eurms@apionet.or.jp (M_SHIRAISHI) wrote in message news:<800c7853.0404051222.60807e06@posting.google.com>...
> 以下に引用するのは、有名な『解析概論』(高木貞治;著)からのもの(同書 p.37)である
> ---- もっとも、これは著者(高木貞治)の創案ではなく、恐らくは、A.L.Cauchy(1789-1857)
> あたりからの「孫引き」であろうと思われる ---- が、これには著者の --- 従って、Cauchy(?)も ----
> 気づかなかった≪錯誤≫がある。 それを見抜いて指摘せよ。 
> 
> 
> 
> "f'(x)・△x を点x における函数y=f(x) の微分と名づけて、それを dy で表わすことに
> する.すなわちこの定義によれば
> 
>              dy=f'(x)・△x.            (4)
> 
> 今同様の意味において、x それ自身をx の函数とみれば、x'=1だから、
> 
>                 dx=△x.
> 
> 故に上記の定義の下において、△x はx の函数なる x の微分である.これを (4) に
> 代入すれば、
> 
>             dy=f'(x)dx                   (5)
> 
> これを
> 
>               dy/dx=f'(x)                       (6)
> 
> と書くならば、記号dy/dx においてdx および dy が各々独立の意味を有するから、
> dy/dx は商としての意味を有する。"



【解答】


dx=△x が成立するのは、 y=x という〔*特殊な函数*の場合〕に限ってのことである。

従って、〔 y=f(x) が *(微分可能な)任意の函数*である場合〕の

            dy=f'(x)・△x  -----------------------  (4)

に、△x=dx として代入することは許されない(!)。

もしも、そんなことが許されるのであれば、y=x の場合には dy=dx=△x であるのだから、dy=△x も (4) に代入できる筈であり、そうすると、

            △x=f'(x)・△x

            ∴  f'(x)=1

となってしまい、「y=f(x) は*(微分可能な)任意の函数*である」という仮定に反し、
不合理である。

よって、(4) でdy を定義してみたところで、それから dy/dx=f'(x) が導けるわけでは
ない ■