Re: 【中心極限定理】のパラドック ス
Yuzuru Hiraga wrote:
> In article <800c7853.0403062243.78c82efd@posting.google.com> eurms@apionet.or.jp (M_SHIRAISHI) writes:
>>>問題3: An = Pr(μ≦<X>n≦μ)、A = lim An とするとき、
...
>>sci.mathでは、Robin Chapman なる御仁が、「a.すべて 0」を主張しているけど、
>>私は、「c. An はすべて 0 だが、A=1」が正しいんじゃないかって思うんだけど、
>>哀しい哉、その「証明」ができない。 ヽ(^。^)ノ
>
> ................. 絶句 .................
と書いてはみたものの、この調子でいくと次の攻撃目標は
「εδ論法は間違っている!」になるのかなあ、と危惧したりする。
それはともかく、問題の一部は用語のあまりの独自性(言い換えれば稚拙さ)
にあるわけで、そこらをできるだけ好意的に解釈してあげようとは
努力しているんですが、なかなかそれを汲んでもらえないようで。
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L. Wittgenstein:
もしライオンが話せたとして、我々にはその言うことが全く理解できないだろう。
# 念のため:これは「燕雀安くんぞ鴻鵠の志を知らんや」
# といった意味では全然ありませんぞ。
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もいちどやると、
fn(x) = n (0≦x≦1/n), 0 (otherwise)
gn(x) = n (0<x≦1/n), 0 (otherwise)
としようね。fn と gn の違いは x=0 での値だけ。
で、縦 n、横 1/n の長方形の面積だから、
∫_{0, 1/n} fn(x) dx = ∫_{0, 1/n} gn(x) dx = 1
がすべての n で成り立つよね。
「だから」n→∞とした極限でも、極限値は 1 だよね。
これは確かに不思議だよね。
横幅は 0 に近づいていくのに面積は 1 のままだからね。
とりわけ gn(x) なんか、n→∞の極限では定数関数 g(x)=0 に
収束するからなおさら不思議だよね。
だけどこれは一応カタがついている話なの。
fn(0) なんか n→∞のとき発散しちゃって、20 世紀中頃は
確かに「パラドックス」めいた話にはなっていたけど、
これも一応カタはついているし、少なくとも今頃改めて
「パラドックス発見!」と騒ぐような話ではないの。
「中心極限定理」云々といっても、本質的は上の話であって、
別に中心極限定理固有の話ではないの。
σ/√n という形があるから上の話に翻訳はできるんだけど。
で、M_SHIRAISHI 君の「μ≦<X>n≦μ」というのは、
上の積分式で上端だけを 1/n→0 としてしまった:
∫_{0, 0} fn(x) dx
にあたるんだけど、これはライオン語の世界では通用するのかもしれないけど、
日本語にせよ英語にせよ、人間語の世界では通用しないの。
プリンにしてもコンクリートにしても、鋳型に流しいれて、
固まってから鋳型をはずすでしょ?
上でやっているのは、固まる前に鋳型をはずしてしまったことにあたるの。
そうすると中身はみんな流れてしまうでしょ?
それからどうこうしてももう遅いの。今更固まっても、ちゃんとした形
(具体的には ∫ fn(x) dx = 1)にはならないでしょ?
これを「覆水盆にかえらず」と言うの。
投稿でも同じこと。一度出しちゃったものは元に戻せないの。わかった?
# David C. Ullrich さんの sci.math の記事には
# "I hope you enjoy living in your little world of paradoxes"
# とあって、これは一読「パラドックスを扱ったあなたの小世界」
# に読めるけど、その小世界自体がパラドックスに満ちていると
# 言っているとも解釈できますね。意図的かしらん。
(平賀@筑波大)
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