青龍です。

"Shiro" <h9shiro@tky2.3web.ne.jp> wrote in message news:ch0bbs$1l81$1@usj.3web.ne.jp...
> 青龍さんの<cgstfn$h01$1@news511.nifty.com>から
> 
> >  また、日本の伝統的な宗教観からすれば、自分たちが殺してきた相手方の死者も
> > 手厚く祀るのが自然です(例:元寇、平将門、朝鮮出兵)。しかし、明治以降敗者
> >方の
> > 死者は祀られていません。
> >  これらの矛盾を無視して、日本の伝統を強調しても説得力に乏しいといえるでし
> >ょう。
> 
>  元寇、平将門、朝鮮出兵の死者は敵味方が同じ神社に祀られているのでしょ
> うか。
>  もし、別々の神社に祀られているのなら、靖国神社が日本の伝統的な宗教観
> から外れているとは言え無いのでは。

 元寇、平将門、朝鮮出兵における敗者が祀られているのは勝者方とは別の神社
(もしくは寺)です。
 ただ、私の言う相手方の死者も手厚く祀ってきた伝統というのは、個々の寺社に
ついてではなく、勝者方の伝統という意味です。
 平将門の乱でいえば、朝廷方ですし、元寇でいえば幕府を中心とする日本方です。
 これを明治以降と比較すると、明治政府は靖国神社を設置し、勝者方の慰霊を行
う一方で、敗者方(戊辰戦争における幕府側やその後の対外戦争における外国)
の死者を慰霊するということはやっていません。
 明治以降靖国神社が国家神道体制の中で重要な役割を果たしてきた経緯に鑑み
るなら、靖国神社だけを切り離して評価するのは妥当とはいえず、敗者の慰霊をして
こなかった明治政府下の国家神道体制の中の靖国神社であったことを考慮すれば、
前述のように伝統に反していたと評価出来るのではないでしょうか?
 
> >ありません。仮に中国の批判が誤解に基づくものであってもその誤解は対話の中で解
> >いていくことが過去の侵略を反省した日本の採るべき態度だと思います。
> 
>  中国は優位に立つために難癖を付けているだけなので、「誤解」を解く事は
> ないでしょう。

 確かに、中国政府が反日感情を民衆支配や政府への不満を逸らす目的で利用
している側面は否定出来ません。しかし、それは中国側の被害者としての感情が全
て嘘であり、言いがかりを付けているだけだという結論には直結しません。
 このような被害者としての感情と政治目的が混ざり合って、現在の中国政府の態
度を形成していると見るべきでしょう。

 日本で、沖縄戦や広島・長崎への原爆投下、各地での空襲についての被害の記
憶が未だ語り継がれていることを考えれば。同様に、中国でも日本の侵略による被
害の記憶が語り継がれていることは容易に想像出来るでしょう。どちらも被害の記
憶は現実の痛みとして残っているのです。
 このような被害感情を無視して相手の批判を難癖だと決めつけるのでは、相互の
理解や歩み寄りは不可能になるでしょう。
 どうも、最近の論調を見ていると、反中国感情を煽り立て、中国の批判なんか無視
しろという主張が目立ちます。このような一方的な敵視は、当然相手方の反発を招き
悪意の連鎖につながっていくのではないでしょうか。このような展開は今後の日本の
外交関係の点からも決して得策ではありません。