んだりしません。告発とは、通常
の意味ではその相手と戦う行為ですし、戦いにおいては奇襲は有
効かつ常套の戦術ですから、「無断」なのがそもそもデフォルト
です。

 で、今回のようなずっとおとなしいケースにしたって、私は相
手の意を汲む気は全くありませんでした。いちおう、「お前が馬
鹿でないことが分かれば話は聞いてやるが、馬鹿のままだったら
公開の上批判する」と宣告はしましたし、実際馬鹿でなければ話
を聞くくらいはするつもりでしたが、本来そんなことをする必要
性も必然性も無いのです。

> 「普通の告発」とは、どこ/誰へおこなうものか考えてみましょう。
> たとえば雑誌や新聞の告発記事では
> 私信およびそれに類する文書を載せているものは皆無です。
> 警察や検察への告発については例外措置という扱いになっていますが、
> usenetは警察や検察に類する権限を持っていません。

 まず、「権限」の有無など、今の話には何の関係も無い話です
から、そんな点での差異を持ち出して違うと言い張ろうとしても
無駄です。

 また、雑誌や新聞で皆無というのは、誤りですね。「類するも
の」としては酒鬼薔薇少年の調書が雑誌に公開されました。雑誌
ではなく書籍ですが、最近出たダイアナ妃の暴露本などの暴露本
では、よく私信が(一部は伏せられますが)掲載されるものです。
 例の判例タイムズ掲載の判例も、このケースですね。

 で、ここからがポイントなのですが、こういう誤りを置いてす
ら、「雑誌や新聞がやらない」イコール「やらないことがデフォ
ルト」と言う材料には、なりません。
 例えば、単にリスクを犯すまでもない、とか、リスクを犯すの
が恐い、などと考えているの可能性も高いのです。実際、差別用
語辞書なるものを作って水平社が何か言うでもないのに勝手に自
主規制する業界なのですし、新聞や雑誌の経営という観点からし
たら、後述する Web Page の事例と同様に安全サイドに逃げる判
断をしても不思議はありません。

 従って、Koichiro 氏の結論を導くには、データ不足です。

> なお、私信の無断転載についてわたしと同じ立場を取る文書に
> http://www.egroups.co.jp/message/ethic315/48 (メーリングリスト)
> http://www1.oo.kawai-juku.ac.jp/kb/ (掲示板)
> などがあることを、傍証として挙げておきます。

 内容を確認しましたが、両方共「わたしと同じ立場」ではあり
ませんでした。Koichiro 氏は、本当にこれらの Web Pages を読
んでいるのでしょうか。読んだとして、少しはものを考えたので
しょうか。

 これらのページに記載されている話は、管理者のポリシーです。
 ポリシーは、管理者が自由に設定できる話です。そして、メー
リングリストやフォーラムの運営に責任を持つ立場からすれば、
管理コストを含めて考えればルールを安全サイドに倒して設定す
るのは当然の話です。
 無責任な Koichiro 氏や私とは、まるで違います。

 今の話はそういう運営責任のような制約が無い状態であり、だ
からこそ訴訟だのマナー違反だのクレームだのという漠とした異
議申し立てに私もきちんと応対できるのです。
 運営責任がある立場なら、こんな議論をするのは本業ではない
のですから、運用コストを考えてシンプルに「全面禁止」にする
選択を私だってリーズナブルと考えます。

 従って、そのような状況下での事例は、今の話と同等に扱うの
は、誤りです。

 結論として、傍証にすらなりません。

> > 事前に了解を得た上で転載するなり
> > 固有名詞を伏せ要約・リライトした形で紹介するなりすれば、
> > 次元Cの問題を起こすことなく次元Bを議論することが可能です。
> 
> 浅はかですね。
> 件の論議に於いて、全く意味のない事です。
> 容易に類推できる伏せ字や要約は、プライバシー保護にも
> 論議の助けにもなりません。
> 
> 類推困難かつ問題の本質を外さない要約をすればいい。
> それこそ要約者の腕です。
> 実際、教科書とか雑誌記事とかでの事例紹介では実現できてますよね。

 「すればいい」と言っていますが、これも誤りですね。
 要約などをするにはコストがかかります。要約などをする価値
を認めない人は、要約などしないでしょう。私もそうです。それ
とも、Koichiro 氏が公表しようとする者のコストを全て負担す
るのでしょうか。
 むろんそんなことは不可能ですから、「いい」などという結論
にはなり得ません。

 もっとも、理由があるなら、良識やマナーを大切に思う人はコ
ストを負うでしょう。私もそうです。負わない者は批判され非難
されるでしょう。私も批判します。
 つまり、Koichiro 氏のような主張をするならば、「理由」を
述べることが最も重要だということです。が、実際には
Koichiro 氏はきちんと理由を説明できていません。
 それでは、駄目です。

 何の理由も無く他人にコストを負担させることを要求するのは、
大変な甘えです。

> で、何がマナー違反かは個々人の価値観に左右される部分がある話なので
> ある価値基準が世間でどんな位置を占めるか示せれば十分です。
> そのためには傍証を集める必要があるのです。

 きっちりした証拠とそれを繋ぐロジックではなくて、傍証とい
うレベルしか集められない時点で、主流派ではありえないとうい
ことに気付きましょう。

 なお、ここでは問題認識が「マナー違反」になっていますから
それに沿えば、むろんマナーには価値観に左右される部分はあり
ます。
 そして、今の話でどうかと見ると、Koichiro 説の前提には
「一方的なわがままを保護すべし」という価値観が必要です。こ
んな代物を共有する価値観の持ち主が、どれほどいると思ってい
るのでしょう。

# 「オレのわがままを保護すべし」ならたくさんいるでしょうが、
# Koichiro 説のそれは、まずあり得ないものです。

> > > tom-ud氏に対する個人攻撃・糾弾と解される危険性を指摘しておきます。
> > 
> > はぁ?
> > どこをどう読んで発言しているのやら。
> 
> そう受け取る奴もいるだろうよという話です。
> 議論してるつもりでも傍から見れば言い争いって、よくあること。

 そんな「奴」がいたから、どうだというのでしょう。

 Koichiro 氏がどういうつもりなのか不明ですが、単なる事実
を述べると、そんなものは「危険性」でもなんでもありません。

 tom 氏がある意味攻撃されているのは、単なる事実です。
 tom 氏がある意味糾弾されているのは、単なる事実です。

 従って、「個人攻撃・糾弾と解される」は、可能という意味に
おいて単なる事実です。むしろ、この側面を見えない人がいると
したら、日本語が読めないと言えるでしょう。

 つまり私はそんな側面は百も承知で行動しており、そしてそん
な側面から文句によって私の主張は何ら揺るがないことも承知し
ています。
 従って、この話は危険でもなんでもありません。

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頼光 mailto:raikou@mug.biglobe.ne.jp
関心・専門分野:
 宗教学、歴史学、社会学、情報工学