青龍です。

"Junya Suzuki" <PP6J-SZK@asahi-net.or.jp> wrote in message news:407ec3bf$0$19842$44c9b20d@news2.asahi-net.or.jp...
> >  今回の裁判で問題になったのは、主文と関係のない憲法判断が許容さ
> > れるかどうかであって、この点では判断を下したのが地裁だろうと、最高
> > 裁だろうと変わりないのですが。
> 
> それで、その文面に対する異議申し立てのシステムは存在しなくていいんですか?
> それが本質的な問題です。

 それで、と、こちらの論旨を無視されても困りますね。
 三審制を問題の主軸に置くのであれば、最高裁が最終的な判断として
傍論で憲法判断をするならば問題のないということになりかねませんが、
今回の判決に対する非難を見る限りその様な論調ではないようです。
 問題の本質は、判決の結論に必要のない憲法判断を裁判所がなし得
るのかという、三権の間の権限分配でしょう。

> 裁判システムはおかしい判決が出ないように3回違う判事の判断をするということに
> なっており、それが司法における信頼を担保しているのだと思っていましたがこの
> 認識は間違っていますか?

 その理屈だと、地裁・高裁・最高裁が全て傍論での憲法判断を
していれば今回の判決も問題なかったということになりますが、
そうではないでしょう。三審制が今回の問題の本質で無いという
のはそう言う意味です。

> >  今回の問題において、三審制が本質だというあたりが、問題の本質を解っ
> > ていないといわざるを得ません。
> 
> 判決の内容は今回の問題の本質ではありません。一審にもかかわらず異議を
> 申し立てられない判決がでているということが問題の本質です。一人の裁判官が
> トンでも判決を出してそのまま、というシステムはそもそも法治の体をなしていな
> いでしょう。今回は向け穴を見つけたので使ってしまいましたというだけです。

 判決の内容が問題の本質でないといいつつ、今回の判決をトンデモ判決と決めつ
けているのはどうかと思いますが、
 まあ、それはともかくとして今回の判決が確定しても傍論の部分の憲法判断には
判例としての拘束力は認められません。だからこそ、勝訴した国側に控訴の利益
が無いともいえるのですが。
 このように、傍論での憲法判断には事実上の影響力しかありません。その様な影
響力を認めるかどうかはまさに、司法府と、立法府・行政府の権限分配の問題だと
思うのですが。

 今回問題となった靖国問題の場合、政教分離原則の法的性質の問題から、違反が
あってもそれだけでは訴えの利益が無いというように理解されてきました。それ故、信
教の自由の侵害という苦しい方rつこうせいで訴えざるを得なかったわけですが。
 ただ、政教分離原則の法的性質をどのように理解するのであれ、信教の自由の保
障のためのものであり、多数者が容認すれば問題にならないという性質のものでは
ないことは確かです。
 その様な問題について、政府が政教分離原則違反の批判があるにもかかわらず
(学説でもこちらが多数でしょう)、主文での違憲判決が法制度上でないことをいいこ
とに参拝が続けられている現状で、裁判所がその憲法適合性について一定の判断を
下すこと自体は一概に否定されるべきではないように思います。

> #政治的に都合のいい判決が出ればいい、と考えるのはひどく危険だと思います。

 こんな単純な理由で今回の判決を評価しているわけではありません。