おにりんです。

>  そこで、ヒトのFOXP2は言語障害に関係する遺伝子である。と
>  いう情報を付加すると、この遺伝子はヒトが言語を獲得するの
>  に関係した遺伝子であると考えて問題ないですね。もちろん、
>  言語以外の形質と関係する可能性は否定できませんが、別の証
>  拠が一つでも出てくれば完璧でしょうね。
> 
まず、言語については、私のページにも書いたように、
ハードウェアとしての発達が必要です。喉頭の形状や、
さらに、子音や母音などと併せて、肺の横隔膜を連動して
動かす機構などです。後者については、肺の裏側の脊髄
の中の神経束の太さで考えると、ホモ・エルガスターでは
サルなみで、ネアンデルタール人では現代人なみです。
また、喉頭の形状は、ネアンデルタール人は異常で、
サルっぽいですが、ホモ・エレクトスの段階では、現代人
に近いものになっています。
ってことで、喉頭の形状が変なネアンデルタール人は、
別の要因でこうなったのであって、彼らが言語を放棄した
とも思えません。
つまり、言語は200万年ちかくかかって進化してきた
のであって、けっして、5万年で進化したわけではないという
ことです。

一方で、言語の質的変化については、十分に5万年前であった
可能性はある。まあ、7万年前ぐらいにしておきたいものですが。
それと、後期旧石器文化の爆発的な発達が7万年前ごろから
ちょろちょろで、5万年前に爆発します。

FOXP2は、たしかに、言語と結びつきそうですが、むしろ、
なんか、2塩基の変化は、脳の本来の活動の破壊にあったので
はないか、と思うわけです。だとしたら、言語云々よりは、
わかりやすい。

簡単にいえば、人間が、環境条件の中で、基本的に行う
動作の基本が壊れたような状況、っていうか。
このことは、2ちゃんねるで議論していますが、石器の変化が
100万年進歩しないというのが続いていたわけですが、
7万年前から突然進歩するようになる。それまでの進歩は、
遅いながらも、進歩していたとしても、その進歩は実に系統的
であって、そこから新しい方法が生まれていません。
オルドヴァイ式からアシュール式にいたり、そこからルヴァロア
技法が生まれるのですが。この変化は系統的変化です。
ところが、その後の石刃技法は、全く違う方法です。しかも、
技術的熟練度は、オルドヴァイ式からして、かなりのもので、
アシュール式もそうとうな熟練を要し、ルヴァロア技法にいたって
は、現代の実験考古学者でもマスターしている人は20人くらい
というすごい技術です。これを、ネアンデルタール人や、
アフリカのMSAのホモ・サピエンスがやっていたわけです。
ところが、石刃技法は、単純で、熟練の必要もなく、いきあたり
ばったりで作れるいい加減な方法です。ここで、熟練度と
いう意味では、明らかな退化があるわけで、そうなると、この
石器の作り方が突然変化した理由として、それまで進化的に
誘導され制約されてきた、技術が、進化から解放されたのでは
ないかと思ったわけです。もちろん、この進化的制約からの解放
は、なんらかの遺伝子が破壊されたことに由来すると考えられますが、
これが、それMSA以前のアシュール期やオルドヴァイ期で起こった
ら、むしろ、有害だったでしょうが、それがMSAの時代に起こった
から、その石器製作法や生活習慣などについて、十分な前適応が
あったため、代替の方法がすぐにみつかり、逆に遺伝的制約から
解放されたがゆえに、自由な方向に技術進歩が可能になったという
ことなんですが、いかがですか?

おにりん