In article <20031010204533cal@nn.iij4u.or.jp>,
SASAKI Masato wrote:

>もともとこの訴訟は民事訴訟です。
>原告側は今井亮一さんをはじめとして
>ある意味この種問題における「民間側のプロ」とも評価できる人たちが
>名を連ねていると言っていいと思います。
>システムだって被告の立証に対し
>「そんなの信用できないから実際に見に行きましょう」とか
>「システム作成者の証人尋問しましょう」とか
>とにもかくにも負け戦にならないよう訴訟進行ができる人たちが
>懸命にやっていたと私は想像していますが。

 訴訟進行の問題ではなくてですね、「実際に運用されているシステムがどう
であるか」というのが立証できるのか、という物理的かつ社会的な問題だと思
うのですが。。。


>……それでも被告側の主張をひっくり返すだけの立証はできなかったものですが
>  けっして立証不能なことを主張して負けたのではないと思います。
>訴訟の経過は載っていないし判例時報等では証拠はたいてい省略されますから
>想像でものを言うしかありませんが
>この事件は判決が出るまで2年以上かかっています。
>現場に行って(証拠調べとしての)検証をした可能性も否定できません。

 ま、そのあたりはそれこそ実際の訴訟進行がどうであったか、というのが想
像の域を出ない以上、私がそれに対する感想を書き連ねても意味があるように
思えないので。


>加えて
>「それ以外は使っていない」ことを否定できないからと言って
>一切だめというのも
>私は賛同できません。

 だから、そういう問題ではなくてですね。。。

 刃渡りが一定以上、特定の形状を満たす刃物は正当事由なく所持しているだ
けで犯罪になりますよね。それで実際に人を刺そうとしているかどうかなんか
問題でなく。

 技術的に極めて容易に人権侵害を為し得るシステムは、ある意味で刃物と同
じ程度の慎重さで扱ってしかるべきだし、それがそのような用途に転用されて
いないかどうか、というのも同じく慎重に評価すべきでないのか?、という事
をゆーとるのです。


>逆にお伺いしますが
>どのようにすれば客観的に明らかになるのでしょうか?

 少なくとも、システム運用者がシステム設計者及び管理者と社会的にも完全
に独立している事が最低限の条件でしょうね。このような性質の物に関しては。
 システム自体が、その運用者にとって完全にブラックボックス、それも封印
付き、というような運用がなされおり、かつ運用者とは独立した立場でその運
用がチェックされている事が立証できるなら、データの流用に関してはある程
度の客観性を以て「ない」と評価して良いだろうと思います。

 他にもいくらでも方法はあるでしょうが、システム運用者が直接システムを
物理レベルでメンテナンス可能(受注業者経由を含む)な限り、つまりはシス
テム構成が運用者の管理下にある限りはその評価を「客観的に」というのは無
理です。


>もし客観的に明らかにする手段がないのに
>それを求めてそれが得られないからだめだという論法は
>不可能を求めているものであって
>賛同できません。

 というわけで方法自体はいくらでもあります。実際にそれが為されているか
どうか、そのような事をする気があるかどうか、というのはまた別の問題です。

#もっとも実態としてそのような独立性がないからそれは不可能であり、その
#事を以て「不可能を求めている」と評価されるならもう反論もしようがあり
#ませんが。


>> 私が疑問に思っているのは、*技術的に極めて容易に*一次情報の流用がで
>>きるシステムを、その運用者側の「流用していない」という一方的宣言のみで
>>なぜ法的に「流用していない」という評価がなされるのか?という事です。
>
>なんで「一方的宣言」だって断言できます?

 システムの導入、運用、管理が現実問題として独立していない以上、そのそ
れこそ不可分一体な側からの「流用していない」というのは、何ら客観性を持
つ物とは言えないからです。

 刃物を持つ者はその所持運用が正当であるというのであれば、その事を「客
観的に」自ら証明する事が必要だし、「人を刺すつもりで持ってるんじゃない」
というだけではダメではないのか、というレベルの話です。
#もちろん、「あの人はむやみに刃物を振り回す人じゃない」と誰もが思って
#るから無罪放免、ってのはあるでしょうけどね。そういう善人だ、ってのが
#前提なんでしょうか。


 結局のところ、ケーブル一本で流用可能な一次データの扱いにしては、あま
りにも無邪気というか、評価態度が安易なのでないか?と素朴に思っただけな
んですけどね。情報処理技術の進歩とその汎用化について、なにかもの凄く認
識がヌケているような印象を受けるのですよ。東京地裁判決の問題の行には。


 立木@大阪