工繊大の塚本です.

In article <1f17379d-06ee-4a84-9f76-f6222cf3b204@r33g2000yqn.googlegroups.com>
KyokoYoshida <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> ZFC公理系では,集合とは何かは言っているのではなく
> どのようなものであれば都合がいいのかを述べているだけではないでしょうか?

 ZFC 公理系での集合論では, ZFC の公理全てが成立するような
数学的対象の集まりがあれば, それを構成するものそれぞれを
集合と呼ぶのです. つまり, ZFC 公理系での集合論での集合とは
何か, を述べている事になります.

> 例えば,外延性の公理「2つの集合が等しいというのと,
> 夫々の集合に含まれる元が全て等しいというのは同じ意味である」は
> ちっとも集合とは何かを説明していないと思うのですが。。。

集合というのは外延性の公理を満足していないといけない,
ということで, 集合を規定しています.

> 群Gの公理というのは
> (i) 2項演算について閉じている
> (ii) Gの任意の元は(i)の演算について結合法則が成り立つ。
> (iii) 単位元が存在する。
> (iv) 逆元が存在する。
> の事ですよね。

そう, それを「群の公理」と呼びますね.

> これは定義なのではないのでしょうか?

だから, 「定義」も「公理」もこの意味では同じことです.

> 公理なら恒真命題で無ければなりませんよね。
> (i),(ii),(iii),(iv)は真偽は言えないので定義だと思うのですが。。

何かが群であるとは, それについて「群の公理」が
「真」であることです. その意味で, 「群の公理」は
群についての恒真命題です.

ZFC の公理と群の公理での「公理」の意味が違うように
思うのは, 後者ではその公理を満たす群は色々なものが
あるのに対し, 前者では集合というものを一意に定めて
いるかのように錯覚するからでしょう.

無論, 集合の全体というのが何であるにせよ, 空集合 φ が
集合であることや, { φ } が集合であることや,
 { φ, { φ } } が集合であることや, { { φ } } が
集合であることや, その他, 普通に考え付くものが,
大抵, 集合であることは, 公理から出てきますので,
通常の数学的議論をするときに, どの「集合の全体」を
考えているかは, 問題にならないのですが,
「集合の全体(V)」が「構成可能な集合の全体(L)」と
一致するかどうか, 連続体仮説が成り立つかどうか,
などは, 考える「集合の全体」によって違うわけです.

> 有効でないとはどういう事でしょうか?
> どのように言えばいいのでしょうか?

何かの全体とか何かの集まりとかで分かるでしょう.
まあ, 何かの class と言いたければ, どうぞ.

> え〜? 真偽すら限定されていないとは。。
> では"きちんと決まる"とは何が決まるのでしょうか?

数学も結局は書かれて理解されるものであるとすれば,
文字列として違うかどうか分かれば十分ですね.

> ここでの"記号として"違うとは視覚的に違うという意味でしょうか?

そう約束すればそうなりますね. まあ, 約束による
でしょうが.

> 「…我々は「集合論」というmetagraphを扱っていることになります.」
> という事はできないのでしょうか?

できないでしょう. その文章はどう理解するのです?

> metacategoryはmetagraphの一種ですよね?
> そしてmetagraphは数学的体系の一種ですよね。

その通り. ZFC 集合論の公理系を満たす「集合の全体」も
数学的体系の一種です.

お望みのようですから, class という言葉を使うことにして,
 O が calss, A が class で, C = (O, A) が metacategory の
公理を満たしているとき, C は metacategory ですが,
その O が ZFC 集合論の公理系を満たすある「集合の全体」
の中の(何かの条件を満たす集合全体からなる)集合で,
 A も ZFC 集合論の公理系を満たすある「集合の全体」
の中の(何かの条件を満たす集合全体からなる)集合である
ときには, C = (O, A) は category になります.

 ZFC の公理系と category の公理系の関係は分かって
いただけますでしょうか.

> 公理系は恒真命題が集まったものですから,数学的体系には
> やはり真偽があるのではないでしょうか?

「真偽」という言葉を使うのには二つの場合があります.
ある命題が数学的体系を定めている公理から導けるか
どうか, という意味での「真偽」を考える場合と,
あるものの集まりが, 議論している数学的体系に
なっているかどうか, における, 公理の「真偽」を
考える場合です.

どちらの話でしょうか.

> 数学的体系は何らかの公理系を持っているのですよね。
> ここでの数学的体系は任意の公理系なのですね。

例えば, 「図」というのを class O と class A の組で,
 A の要素 f について, dom(f) という O の要素の集まりと,
 cod(f) という O の要素の集まりが定まるものとしましょう.
 dom(f) が定まることと cod(f) が定まること以外には
何の公理も仮定しません.
 
> ところですいません。"図"とは何なのでしょうか?
> "図"がmetagraphであるとか"図"がmetagraphではないとかは
> どういう意味なのでしょうか?

 (O, A) が「図」になる class O, class A の取り方によっては,
 dom(f) は唯一つの要素かも知れませんし, そうでないかも知れませんし,
 cod(f) は唯一つの要素かも知れませんし, そうでないかも知れません.
 (O, A) が metagraph であるかも知れませんし, ないかも知れません.
 
> 数学的体系Ob(C)がmetagraphであるとは
> 「arrowと呼ばれる数学的体系fがあって,
> domf:=a, codf:=b (但し,a,b∈Ob(c))と定義される記号dom,codがある」
> ですよね。

「図」 (O, A) について言えば, dom(f) が O の唯一つの
要素からなり, cod(f) が O の唯一つの要素からなるときが
 (O, A) が metagraph になるときです.

> 具体的にmetagraphだがmetacategoryではない例って
> どのようなものがありますでしょうか?

例えば, O が2つの要素 a, b からなり,
 A が1つの要素 f からなり, dom(f) = a, cod(f) = b
とすれば, ({a, b}, {f}) は metagraph ですが,
 metacategory ではありません.

> metagraphやmetacategoryは一般に集合の世界とは限らない"領域"の世界ですよね。
> 領域という数学的体系の公理を知らないのですので
> 領域全体でmetacategoryでなくmetagraphになる例をちょっと思いつきません。

別に集合になっているものでも構わないでしょうから,
上の例を挙げましたが, どうしても集合にならないものに
したいのであれば, O を集合全体の成す class として,
 A を空集合とすれば, metagraph で metacategory に
ならない例になります.

> (meta)categoryでは射は写像とは限らないのですね。

はい.

> objectがsetの場合もあるというだけで色々なobjectが考えられるのですね。

はい.

> "他の事柄"とは結合性や単位元律という公理系ですね。

はい.

> 「fはarrowである」が真とは
> fはdomf=a,codf=bなる,a,b∈Ob(A)があるという事ですね。

 (meta)category (O, A) において,
「 f が arrow である」が真であれば,
 dom(f), cod(f) という O の要素が定まります.

> そして
> 「fはarrowである」が偽とはdomf=aやcodf=bなるaやbが無いという事ですね。

「 f が arrow である」が偽であれば,
 dom(f) とか cod(f) とかは考えられませんが,
まあ, それだけのことですね. 「とは」で結ばれる
ものではありません.

> つまり,"元"という意味ではなく"条件"という意味なのですね。

「要素」というのは全体を構成する一部分のことです.
「元」を一つの部分と見ることもあるでしょう.
「条件」を一つの部分と見ることもあるでしょう.
文脈から読み取って下さい.

> うーん,このarrowは(a,b) (但し,a,b∈Ob(A))というものではないのですね。
> どうして対(a,b)で考えてはダメなのかいまいち分かりません。

もう何回も言っていますが, dom(f) = a, cod(f) = b となる
 arrow f は一つとは限らないからです.

> metagraphとは数学的体系の一種で,射と呼ばれる何だか得体の知れない何かと

勿論, objects の全体も「何か」定まっています.

> 演算dom,codがあって
> domf=a,codf=b (但し,a,bはobjects)となる。

そう, dom(f) という object と cod(f) という object が
定まっている.

> それ以外にdomf=aとcodf=bには意味は無い。
> という訳ですね。

はい.

> でも真偽を決定する"命題"が無ければ公理(恒真命題)も存在しえませんよね。
> するとZFC公理系なども無意味なものになってしまうのではないでしょうか?

「真偽」というのはどの場合でしょうか.
「命題」というのは「真偽」が決まる「可能性」を持つ
存在ですが, 「真偽」というのは「文脈」によります.

> 一番最初は何から始まるのでしょうか?

公理系を満たすものがある, と仮定するところからでしょうね.

> objectsもarrowsも無定義語なので定まらないのですよね。
> それとも無定義語でも定まるとはobjectsとarrowsの公理系を満たすという事ですね。

はい.

> categoryの公理はZFC公理系だけで

こういうものの言い方がおかしいわけですが,

> (1) metacategoryである事

「 metacategory である事」 は (2), (3), (4), (5) ですね.
(1) は O が集合, A が集合である事,
 dom: A → O, cod: A → O, id: O → A が
集合から集合への写像であること, です.

> (2). (f, g) ∈ A ×_O A について
>       dom(f○g) = dom(g), cod(f○g) = cod(f).
> (3). (f, g), (g, h) ∈ A ×_O A について
>       (f○g)○h = f○(g○h).
> (4). a ∈ O について dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a.
> (5). f ∈ A について f○id(dom(f)) = f, id(cod(f))○f = f.」
> は公理ではなく定義だと思うのですが。。。

だから「定義」も「公理」も区別する必要はありません.

> 領域だが数学的体系でない例や

空な公理を持つ数学的体系というものを考えても
良いですが, 余り意味はないでしょう.

> 数学的体系だがmetagraphでない例や
> metagraphだがmetacategoryではない例や
> metacategoryだがcategoryではない例は何が挙げられるのでしょうか?

これは既に挙げました.

> categoryはsets全体に対して定義される概念ですが

違います.

> 色々なarrowsが定義されうるという訳ですね。

はい.

> 代表的な例は
> 「 (0). (f, g) ∈ A ×_O A について
>       dom(f○g) = dom(g), cod(f○g) = cod(f).
>  (1). (f, g), (g, h) ∈ A ×_O A について
>       (f○g)○h = f○(g○h).
>  (2). a ∈ O について dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a.
>  (3). f ∈ A について f○id(dom(f)) = f, id(cod(f))○f = f.」」
> という風に,写像と合成写像と左恒等写像と右恒等写像で定義されるarrorwsですが

別に (0), (1), (2), (3) の「公理」においては,
合成写像であるとか, 恒等写像であるとかでの,
「定義」は要請されていません.
だから, 「という風に」にはなっていません.
その「性質」が抽象化されて入っているだけ.

> categoryではこれ以外にもarrowsが考えられるのですよね。
> ちょっと思いつかないのですがどのようなものがありますでしょうか?

ちゃんと text を読みましょう. 例が載っています.

例えば, G を群とします.

 O をただ一つの要素からなる集合, そうですね,
貴方が混乱するように, O = { G } とします.
 A を集合 G とします.
 f ∈ A = G について, dom(f) = G, cod(f) = G とし,
 id(G) = e ∈ G  (e は G の単位元) とします.
 f, g ∈ A = G について, f○g = fg  (G での積)
により, ○: A ×_O A = G × G → A = G を定めます.
このとき C = ({G}, G) は category になります.

 arrows の集合 G の元, つまり arrow f は,
 f: {G} → {G} という写像ではありません.
まあ, f: G → G とは関係が付きますが.

> ん? 元も集合のうちですよね。
> 元は単に集合同士の包含関係を表しているに過ぎませんよね?

それはそうですが, 今の話とは無関係.

> Cがcategroryの時,Cはobjests全体(つまり,sets全体)なのですね。

 C で objects 全体を表すというのは良いですが,
 C は sets 全体ではないです.
 sets 全体は class ですから, sets 全体を objects 全体に
するなら, それは category ではなく, metacategory です.

> その時,aがobjectならa∈Cと書けるのではないでしょうか?

そう書いても構いませんが, a ∈ C なる a について,
 A ∈ a が問題になる事はない, という話です.

> A×_O A:={(f,g)∈(O×O)×(O×O);domf=codg}と書きたくなります。

未だ, A の元が O の元の対だと思っているのですか.
それは救いようがありません.

> categoryはsets全体ですが,

違います.

> categoryにて写像以外での射の例は
> どのようなものがありますでしょうか?

既に挙げました.

> 命題すらでもないのなら"要素"や"数学的対象"とは何なのでしょうか?

数学的対象は書かれて理解されるものという事では記号列ですね.

> うーん,これはつまり,前者は数学的対象(つまり,領域)。
> 後者は数学的体系(つまり公理系を持つ領域)
> という区分けで宜しいでしょうか?

良いでしょう.

> そうでしたね。categoryはsets全体から成りますが

違います.

> 写像はarrowの一例に過ぎないわけで
> arrowだから写像とは言えなのですね。

はい.

> これは分かります。categoryはsets全体からなりますから

違います.

> set以外には何もありませんね。
> よって必然的にarrowsも集合でなければなりませんね。

はい.

> なるほど。(O,A)と記述すると分かり易いですね。
> AによってmetagraphOが決まるという意味ですね。

 O と A とで metagraph (O, A) が決まるのです.

> 別の射A'に対してOがmetagraphを成すなら(O,A')と表せますね。

 metagraph と呼ぶのは (O, A') の組です.

> これもなるほどです。Aによって決まるのですね。

 (meta)category も O と A とで決まるのです.

> ここも飽くまでcategoryの定義ではなく公理なのですね。

だから同じ事です.

> え?  metacategory (sets,maps)が
> 「 (0). (f, g) ∈ A ×_O A について
> :
>  (3). f ∈ A について f○id(dom(f)) = f, id(cod(f))○f = f.」
> を満たしても(sets,maps)はcategoryにならないのですか?

 (0) から (3) を満たすのが (meta)category です.
更に, O も A も set であり, dom, cod, id, ○ が
写像になっているのが category です.
集合の全体 sets は set になりませんし,
集合から集合への写像の全体 maps も set になりませんから,
 (sets, maps) は metacategory ですが, category にはなりません.

はっきり text にも書いてあるのに, 読んでいませんか.

> 群で言えば(G,・)と(G,*)という異なる2項演算子・,*がある場合は
> (G,・)≠(G,*)ですね。
> 射AによるcategoryCと射A'によるcategoryCとでは(C,A)≠(C,A')ですね。
> でもa,bはa,bはcategoryの元(objects)なのですよね。
> categoryではobjectにも構造が与えられるのでしょうか?

よく考えるのは, metacategory C = (O, A) として,
 O を群全体の成す class, A を群から群への群準同型の
全体の成す class とする場合などです.
 
> つまり,弁別可能とは同じが異なっているか判別可能という意味だったのですね。

そこに入っているかどうかも判別可能でないと困ります.

> a=aは公理ですよね。この公理には何か名前は付いているのでしょうか?

名前はあるようですが, そんなものは飾りです.

> ふーむ。これは公理と呼ばざる得ませんね。確かに。
> 因みに,ZFC公理系を定める段階になるまでに
> 幾つくらいの公理が必要とされているのでしょうか?

 ZFC 公理系では「 = 」以外に外部から導入された記号は
ありませんから, この同値性の公理だけですね.

> 偽となる場合もあるのならやはり
> 「∀f∈Ob(A)に対して,domf=a,codf=b (但し,a,b∈Ob(C))なる
> 2つの演算子dom,codが在る」
> はmetagraphの公理ではなく定義の様な気がするのですが。。

だから「定義」も「公理」も同じです.

> In article <090605221929.M0101282@cs2.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > まあ貴方の公理の理解は相当いい加減ですが,

これは double meaning になってしまいましたが,
元々は (meta)category の公理の理解が怪しいと
言っています.
 
> え〜? すると公理とは何なのでしょうか?

しかし, 数学的体系における「公理」の理解も
怪しいようですね. 「岩波数学入門辞典」の
「公理」「公理系」の項目を読んで見ると良いかも知れません.

# 集合論の「公理系」に関する記述は,
# 気持ちは分かるけれども, 間違っていますが.

> 「∀a∈Ob(C)に対し,domf=codf=aなる射fが存在する」

 id(a) の存在の話なら, それだけでは不十分です.

> と
> 「domg=codfなる∀f,g∈Ob(A)に対して,domh=domf∧codh=codgなるh∈Bが存在する」
> ですね。

 (g, f) の組に対して唯一つ h が定まるのです.
 
> metacategoryはsets全体ですからZFC公理系を持ちますよね?

 metacategory の objects 全体は sets 全体であるとは
限りません.

「 ZFC 公理系を持つ」という言葉遣いも正しくありません.

> すいません。metacategory(C,A)はZFC公理系を持つsets全体ですから,

違います.

> 射f,g∈Ob(A)も集合で,その対(g,f)も集合で更には

 f, g ∈ A でしょうか.

> {(g,f);g,f∈Ob(A),domg=codf}も必ず集合になりますよね。

それは仮定されていません.

> Ob(A)は集合全体ではなく,Ob(A)は集合でしたね。

 Ob(A) で何を意味しているのか分かりませんが,
 C = (O, A) が metacategory であれば, O も A も集合とは限りません.
勿論, O が集合全体の成す class であるとも限りませんし,
 A が集合から集合への写像全体の成す class であるとも限りません.
 C = (O, A) が category であれば, O も A も集合です.

> ああ,分かりました。metacategory(C,A)のAが写像とは限らないので,
> そのAがcategoryの公理を満たすとは限りませんね。

 A の要素が写像であるかどうかと, A が集合であるかどうかは
違う問題です.

> そうでした。上述のようにmetacategoryでの射が写像とは限りませんので
> 自動的にmetacategoryだからcategoryとは言えませんね。

どうも怪しげな理解ですね.

> categoryは
> 「 (0). (f, g) ∈ A ×_O A について
>       dom(f○g) = dom(g), cod(f○g) = cod(f).
>  (1). (f, g), (g, h) ∈ A ×_O A について
>       (f○g)○h = f○(g○h).
>  (2). a ∈ O について dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a.
>  (3). f ∈ A について f○id(dom(f)) = f, id(cod(f))○f = f.」
> という4公理を持つmetacategoryなのですね。

だから, その公理は metacategory と category で共通です.

> categoryとは上記の4公理を兼ね備えたmetacategoryなのですね。

違います.

> これもそうでした。metacategoryでの射が写像とするとは断っていない限りは
> arrowsはmapsにはなり得ませんね。

群 G に付随する category ({G}, G) を参照のこと.

> ここも上記の4公理を兼ね備えたmetacategoryなのですね。

違います.

> Mor(b,c)はhom(b,c)とも書かれ,
> metagraphにてdomf=b,codf=cなるarrows全体という意味でも使えるのですね。

良いでしょう.

> すいません。ZFC公理系と恒等射と合成射を持つ,metagraphがmetacategoryでした。

違います.

> Mor(a,b)はmetagraphではdomf=a,codf=bなるarrows全体を意味するものでした。

それは良いですが,

> でもmetacategoryではMor(a,b)は集合ですよね
> (∵metacategoryは全て集合からできているので)。

違います. metacategory と category とが混線しています.

> 恒等射はdomf=codf=a∈Ob(C) (但し,CはAをarrowとするmetagraph)なる
> f∈Ob(A)でしたね。

 C = (O, A), a ∈ O について, id(a) ∈ A は
 dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a であり,
 f ∈ A が dom(f) = a であれば, f○id(a) = f であり,
 g ∈ A が cod(g) = a であれば, id(a)○g = g であるものです.

> という事は(C,A)をmetagraphとする時,∀f∈Ob(A)に対して,
                                       f ∈ A
> domf=xともcodf=xともならないx∈Ob(C)が存在する場合も
                              x ∈ C
> metagraphによっては有り得るという訳ですね。

はい.

# Ob は Object の略号ですから, C = (O, A) について,
# Ob(C) = O とだけ使うものです.
# 貴方の使い方は全て間違っています.

> (C,A)をAを射とするmetagraphとすると,
> 「(i) CはZFC公理系を持つ。

その言葉遣いがおかしい.

> (ii) ∀a∈Ob(C)に対し,Ob(A)∋∃f such that domf=codf=a.

これも駄目.

> (iii) C∋∀a→η(a)はdomη(a)=codη(a)なる写像η:C→Aが存在する。

 η は id ですね. dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a です.

> (iv) domg=codfなる∀f,g∈Ob(A)に対し,∃h∈Ob(A) such that
> domh=domf,codh=codg.

 h は (f, g) の組に対して, 唯一つ決まるものです.
それが次の ψ(f, g).

> (v) 写像ψ:B→C (但し,B:={(f,g);domf=codg})で下記を満たすものが存在する。
> [i] ∀(f,g)∈Bに対しdom(ψ(f,g))=domg, cod(ψ(f,g))=codf,
> [ii] (結合律) ∀(f,g),(g,h)∈Bに対しψ(ψ(f,g),h)=ψ(f,ψ(g,h)).
> [iii] ∀f∈Aに対し,ψ(f,η(domf))=f, ψ(η(codf),f)=f」
> がmetacategoryの定義になりましょうか?

 metacategory なら (i) に対応するものはありません.
 
> うーん,でもこれだとmetacategoryとcategoryの違いは何なのでしょうか?

 category なら O, A は(ZFC 集合論での)集合です.
 
> metacategoryは(metagraph,arrows)で

 metagraph は object 全体の成す class O と
 arrow 全体の成す class A の組 (O, A) で,
 metagraph の公理を満たすもの, です.
 metacategory は object 全体の成す class O と
 arrow 全体の成す class A の組 (O, a) で,
 metacategory の公理を満たすもの, です.
 
> categoryが(sets,arrows)となるのですね。

違います.

> (sets,maps)は飽くまでmetacategoryやcategoryの一例にすぎないのですね。

 (sets, maps) は metacategory の一例です.
 categroy の例にはなりません.

> metagraph(C,A)に於いて,(C,A)がcategoryの時,Cはsets全体になるのですね。

違います.

> (C,A)がmetacategoryの時はCはsets全体とは限らないのでしたね。

それはそうです.

> categoryがZFC公理系を持つのでしたね。

言葉遣いが違います.

> metacategoryにZFC公理系は無関係でしたね。

はい.

> 分かりました。
> もし,metagraphでの対象や射が,setやmapではない場合は,
> metacategoryの公理が成り立つとは限らないのでしたね。

違います. object が set かどうか, arrow が map かどうか,
と, metacategory の公理が成り立つかどうかは違う話です.

> category(C,A)に於いて,A⊂Mor(a,b) (textではA⊂hom(a,b))ですね。

逆です. category C = (O, A) において, a, b ∈ O とするとき,
 hom(a, b) ⊂ A です.

> 一般にA=Mor(a,b)にはなりませんね。

はい.

> id_cの主張は「metacategory(C,A)に於いては∀a∈Cに対して,
> domf=codf=aなる射fが存在する」
> でしたね。

何回も書きますが, それでは不十分です.

> そうですか。。やはり定義と言ってはならないのですね。

だからどちらでも良い.

> えっ? 集合での「∈」を勘違いしてますでしょうか?

賭けるなら, 「勘違いしている」に賭けた方が
儲かりそうです.

> textから判断するとhom(a,b)はmetagraph以降から用れるようですね。

まあ良いでしょう.

> すいません。誤解しないように避けているとはどういった誤解でしょうか?

どんな誤解をするか, を予測するのは本当に難しい.
違うように書いておく方を text は選んだようです.

> categoryからが集合の世界で,metacategryは(objects,arrows)であって,
> objectやarrowは集合や写像とは限らないのでした。

この文章にも多分誤解は潜んでいます.

> categoryに於いては半群と呼んでもいいのですよね。

やはり, 普通呼ばないでしょう.

> metacategoryに於いては○については半群をなしているようですが,
> 半群は少なくとも集合に於いての概念なのですね。
> 従って,metacategoryに於いては「半群」という言葉は使用できないのですね。

そこが問題ではなくて, ○ が, A × A ではなくて,
 A ×_O A という A × A の一部分でしか定義できていない
ところが, 普通の半群とは違うところです.

> そうですね。categoryにてどのような射を採用するかで
> hom(a,b)の意味は変わってきますよね。
> ただそれが"同値類の全体"の意味がよく分かりませんが,同値類とは
> 「 (0) a = a.
>   (1) a = b ⇒ b = a.
>   (2) a = b, b = c ⇒ a = c.」
> ですよね。これとhom(a,b)がどのように関係しているのでしょうか?

例えば, O を R^n の閉部分(位相)多様体の全体とし,
 A を R^n の閉部分多様体から閉部分多様体への連続写像の
ホモトピー類の全体とすれば, ひとつの category が
得られます. M, N を R^n の閉部分多様体とするとき,
 f ∈ hom(M, N) は, 連続写像 f: M → N ではなく,
連続写像 ψ: M → N のホモトピー類 f = [ψ] と
するわけです. そういう場合もあるという事です.

# ホモトピーの定義はここでは述べません. お調べ下さい.
 
> 弁別可能な数学的対象の集まりを"領域"と呼び,
> 何らかの無矛盾な公理系が与えられた領域を"数学的体系"と呼ぶ。

まあ良いでしょう.

> 数学的体系CがAを射としてmetagraphをなすの定義は

 C は O, A の組 (O, A) で,

> 「∀f∈Ob(A)に対して,domf=a,codf=b(但し,a,b∈Ob(C))なる演算dom,codがある。

 f ∈ A に対して, dom(f), cod(f) ∈ O が一意に定まる.

> この時のmetagraphを(C,A)と記す」

まあそうです.

> metagraph(C,A)がmetacategoryをなすの定義は
> 「(i) ∀a∈Ob(C)に対して,∃f∈Ob(A);domf=codf=a,

 C = (O, A) として, a ∈ O = Ob(C) に対して,
 id(a) ∈ A で dom(id(a)) = a, cod(id(a)) = a となるものが
「一意に定まる」.

> (ii) domg=codfなる∀f,g∈Ob(A)に対して,
> domh=domf∧codh=codgなるh∈Ob(A)が存在する,

「存在する」ではなく, 「一意に定まる」です.

> この時,hをghと表す。

 h = g○f.

> (iii) domf=a,codf=domg=b,codg=domh=c,codh=d(但し,a,b,c,d∈Ob(C))なる
> ∀f,g,h∈Ob(A)に対して,h(gf)=(hg)fが成立つ

記号の使い方を除けば, まあ良いでしょう.

> (iv) domg=codfなる∀f∈Ob(A)に対して,∃h∈Ob(A);hf=f∧gh=g」

 g○id(dom(g)) = g, id(cod(f))○f = f.

> metacategory(C,A)がcategoryをなすの定義は「Cはsets全体」

違います. C, A は集合である.

#「一意に定まる」ので, dom, cod, id, ○ は写像です.

> でいいのですね。

半分位までは来たでしょうか.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp