いいじまです。

どうも、これについて騒いでいる人って、行政手続き関係の法令にも、そもそも
憲法にも刑事手続きにも疎いような気が…

> >第七条 人権委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。
> これ、司法権からも独立していますよね?

していません。人権委員会は三権の中では行政に分類されますから、憲法76条の
「行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。」という規定により、人
権委員会がどんな決定をしようと、裁判所がそれを覆すことができます。

ここでいう「独立して」の意味は、他の行政官庁、たとえば法務省や厚生労働省、
文部科学省の官僚から独立し、大臣にも口出しできるという意味です。

                                ☆

この人権委員会と同様の規定は、公正取引委員会をはじめ多くの組織にあります。
たとえば、独占禁止法には

> 第二十八条  公正取引委員会の委員長及び委員は、独立してその職権を行う。 

> 第四十六条  公正取引委員会は、事件について必要な調査をするため、次の
> 各号に掲げる処分をすることができる。 
(中略)
> ○4  第一項の規定による処分の権限は、犯罪捜査のために認められたものと
> 解釈してはならない。 

とあります。
公正取引委員会の行為が不当だったときに裁判で救済されるのは周知の通り。

この公取委の規定は、今回の人権委員会の規定とよく似ている印象を持ちました
ので(まだ全部比較はしていませんが)、独禁法と読み比べることをお勧めしま
す。

あるいは、「犯罪捜査のために認められたものと」をキーワードに検索すると、 
多くの法令に同様の規定があるのが分かるでしょう。

                                ☆

それから……裁判なしで捜索も処分もできる、という懸念がありましたが、人権
委員会は立入調査に関して実力行使ができないので、不服であれば、
        ・立入調査を拒否
        ・建物に立ち入ろうとしたら建物の管理権を根拠に排除する
         (必要に応じ、不法侵入や、物を持ち出そうとしたら強盗で刑事告発)
        ・氏名等公表禁止の仮処分申請
        ・過料が請求されたら処分取消請求訴訟
という手続きが残されています。

                                ☆

あとは、人権委員会を法務大臣の下に置くか、それとも内閣直轄にするか、とい
う問題だけでしょう。

========================================================================
飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま   http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta           mailto:delmonta@ht.sakura.ne.jp