走行日: 2010年3月12日(金)
上総国と安房国の境界, そこにあるのは鋸山であり, 明鐘岬です。房総でも有数の交通の難所にして, 私を引き付けて止まない名前を持つ土地。1年半ぶりの訪問になります。今度こそは, 前回果たせなかった夢を目指します!
写真 | コメント |
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(17:20) |
金谷は富津市最後の集落です。その市街が切れてすぐにロックシェッドが道を覆っているのですが, その脇に『不動岩』という霊地があります。写真では良く見えませんけど神社が祭られています。この付近は第三期鮮新世(約500万〜160万年前)の化石が出土するそうです。 |
(17:23) |
またまた, ここから先はヨッキれんさんのレポート 国道127号 旧道及び隧道群 明鐘岬編 第6回(2−6) を併せて御覧下さい。 いよいよやってきました, 富津市と安房郡鋸南町の境となっている鋸山(乾坤山)の突端部。鋸山の頂は遥か左側なのですが, 急峻な尾根は海際ギリギリまで迫っており, かつては陸上を進む事が困難であった程の難所です。 |
(17:24) |
現道は明鐘(みょうがね)隧道で山をぶち抜いて通過しています。かつての難所も, 困難無く通れるように…… |
(17:25) |
……なってません! 国道127号に現役隧道は数あれど, 狭隘さではここが最悪なんです。路肩ほぼ0, それどころか車両通行帯自体の幅も隧道入った途端に狭くなってる, そしてここの交通量は決して少なくないの(泣)! |
(17:28)
隧道の右側にある旧道へ入りました。未舗装の駐車場になっているのですが, あまりの風の強さに激しく呷られて, 右側へ5m以上も流されたりしました(瀧汗)。この付近が強風のピークだったと思います。 その先は喫茶店になっており, 明鐘岬の景色が一望できます。店内(現役で営業中)のお客さんからは名媚な景色が眺められるんでしょうね, ということで対抗して(何がだ)パノラマ撮影(三脚使用)です。 | |
(17:31) |
で, 1年半前と同じく, 旧道の先は崩落により通行止なのでした。より悪化したりはしていませんが, 復旧が試みられた様子もありませんね。自転車抱えてここを越えるのは難しいので(瓦礫の上で風に吹き飛ばされたりしたら冗談で無しに命が無い), 今回もまた現道に戻ります。 |
(17:37) |
命の危険はこちらも少なくない明鐘隧道を必死で走り抜け, 安房国安房郡鋸南町は大字元名へとやって来ました。但し明鐘隧道は, 明鐘岬前後の隧道群としてはまだ入口であり, 最初の集落となる小字根本は更に潮噴隧道, 元名第一隧道, 元名第二隧道を潜った先あります。 写真はその元名第一隧道, の脇にある旧道の入り口です。現道の元名第一隧道がまだロックシェッドで坑口に達しないうちに, 旧道は封鎖されます。 繰り返しになりますが, ヨッキれんさんのレポート 国道127号 旧道及び隧道群 明鐘岬編 最終回(2−7) と併せて御覧下さい。いよいよハイライトです。 |
(17:39) |
封鎖に使われているガードレールは位置が高いので自転車でも潜れなくはないのですけれど, その先は藪になっているため実質的には徒歩が限界です。1年半前には晩秋とはいえ藪の濃さに跳ね返されてしまい, 目的を果たせなかったのですが……今回は初春, 冬を越した直後ということで, 一年で一番薮が薄い時期であろうと期待します。ここへ踏み込むためにペダルをビンディングからトウクリップにし, トレッキングシューズを履いて来たんです。いざ, 突入! |
(17:39) |
入ってすぐのところに自転車が打ち捨ててありました。不法投棄……にしてはほとんど朽ちていないような。もしかして, 現役……? |
(17:40) |
序盤こそ舗装の痕跡が残っており, 薮も侵入しきれていない平地なのですが, いくらもいかないうちに完全な薮となります。まだ, 踏み跡はあります。 |
(17:41) |
土嚢が積まれている……? これ, 見た記憶がありません。あまり実感できていないけど, やっぱり薮は薄くなっているのかな。 |
(17:42) |
いよいよ前進が難しくなるほど薮が濃くなってきました。前回, 前進を断念したのは, この辺りじゃないかなあ……と現地で思ったところです。前回の写真と比較すると, 薮の具合は判りませんが, 奥に見える鋼管柱が共通しますので, 多分合っているかと。但し今回は, 右(海側)に道が続いていることが判ります。 |
(17:42) | |
(17:43) |
思い切る必要もないくらいに薄い薮に突っ込んだ先で, 足下に高低差が生じました。傾斜ではなく, 道を左右に横切る溝がある, といった感じです。その左側は, 現道の元名第一隧道と元名第二隧道の中間を繋いでいるロックシェッドの窓に直結していました。排水溝のような役割なのでしょうか? |
(17:45) |
溝に沿って海側へ向かうと……ちゃんと踏み跡があったんです……道はどんどん低くなっていきました。これは, と危惧していたら, やっぱり磯に出てしまいました。釣り人が通る道だったみたいですね。前回来た時, この旧道入口に自動車が停められており, 釣り人が来る事があるのは判っていたんです。今は誰も居ませんが。 |
(17:48) |
磯へと降りて来た道の途中から無理矢理山側へ登ってみました。その途中で見付けたのがこの土壁。……石が積まれている? この旧道は途中から人為的に土盛りがされているんですけど, それにしては石が大きくしかも揃っているような……まさか石垣? |
(17:50) |
改めて踏み跡に到達し, 足をそちらへ進めます。……何やら足下に, 人工物が増えて来たような。 |
(17:50) |
ああ…… |
(17:51) |
……辿り着いてしまいました, 『住人』の方のお住まい。ヨッキれんさんのレポートにもあったし, 他にもここを目指した方が遭遇報告をされていましたから, 避けて通れない事は判っていたのですが……。 |
そして, 『住人』の方, 御在宅でした。これは無視することも逃げることもできません。遭遇した時の事など考えていませんでしたけど, 今ここに来ている時点で疚しい事がある訳じゃ無し, こちらから話を通す事にしました。 その結果, 問題なく通行を許して戴けたばかりか, 現地まで(と言っても20mも無い程度ですが)案内して戴いてしまいました。御自身の話もして下さいましたし。何でもここでもう17年間ホームレス生活をしておられるそうで, 役場(鋸南町?)の人々にも存在を認識されているものの, 海岸の清掃などをしているため立ち退きを迫られたりすることは無いんだそうです。 | |
(17:54)
旧明鐘隧道 金谷側坑口。「廃道本」で明鐘岬・明鐘隧道という名前を見てから1年半, 遂に辿り着きました……。房総の明治隧道の中では, 確認されている限り数少ない石造りの坑門を持つ隧道です。 レポートや本で写真を見た時に感じたものより, 現地で実際に見る坑門は, 遥かに迫力がありました。私の写真でも全然伝えられていませんが, 実際には見えている坑門上部だけでなく, 土被りの様子からより大きな範囲が推測できるんです。現代のトンネルとは勿論比較になりませんが, それでも相当大きな隧道だと思えます。 | |
(17:55) |
フラッシュ焚いて洞内を撮影して見ました。これも残念ながら天井付近しか写せていませんが, 石材で内部が巻き立てられている様子は見て取れます。 |
(17:56) |
さて……『住人』の方が待っているのであまり長居はできないのですけど, 勿論これを忘れちゃいけません。旧明鐘隧道の前で, 鐘ちゃん(水原明鐘@Φなる・あぷろーち)を連れてはいポーズ(*^^*) これが今日の旅で最大の目的ですから! 『妹』巡り第2目標を達成! |
最後, 坑門前から降りる時に足を滑べらせてしまいましたが, 総じて大成功の探訪でした。『住人』の方に篤く御礼を言って(また来ても良いとまで言われました), 撤収します。うん, 抵抗が無い訳ではありませんが, また来たいところですね……。 |