いいじまです。

1日考えてみて、新城さんの考えているものが見えてきたように思います。

新城さんの今までのところのスタンスは、「NGMP と CFD で適切なルールセットを
書き下せば、あとはごく少数のパラメータ(具体的には、それぞれの投票の票数)
を与えるだけでそのルールセットに従って機械的に、論理的整合性のある結論が
導かれる」と読みました。

でも、すべて前回の投稿の繰り返しになるのですが、私は、
        ○ルールセットを過不足なく書き下す能力がある人はごく限られてしまう
        ○ルールセットだけからは結果の見通しがつけにくく、また、ルールセッ
         トに穴がないという保証がつけにくいので、ルールセットから機械的に
         結論を導く手法は危険である
という理由で、反対です。

特に、適切なルールセットだと思って書き下してみたものに実は穴があった、と
いう場合はどうなりますか? そもそも最初にルールセットを書き下す段階で、
各議案の依存・対立関係や状態遷移図は組合せ爆発を起こします。現に、fj.net.
watch.* vs fj.news.from.* では、net.watch vs news.from という「1 つの対立
軸」と、2ch・blog・slashdot・misc という「4 本の下位問題」だけを与えて可
能な組合せを探ったら、37 通りの選択肢が出てきました。対立軸と下位問題の
総数がせいぜい3 つ程度の簡単なルールセットならまだいいのですが、合計で
5 個程度を超えると、ルールセットを書き下す段階では、穴がないことを検証
するのは困難でしょう。

それともうひとつ、新城さんから見解表明をいただいていないのですが、「一見
したところの対立軸と実際のルールセットとが一致しないことがあり、その場合
に実際のルールセットが見えにくい」という問題はどうしますか?

たとえば、
        fj.net.watch.2ch vs fj.news.from.2ch vs 廃案
という下位問題で、「fj.net.watch.2ch を作る」という結論が出たとします。

この下位問題は
        fj.net.watch vs fj.news.from.misc vs 廃案
という上位の議案に依存しているわけですが、このとき、
        fj.net.watch を作ることに決定→fj.net.watch.2ch ができる
        fj.news.from.misc を作ることに決定→fj.news.from.2ch ができる
        廃案に決定→この下位問題は「fj.net.watch.2ch を作る vs 作らない」
              という下位問題に変質し、再度の議決を要する状態に戻る
となります。つまり、この下位問題は、実は上記のような対立関係にはなく、
        ○上位の議案がどちらかを作ることに決したときに限り、fj.X.2ch を作る
        ○上位案が可決なら fj.X.2ch を作り、廃案なら fj.net.watch.2ch を作る
        ○上位案が可決なら fj.X.2ch を作り、廃案なら fj.news.from.2ch を作る
        ○作らない
という 4 択の exclusive OR の関係にあるわけです。この 4 択で投票に付すと、
「fj.net.watch.2ch なら賛成だけど、fj.news.from.2ch なら反対」という人が
困ります。NGMP で禁止されている「条件つき投票」をしたいという人があらわれ
るでしょうし、そうなると、投票管理者が注意喚起しなければ現実に混乱が起こ
る懸念があります。

> >   まあその書き方は直すとして、そのようなもの(同じCFDで同時に投票
> > に掛けられる)であれば、新城さんとしては受け入れ可能かどうか、そ
> > こを伺わせてください。
...
> 私の意見は、そういうスケジューリングが「可能」で、かつ、別の
> スケジューリングも可能であるような柔軟性があるものならOKです。
> 「必ず同時」は、不可です。

う〜ん、そういう柔軟性を持たせるとルールセットや議案間の状態遷移図が複雑
になりすぎませんか?

> undo ではなくて、「仮成立」でもいいです。

いや、仮成立と言い換えてみても、「何を仮成立させるのか」「どういう条件の
もとで本成立になり、どういう条件の下で廃案になるのか」が、議決(CFX)前
に明確になっていないとマズいです。

> たとえば、A が yes 100 票 no 90 票、B が yes 50 票 no 40票、
> C が yes 10 票、no 9 票だとします。全部の案が yes > no になっ
> ています。この中では、A の得票が多いので、まず ず A を成立さ
> せます。C は、A と対立していたので、不成立にします。B ですが、
> B が C に依存していたら、これも不成立にします。逆に C が B
> に依存していたら、B は成立させます。
> 
> 簡単ですよね。

ええ、この場合は確かに簡単です、私や、久野さんや、新城さんにとっては。

でも、それは計算機科学というか、数理系論理の素養があるから「簡単」と言い
切れるのであって、計算機屋でない一般の fj 参加者にとっては複雑怪奇なもの
です。そういう人は参加する資格がない、などというのであれば、河野さんの
言葉を借りて「新城さんのような論法が fj を滅ぼしてい」くのだと私は断言
します。

それから、「ある案が得票最上位になって可決させることになったら、どの組合
せをとっても論理的に不整合になる」という事態に陥ったらどうしますか? 投
票開始前に判明していればその案を排除すれば済みますが、すでにその案を含め
て投票に付してしまった場合や、投票終了後の検証になってはじめて判明した場
合は?

具体例が私には思い浮かばないのですが、それは理論的にそういう事態が存在し
得ないという証明ができる代物なのでしょうか、それとも単に私には思い浮かば
ないだけで現実には存在しうるのでしょうか?

                                ☆

そもそも、「投機的」「楽観的」という、一部の専門家にしか理解できないキー
ワードを持ち出したり、それに関する専門雑誌への投稿記事を持ち出したりする
時点で、計算機屋でない一般の参加者を軽視、もっといえば無視しているといわ
ざるを得ません。

これらの用語の正確な意味を理解しようという気力は今の私にはないのですが、
「投機」という用語は、見通しが外れた場合には何らかのペナルティがあるとい
うことを意味するはずで、それをするからには、最悪の場合にどんなペナルティ
があるのか、そのペナルティは受入可能なのかの事前見積もりが必要です。

「投機的 make」なるものが今の時代に成り立つのは、あてが外れた場合のペナル
ティが「CPU 時間の浪費」「ディスクスペースの少々の浪費」「ハードウェア
(ハードディスクなど)の寿命の少々の短縮」だけであって、どれも今の時代の
計算機環境では無視できるほど小さいからでしょう。仮に、CPU 時間に対する従
量課金がシビアに行われているとしたら、「投機的 make」なるものの導入には
躊躇が伴うでしょう。

NGMP に「投機的」なるものを持ち出すことのペナルティの無視できない例のひ
とつが、fj.net.watch vs fj.news.from.misc がどちらも廃案になった場合に、
いったん議決の手続きをとって仮成立させた fj.X.2ch の取り扱いについて成案
か廃案かの再議決が必要になる例です。しかもこの例では CFA/CFR が通る見込
みが少ないので、再度 CFV/CFS という可能性が非常に高くなります。

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飯嶋 浩光 / でるもんた・いいじま   http://www.ht.sakura.ne.jp/~delmonta/
IIJIMA Hiromitsu, aka Delmonta           mailto:delmonta@ht.sakura.ne.jp

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