工繊大の塚本です.

In article <c1da3ac5-e662-4803-9500-e046c836ddc2@e5g2000vbe.googlegroups.com>
kyokoyoshida123 <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> 環の定義は「+に関して可換群,・に関して半群,分配法則が成り立つ」です。

今は 1 を持つ可換環を考えているのでしょう.

> イデアルの定義は「Iが環Rのイデアル⇔(def)
> IはRの部分環で∀r∈R,i∈Iに対してri∈I∧ir∈I」です。

大事なのは, 極大イデアル, 素イデアルの定義ですね.

> えっ?どうしてでしょうか?
> 今(7)=Z_12なので∀a,b∈Z_12=(7)でab∈(7)なら既にa,b∈Z_12=(7)なのでa∈(7)
> or b∈(7)が言えていて,(7)は素イデアルになっていると思うのですが。。

素イデアルの定義には, 「 R 全体ではないイデアルで」という
限定が付いています. 極大イデアルもそうです.

> IをZのイデアルとすると0∈Iの時は,I=(0)と書ける,

 I は R の部分 R-加群ですから, いつでも 0 は含んでいます.
 0 を含んでいるからといって, I = (0) となる筈がないでしょう.

> 0≠a∈Iの時は(a)⊂Iと書け,∃b∈I\(a)でもし,
> aが単元ならb=b・1=b・(a・a^-1)∈(a)なので
> aが単元の時はa∈Iなら(a)=I.

既に注意したように, I が unit を含めば, I = R です.

> もし aが単元でない時は,I⊃(a,b)={am+bn;m,n∈Z}となり,
> ここから単項イデアルに持っていけませんがどうすればいいのでしょうか?

それは Z_m が Z/mZ であるということを使わなければ,
出てくる筈がありません.

準同型写像 π: Z → Z/mZ = Z_m による Z_m のイデアル I の
引戻し π^{-1}(I) は Z のイデアルで, Z は単項イデアル整域
ですから, π^{-1}(I) = (k) = kZ となる k ∈ Z があります.
 π^{-1}(I) は mZ を含むイデアルですから, k | m です.
 I = (π(k)) ですが, Z_m/I 〜 Z/kZ に注意すれば,
 I が素イデアルになるのは Z/kZ が整域になる場合,
 I が極大イデアルになるのは Z/kZ が体になる場合, である
ことが分かります.

> Z_mが単項イデアル環だとすると
> mが素数の時は(1)=Z_mで素イデアル&非極大イデアル,

だから, Z_m 全体は素イデアルであるとは言いません.

> 1<m'<mの時はm'は単元なので逆元を持ち(m')
> =Z_mなので(m')は素イデアル&非極大イデアル。

だから, Z_m 全体は素イデアルであるとは言いません.

> そして(0)が素イデアル&極大イデアル。

これは既に注意しました.

> mが合成数の時は,0<m'<mなる素数m'が単元になるので

素数 m' が m を割り切っていれば, m' は unit では
ありません. 又, m' が素数でなくても,
 m と互いに素な数であれば, unit になります.

> (m')=Z_mで(m')は素イデアル&非極大イデアル。

だから, Z_m 全体は素イデアルであるとは言いません.

> m'が合成数なら素イデアルにはならない
> (∵上記のZ_12で(6)など(∵2・3∈(6)だが2∈(6)でなく,3∈(6)でもない))、

これはそうですね.

> そして
> Z∋∃m''≠m'は合成数;m''|m'なら(m')⊂(m'')⊂Z_m(但し,"⊂"は真の意味)なので
> (m')は非極大イデアル。

 m'' が合成数だというのですか, それなら m' も合成数で, (m') は
素イデアルでないのだから極大イデアルでないのは当たり前ですが,
間違ってはいません.

> m''|m'なる合成数m''∈Zが存在しないなら,
> p|m'(但し,pは素数)で(m')⊂(p)=Z_mとなり,(m')は極大イデアルと言える。

 p が m を割り切っていて, m と異なれば, (p) と Z_m とは
一致しません.

もう一度お考え直し下さい.
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塚本千秋@応用数学.基盤科学部門.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp