佐々木将人@函館 です。

>From:Tsuiki Hiroyuki <kamiture@f7.dion.ne.jp>
>Date:2003/10/10 22:27:16 JST
>Message-ID:<Rsyhb.1$GB5.0@news7.dion.ne.jp>
>
> 訴訟進行の問題ではなくてですね、

いや訴訟進行の問題でしょう。
もし訴訟進行の問題じゃないとするなら

>「実際に運用されているシステムがどう
>であるか」というのが立証できるのか、という物理的かつ社会的な問題だと思
>うのですが。。。

それじゃあ法律学の議論じゃ全然ないんじゃないんですか?

この訴訟が民事訴訟だということは
「立証の程度がより説得的な方が勝ち」ということです。
「物理的かつ社会的」というのが
「立証の程度がより説得的な方が勝ち」に含まれるのであれば問題ありませんが
含まれないとか別物だというなら
それは法律学ではない分野の話になるにすぎません。

> 刃渡りが一定以上、特定の形状を満たす刃物は正当事由なく所持しているだ
>けで犯罪になりますよね。それで実際に人を刺そうとしているかどうかなんか
>問題でなく。

それはそのような規定があるからでしょう?まず。
銃砲刀剣類所持等取締法という。
逆に言えばこの法律がなければ刃物を正当事由なく所持していただけなら
犯罪にはなりません。

> 技術的に極めて容易に人権侵害を為し得るシステムは、ある意味で刃物と同
>じ程度の慎重さで扱ってしかるべきだし、それがそのような用途に転用されて
>いないかどうか、というのも同じく慎重に評価すべきでないのか?、という事
>をゆーとるのです。

別の投稿で
|「流用したらだめだ」という規範はあっても
|「流用する可能性があるからだめなんだ」という規範があるとは
|必ずしも言えないんじゃないかとは思っています。
と書いてますけど
そもそも何をもって人権侵害だという点を明らかにしなきゃいけないし
肖像権についていうと
「許可がなければ一切撮影してはならないし
 撮影すると直ちに人権侵害になる」
というものではありません。
憲法における肖像権は
「みだりに撮影されない」ですから
逆に言えば「正当な事由があれば撮影自体許される」類の権利です。
だからこそ現行犯の証拠保全については撮影が認められるし
その際に違反をした訳ではない同乗者が写っても許されるのです。

刃物についてはきちんと規定がある。
肖像権について同様の規定がありますか?
なければ刃物と同様にと言ったところで
「どこを同様にするんですか?」って質問に
きちんと答えられなければならないし
それの答がなければいくら慎重にすべきと言ったところで
「慎重に考えても許されます」という主張に対しては
無力です。

> 少なくとも、システム運用者がシステム設計者及び管理者と社会的にも完全
>に独立している事が最低限の条件でしょうね。このような性質の物に関しては。
> システム自体が、その運用者にとって完全にブラックボックス、それも封印
>付き、というような運用がなされおり、かつ運用者とは独立した立場でその運
>用がチェックされている事が立証できるなら、データの流用に関してはある程
>度の客観性を以て「ない」と評価して良いだろうと思います。
>
> 他にもいくらでも方法はあるでしょうが、システム運用者が直接システムを
>物理レベルでメンテナンス可能(受注業者経由を含む)な限り、つまりはシス
>テム構成が運用者の管理下にある限りはその評価を「客観的に」というのは無
>理です。

で、これを前提にしますけど
こうでなければ撮影が肖像権侵害になる根拠ってなんです?
特に根拠がなければ
「東京地裁判決を批判する立場なんだね」で終わります。
(大丈夫です。私だって現段階ではどっちかというと批判的ですから。)

> システムの導入、運用、管理が現実問題として独立していない以上、そのそ
>れこそ不可分一体な側からの「流用していない」というのは、何ら客観性を持
>つ物とは言えないからです。

繰り返しになりますが
客観性を持つことは最初から要求されていません。
(説得的なものの多くは客観的にも妥当であると言えることが多いでしょうが
 客観的でなければ説得的でない訳ではありません。)

> 刃物を持つ者はその所持運用が正当であるというのであれば、その事を「客
>観的に」自ら証明する事が必要だし、「人を刺すつもりで持ってるんじゃない」
>というだけではダメではないのか、というレベルの話です。

繰り返しになりますが
刃物はそもそもそれを処罰する規定が存在しています。
そのような明確な規定のない肖像権に類推するのは適当ではありません。

> 結局のところ、ケーブル一本で流用可能な一次データの扱いにしては、あま
>りにも無邪気というか、評価態度が安易なのでないか?と素朴に思っただけな
>んですけどね。情報処理技術の進歩とその汎用化について、なにかもの凄く認
>識がヌケているような印象を受けるのですよ。東京地裁判決の問題の行には。

で、東京地裁判決は読みました?
読んでなければそもそも印象にしかすぎないと思います。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
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ルフィミア「兄さん、秋休み、終わっちゃったね?」
まさと  「それ青いブレザーでキュンキュンさせながら言わないと……。」