杉下です。

In article <423CE773.C1BD30B5@ht.sakura.ne.jp>
 IIJIMA Hiromitsu <delmonta@ht.sakura.ne.jp> writes:
> >   この文では、『旅客営業規則』がどこに常備されているかは、わかりません
> > が、なにしろ、きっぷ売り場の掲示なのですから、常備されている場所はきっ
> > ぷ売り場の係員に尋ねればわかるということくらいは、想像できるでしょう。
> うーん、微妙。尋ねるのに勇気が要る人もたくさんいるような。

  ほほう。わからないことを係員に聞く勇気はないが、「不利益となるきまり
について告げられなかったため損をした」などと係員に文句を言う勇気はある
ということですか。

  ずいぶん虫のいい“勇気”ですね。

> ここでもう一声、「旅客営業規則の閲覧をご希望の方は、ご遠慮なく当社窓口
> (これは実情に合わせてみど窓でも駅長室でも改札でもいいです)にお申し出く
> ださい」とほしいですね。

  そんなものは、「不利益となるきまりについて告げられなかったため損をし
た方は、ご遠慮なく当社窓口(これは実情に合わせてみど窓でも駅長室でも改
札でもいいです)にお申し出ください」などという掲示も何もないのに係員に
文句を言うような人には必要はないですよね。

> >   そもそも、約款の存在を認知していない一般人の目の前の券売機で、いくら
> > 約款を表示したところで、大多数の人は、そんなものは読みませんよ。
> >   世の中には、自分が持っている定期券の裏に印刷されている『定期券使用上
> > のご注意』すら読まないで駅員や乗務員に食ってかかるような人が、けっこう
> > 多いのです。
> 同意です。だからこそ案内が必要なわけで……この考えって、タコ旅客を甘やか
> しすぎですか?

  甘やかしているわけではありません。無意味なことをしているだけです。

  そもそも、「案内を読まない人」に、いくら案内を見せたところで、読んで
はくれないのです。

  そんな無意味なことに、(おそらく私もその一部を支払っているであろう)
運賃や料金を充当してほしくはないです。

> 「勝手に(恣意的に)決め」たのではなく、「勘違いで、約款の文面とは違う取
> り扱いを期待した、その勘違いには無理からぬところがある」というケースを想
> 定しています。

  東京近郊区間内の駅のきっぷ売り場(券売機)の上には、駅によって細かい
仕様が異なるかも知れませんが、路線図に駅名とその駅までのおとな片道普通
運賃を示した運賃表があり、その隅に「この運賃表は在来線経由の最短経路で
運賃を掲出しております。」という文があります。

  東京近郊区間相互発着の普通乗車券または回数乗車券による選択乗車のきま
りに関する掲示は、どこにもありません。

  選択乗車のきまりを知らない人が、それらの掲示をよく読んだとして、はた
して、それだけで、選択乗車のきまりの存在を知ることができるでしょうか。

  できませんよね。確かに、

      なるほど。遠回りの経路でも、最短経路の運賃を支払えばよいのか。

という解釈が存在し得るかも知れません。しかし、

      なるほど。遠回りの経路の運賃は、最短経路の運賃とは違い、ここには
    示されていないのか。

という解釈も存在し得ます。少なくとも、この時点では、どちらの解釈が正し
いかを決めることはできません。

  すなわち、ある人が選択乗車のきまりを知っているということは、その人は、
過去に、旅客営業規則を読むか、『時刻表』のJRの営業案内の項を読むか、
JRの係員に聞くかして、選択乗車のきまりを知ったということになります。

  旅客営業規則や『時刻表』を読んだのなら、そこには、選択乗車のきまりが
普通乗車券と回数乗車券のみに適用される(すなわち、定期乗車券には適用さ
れない)ということが、はっきりと書かれていたはずです

  一方、係員に聞いたのなら、その時には定期乗車券に適用されるか否かの説
明はなかったとしても、後に、同様の区間の定期乗車券を買うような機会があ
れば、その際に、あらためて、定期乗車券に適用されるか否かを係員に聞かな
ければならないはずです。

  以上のように、JRの側の責任により「勘違い」が発生する余地はどこにも
なく、仮に「勘違い」であったとしても、それは、完全に旅客の側の責任によ
る「勝手(恣意的)な判断」に他なりません。

  そんなものに消費者契約法なんかが適用されるなどとは考えられません。
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Yoshitaka Sugishita  杉下 宜隆  sugishit@po.ntts.co.jp