Sun, 12 Jun 2005 22:00:38 +0900,
in the message, <d8hbsl$ngk$1@news511.nifty.com>,
"hatty" <hatty2@nifty.com> wrote
>つまり、片側一車線の道路で、中央線が白い実線の道路は、東京には、よくあ
>るのですか(交差点とか横断歩道とかの他の要因がない所で)。ちょっとびっ
>くり。ちなみに、そこでは、はみ出して追い越ししていいのですか。

いくらでもありますし、当然、追越しのためにはみ出して構いません。
なぜなら「白い実線は追越しのための(道路右側への。以下同。)はみ出しを
禁止するものではない」からです。

「中央線に黄色い線と白い実線が混在し、
 黄色い線の始点に追越しのためのはみ出し禁止開始の標識があり
 黄色い線の途中に追越しのためのはみ出し禁止の標識があり
 黄色い線の終点に追越しのためのはみ出し禁止終了の標識があり
 白い実線のところには追越しのためのはみ出し禁止の標識は一切無い」道路
があることは既に別投稿で述べていますが、この道路は片側3m程度しかありま
せん
(ちなみに、道路の幅に「歩道、路側帯は含まない」です。
 この道路の周辺に最低6本の同様の道路が存在します。
 その片側の幅はせいぜい3.5〜4.5m。
 部分的に6m以上の道路もあるにはありますが、その道路ですら、大概の部分
 は5.5m未満。)。

重ねて言いますが、中央線の白い実線は「追越しのためのはみ出しを禁止する
ものではありません」。
法令中のどこにもそんなことは書いてありません。
追越しのためのはみ出し禁止を意味する標識・標示は、
1.追越しのためのはみ出し禁止の標識
2.黄色い中央線
3.白い中央線の隣に付した黄色い線。
の3種類だけです。

なお、片側6m以上の道路で追越しのためのはみ出しができないのは、片側が6m
以上あるからであって「中央線が実線だから」ではありません。
仮令中央線が破線でも中央線自体がなくても「片側6m以上あれば追越しのため
のはみ出しは禁止」です。
実際には、片側6mもある道路で中央線が白い破線ということは無いでしょう
(ちなみに車道の幅員5.5m以上の道路には中央線を設置することになっている
 ので、片側だけで6mもある道路なら中央線が無いということは本来はありま
 せん。)。
しかし、中央線が白い実線であるとしてもそれはせいぜいが6m以上あるから追
越しのためのはみ出し禁止であることを注意喚起するために引いてあるだけで
す。
「白い実線を引いたから」追越しのためのはみ出しが禁止になるのではありま
せん。
元々追越しのためのはみ出しは線と無関係に禁止であるところ、既に禁止であ
ることを理由に結果として「実線を引いた」というだけです。
理由と結果が逆だということです。

Sun, 05 Jun 2005 21:09:50 +0900,
in the message, <42a2ea1d.3450%szk_wataru_2003@yahoo.co.jp>,
SUZUKI Wataru <szk_wataru_2003@yahoo.co.jp> wrote
|1.左を走る。
|2.一定の場合には右にはみ出していい。
|3.「一定の場合」が追い越しの場合は、右にはみ出してはいけないことがあ
|  る。
と書きましたが3に該当する「右にはみ出してはいけないこと」というのは、
1.左側が6m以上の場合
2.追越しのためのはみ出しを禁止する道路標示、道路標識がある場合
3.右側部分を見通すことができない場合
4.反対側の交通を妨げる虞のある場合
だけです
(ただし、通行帯のある道路については別途。)。
そして「白い実線の中央線」は追越しのためのはみ出しを禁止する道路標示で
はありません。
法令中のどこにもそんなことは書いてありません。

交通の教則で充分ですから読みましょう。
一言もそんなことは書いてありません。
なお、正確な法令上の根拠は、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命
令」の別表六。

>余談ながら片側2車線以上は、中央分離帯がなければ、白い実線です。当然、
>はみ出しての追い越しは禁止です。

結論には同意しますが「当然」ではありません。

1.
繰り返しますが中央線が白い実線であることは「追越のためのはみ出しを禁
止」する理由にはなりません。
中央線が白い実線だからと言って「当然」追越しのためのはみ出しが禁止にな
ることは現行道路交通関係法令上ありません。

2−1.
片側2車線の道路は、まず原則論として、施行令により車両通行帯を設ける場
合その幅員は3m以上必要なので自動的に左側の幅員が6m以上あることになりま
す。
であれば、「車線数に関係なく、中央線の色・形態・存否に関係なく」追越し
のためのはみ出しはできません。
しかし、この追越しのためのはみ出しができないのは一義的には片側6m以上あ
るからであってそこで「車線が2つあることあるいは白い実線の中央線がある
ことそれ自体が追越しのためのはみ出しを禁止しているわけではない」です。
あくまで「6m以上あるから追越しのためのはみ出し禁止」(17条5項4号)なだ
けです。
これは、先に述べたことの繰り返し。

尤も車線が二つ以上あること自体も「事実上」追越しのためのはみ出しを禁止
する理由となることは以下の通り。

2−2.
次に、例外的(と言いつつ大都市圏ではよくある。)に1.5mまでは幅員を減ら
せるのでその場合は、時に、片側2車線の道路であっても片側の幅員が6m未満
になり、追越しのためのはみ出しは「17条5項4号違反とはなりません」。
つまり、この場合「追越しのためのはみ出し」それ自体は直接に違反となりま
せん。
しかし、実際には「追越しのためのはみ出しが別の違反となる結果、追越し
のためにはみ出しをすれば違反となる」です。

さて、車両通行帯のある道路の走行の仕方については20条各項が定めています
が、20条1項にある「車両通行帯を通行」とは「車両通行帯の内側を通行す
る」ことを意味し「少しでもはみ出してはいけない」と解することができます
(詳解道路交通法では通行帯の内側を通行するのは「いうまでもなく」として
 いる。)。
そして、同条3項後段において追越しの場合に「直近の右側の車両通行帯を通
行」というのも同様に「直近の右側の車両通行帯から右へも左へもはみ出して
はいけない」と考えるべきです
(もっともこの点については、異説もありうる。
 実際にあるかどうかは知らないが、もし仮に同条3項後段は「直近の右側」
 を指定することに意味があり「車両通行帯を通行」の部分は文脈の都合上、
 書いてあるだけで1項と同じ意味を有しないと考えれば、追越しであっても
 「前二項の規定によらないことができる」結果、直近の右側の車両通行帯を
 「はみ出して通行してもいい場合がある」と解することができる。
 この場合、「追越しのために必要であれば車両通行帯をはみ出して通行する
 ことができる」ことになり、幅員6m未満で片側2車線の道路において追越の
 ためのはみ出しを禁止する標識・標示が無い限り、必要であれば追越しのた
 めにはみ出すことが可能となる。
 が、まあそれは一応おいておくとしよう。
 どうせ今はその点が問題なのではない。
 必要があればこの点について論じてもいいけど、調べるのが面倒臭いので
 できればパスしたい。
 何しろ「実用上問題になる状況に出くわしたことが無いしこれからも無さそ
 う」なので掛けた労力ほどに意味があるとは思えないから。)
とすれば、「中央線を越えて右側にはみ出す」というのは「直近の右側の車両
通行帯からはみ出しているから『車両通行帯を通行』していることにならな
い」のでそれが追越しのためであれば同条3項後段違反となります。
したがって、「車両通行帯が設けてある道路は追越しの場合に車両通行帯から
はみ出して走行してはいけないことになっている結果として追越しのための道
路右側へのはみ出しを禁止している」ことになります。

しかしこれは、幅員6m未満で車両通行帯がある道路で標示標識による規制がな
い場合に、追越しのためにはみ出すことは「追越のためのはみ出し禁止違反
(17条5項4号違反)とはならない」が「追越しの場合の車両通行帯通行方法違
反(20条3項後段違反)」になる、ということにすぎません。
つまり、「違反の理由が違う」ということ。
したがって「追越しのためのはみ出しが禁止」であるわけではなく、「当然」
でもありません
(前述の「異説」を棚上げしたのは、結局問題はこの部分であるから。
 はみ出しが違反であるという結論は同じなので別に結論の変る説を問題に
 する必要はない。
 問題なのは「結論は一緒でも理由が違う」というところで、その「理由」こ
 そがここでの問題だから。)。


以下参考。
****

ところで、一部の全幅がやたら巨大なものを除き乗用車で乗用車を追い越す場
合では、実際には2車線道路ではみ出す必要がそうそう無い(いくら1.5mまで
狭くできると言っても実際にそこまで車線を狭くしている道路はそんなにな
い。)のではみ出すと違反になります。
はみ出す場合は「できるだけ少なく」でなければならないので「はみだす必要
が無ければ当然はみ出してはいけない」ということになります
(あるいは、必要が無い以上そもそも追越しのためのはみ出しではないと考え
 ることもできる。
 どちらでも結論は一緒。
 なお、「必要のないはみ出しが禁止なのは追越しに限らない」です。)。
例えば一車線が2.5mであれば片側5mですからはみ出しは可能ですが幅2m(相当
でかい。)の自動車同士の場合0.5mの間隔を空けて充分片側で追越せます。
この場合はみ出し自体が必要ないので、はみ出すと違反になります。
これは「追越しにおける車両通行帯通行方法」(20条3項後段)違反だけでは
なく「必要のないはみ出しだから」(17条5項柱書後段)違反ということにな
ります。
同様に片側の幅員が4mしかない「1車線」道路で左に寄って走っている二輪車
がいるとして、それを後続の二輪車が追越す場合、はみ出す必要もないのには
み出せば違反となります。
つまり、「車両通行帯の数」とは別問題。
同様に「中央線の色・種類・有無」ともまた別問題です。

****
以上参考。


まとめると、その時の特定の交通の状況と無関係に道路そのものの客観的構造
を理由に「追越しのためのはみ出し」が禁止されるのは、
1.片側6m以上の道路(17条5項4号)
2.中央線が黄色(17条5項4号および標識令別表第六)
3.中央線は白いが自分の側に黄色い線が付してある(17条5項4号および標識
  令別表第二)
4.中央線は白いが追越しのためのはみ出し禁止の標識がある
  (実際にはこのような道路はお目にかかったことは無いが、理屈上はあ
   りうる。
   この場合、線は追越しのためのはみ出し禁止とは全く無関係で、標識だ
   けが問題。
   17条5項4号および標識令別表第二)
だけです。
加えて、
5.片側6m未満で車両通行帯の設けてある道路(20条3項後段)。
も「結果的には」同じ、ということになります。
なお、
6.片側6m未満で車両通行帯が無く追越しのためのはみ出しを禁止する標示標
 識が無い場合であっても前車と後車の車幅と道路幅と走行状態によりはみ出
 す必要自体が無い場合(17条5項柱書後段)。
も「追越しは無論それ以外のためでもはみ出し禁止」で一応、「追越しのため
のはみ出しが禁止される場合の一」と考えてもいいです。
ただし、既述の通りそもそも「追越しのため」でないと解すれば、(追越その
他の法律上特別な目的の)はみ出しの問題(17条5項柱書後段)ではなく17条4
項の問題にしかなりません。

# ちなみに、理屈上は「車両通行帯の設けてある道路」というのが「片側1車
 線」ということもあり得ます。
 二以上なければ「車両通行帯を設けている意味が無い」のですが、あくまで
 理屈上。
 しかし、施行令できちんと「二以上」設けることになっているので、法令上
 問題はありません。
 この理屈が理解できないと、なぜ施行令がわざわざ「二以上」などと「当り
 前」のことを書いているか理解できないでしょう。

>ちなみに、これが破線ですと、どれが中央線か、わかりにくいですね。

だから「実線になっている」のですが、それは別に「追越しのためのはみ出し
を禁止するためではない」です。
単に、「判りやすいようにしているだけ」です
(これは「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」別表第四で決ってい
 ます。
 即ち、4車線以上ある道路では中央線は実線で引くことになっています。
 なお、3車線の場合も実線になりますが、そもそも中央線というのは「(物
 理的な)中央に引くもの」であって奇数車線ということは、「中央以外を中
 央として指定」する場合になるので移動式でない限り実線になるだけ。
 物理的には中央に中央線が引いてあるのに片側だけ2車線とかいうことは、
 まぁまず無いだろう。
 で、「白い実線の中央線」が追越しのためのはみ出しを禁止するものなら、
 4車線以上の道路あるいは物理的な中央以外を中央とする道路においては
 「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」が追越しのためのはみ出し
 を禁止しているということになるんだけど、道路交通における規制というの
 は、道路交通法および同法の授権による都道府県公安委員会規則によってす
 ることになってんだけどね。
 一体、「道路標識、区画線及び道路標示に関する命令」が交通規制を行うと
 いうのはどういう法的根拠に基づくのかね?)。

もしそのような道路で追越しのためのはみ出しが禁止になっているとすればそ
れは「別の理由」です。
その結果として「白い破線ではなく実線を引いた」ということはあり得ます
が、それはあくまでも「結果」。

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp