Re: FOXP2はヒトが言語を獲得したことに本当に重要な遺伝子か?
ひろゆきです
"おにりん" <onizuka@icot.or.jp> wrote in message
news:ct5rop$jha$1@newssv.kcn.ne.jp...
> FOXP2は、たしかに、言語と結びつきそうですが、むしろ、
> なんか、2塩基の変化は、脳の本来の活動の破壊にあったので
> はないか、と思うわけです。だとしたら、言語云々よりは、
> わかりやすい。
これ以降の記述を読んで、同志を見つけた気分です。
石器制作の技術が系統的に発達し、精緻なものとなっていっ
たのが、ある時崩れてしまった。というくだりは、ローレン
ツの言う「本能の鎖」を思い起こさせます。精緻な造形物を
作る動物はヒトに限らず様々な分類群の中に見ることができ
ます。でも彼らは、遺伝的に固定された行動の素過程(素行
動?)が、遺伝的に固定された連鎖を形成し、一連の行動を
とり、「本能行動」とされています。ローレンツはネコの狩
猟行動に遺伝的に固定された行動の素過程を分析して論じ、
行動の進化の一つに、本能の鎖が緩んでくることをあげてい
ます。私はこの考え方を支持しています。
FOXP2の2アミノ酸残基の変異が脳の本来の活動の破壊にある
のではないかという推論が、まさに、この本能の鎖の破壊を
指していると見れば、ここに同志を見つけたという感じです。
本能の鎖がほどければほどけるほど、固定的シーケンスでは
うまく働いていいたことが、うまくできなくなります。それ
を補って、行動の素過程を目的に合わせて組合わせたシーケ
ンスに組み上げるために発達してきたのが知能であり、素過
程がばらばらになることと、知能の発達が組み合わさること
で、より適応的な行動がとれるようになったのだと考えてお
ります。
別スレッドから引用します
"おにりん" <onizuka@icot.or.jp> wrote in message
news:ct61la$kus$1@newssv.kcn.ne.jp...
> 動物の声を出す行動の多くが、威嚇であったり警戒のためであったり
> するわけで、霊長類では、有名な、ベルベットモンキーの警戒音が
> あったりします。で、チンパンジーでも、いろいろあって、有名なの
> は、フードコールで、餌をみつけると、ふーどふーどと叫ぶ(冗談)
> というものです。
> で、どうも、これらが、随意的なものではないらしく、随意的に
> 押さえることができないらしいんですね。
ここで示されているように、言語以前の発声は、本能の鎖に
強く連鎖しています。例えば「ふーどふーど」と叫ぶ行動か
ら、「ふ」や「ど」をバラバラにして、自由に別の音と組合
わせる能力を獲得しなければ言葉を作ることはできません。
言語が生まれる時は、本能的な発声という本能の鎖がバラ
バラにされて、知能で再構成することができるということで
すから、石器に見られる変化と言語の獲得がパラレルに起っ
た可能性はあると見ております。
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