わたくしにもあなたと同様に、一つクレームをつけさせていただきます。その一
つ以外は総てあなたと同じ考えであることをお断りしておきます。また、古い学
説の考えも紹介していただき、とても参考になりました。

さて、「鳴りもの入り」氏の以下の意見に対するあなたの対応は、あなたの基本
的な姿勢からすれば「詰め」が甘いと評さざるを得ないように思われます。すな
わち、

> SUZUKI Wataru wrote:

>>  ただ、構成要件論以外では駄目ってわけではないので、罪刑法定主義を重視
>> しつつも構成要件論を採用しなければ、「構成要件」という概念自体がまっ
>> たく無用ということに「も」なります。

以上で彼は、
   
   「構成要件論以外では駄目ってわけではない」

と言ってます。と言うことは(彼の言う)「ことばとしての」構成要件は使わず
とも十分に刑法論が語れることを認めているわけです。また、

   「罪刑法定主義を重視しつつも(彼の言う)『構成要件論』を採用」せず
    とも、

と言っていることから、(彼の言う)構成要件論を採用しなくても十分罪刑法定
主義を重視した理論の構築ができることを彼自ら認めていることは評価してあげ
るのが筋ではないでしょうか?このことまで的を外れているとするような意見
は、わたくしの理解からすれば誤りです。そうして彼は、

   「……(彼の言う)構成要件という概念自体がまったく無用」

となる場合の有ることを自ら言っているわけです。わたくしはこの部分だけは、
他で彼が述べていることを無視する限り正しい認識をしているものと考えます。

つまり、彼の考えの一方には、

      罪刑法定主義を重視するのに
     (彼の言う)構成要件論は必ずしも必要ではない
      他の理論で「駄目ってわけではない」

と言う考えがはっきりと表れているのです。それでも総てが総て的外れだと言う
のでしょうか?これに対するあなたの対応はいまいちはっきりしないように思
え、もし、それでも「的外れ」だと仰るのであればこの部分に関する限りはあな
たの方が誤りです。もっとはっきり言えば、あなたの考えとこの「鳴り物入り」
氏の考えとは期せずしてお互い相容れる所が有ると言うべきです。

すなわち、

   彼は、罪刑法定主義を重視する立場であり、
 あなたも、罪刑法定主義を重視する立場である

つぎに、

   彼は、輸入構成要件論を受容するが、
 あなたは、どの法にも共通の、従って日本の刑法にも共通の
      一般構成要件から出発し、それに刑法の原理原則
      や基礎理論による論理解釈を施し絞りをかけた
      「犯罪構成要件」という、名前は似ているが独自
      の概念を採用する

そして、

     彼もあなたも、このような考えで「駄目ってわけではない」、
     あるいは、それが「今の刑法学の常識」だとされている

これをわたくしが評するに、あなたの考えていることを彼は対岸から、浅い刑法
への理解からか、ただ狭隘な目で眺めていたと言うことであって、単なる対応の
まずさがしからしめた違いのようにも思うのです。まあ、この対応のまずさは、
この「鳴り物入り」氏の今に始まったことではないことを思うとここにこだわる
必要は無いものと考えます。

とはいえ、やはり、異なる点も明確にしておく必要が有ると思われます。あくま
でもlawに於ける議論ですから。すなわち、

   彼は、構成要件という「ことば」と構成要件論は日本の刑法解釈
      を無視したドイツ刑法からの模倣をそのまま解釈論的論拠
      としているが、
 あなたは、どの法にも共通の一般構成要件と言うものが有ることを第
      一の論拠とし、また、刑法の基本原則で絞りを賭けること
      ができることを論拠にしている

次に、

   彼は、構成要件の概念内容は無いかあるいは「ことば」に過ぎな
      いとするか、構成要件論を語るときに使われる「用語」に
      過ぎない、とする(言葉には指し示すものが無いものも有
      ると言う考えであろう)
 あなたは、「枠」あるいは「型」であるとし、それは一般人に対する
      表示機能を持ち、特に「明確性」の点で、一般人の利益に
      も資するものでは有るが、単なる「要件」を飛び越えた意
      味での「枠」ないし「型」の所は、現実には裁判官の心理
      をコントロールするにある、とする

以上が、わたくしの理解でありますが、もし違っているようなことが有れば、ご
意見を賜りたい。

--
one of the people in general