Re: 許諾の性質(Re:シェリングのN響アワー)
At Mon, 20 Oct 2003 22:41:14 +0900,
in the message, <20031020224114cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>許諾が意思表示だと考えるから無視できないんでしょ。
>それは実はトートロジー。
# 許諾が準法律行為だと考えれば必ず無視できるという前提でないとこれが言
えないことに気付いて貰いたいものだ。
ところが、そんなことはない。
ちゃいます。
準法律行為だったとしても、「意思表示の規定を類推適用する」のなら、無視
はできません。
と言うか、「無視できないから意思表示の規定を類推適用する」のです。
債権譲渡の通知が「別の債権の通知のつもりだった」、債務の承認が「別の債
務の承認のつもりだった」場合なんかどうか。
客観的に見ればA債権の譲渡の通知に見えるが債権者はB債権のつもりで通知
を受けた債務者もB債権の譲渡と知っていた場合、どちらの債権譲渡の通知と
して扱うべきか。
あるいは、譲渡していないと言うところを言い間違えて譲渡したと言ってし
まった場合などに、当該譲渡通知を受けた債務者が言い間違えと知っていても
債権譲渡の通知の効力を認めるのか。
こういう場合もまた主観は完全に無視して客観面だけで捉えるのならともか
く、そうでないからこそ「意思表示の規定を類推適用する」という話になるの
でしょう?
そして、今時、意思表示でなければ意思表示の規定は一切(類推)適用しない
なんてことを言ってる人がいますか?
# だから結論は一緒だって言ってるのです。
>許諾の外形を信じた者を保護しないのは
At Thu, 11 Sep 2003 23:32:28 +0900,
in the message, <3f6082a7.5576%omegafactor@anet.ne.jp>,
SUZUKI Wataru <omegafactor@anet.ne.jp> wrote
|意思表示だって外観を保護しますけど?
を読んでなおそう言っているんですか?
「意思表示の外形を信じた相手方を保護しない」なんてのが大間違いなのは民
法の基本中の基本(表見理論を知らないはずがあるまい。)。
心裡留保の規定だって虚偽表示の規定だって「外形を信頼したものを保護す
る」ものです。
そしてそれは準法律行為にもその性質あるいは内容に応じて類推適用ないし準
用される。
だから結論は同じ。
だから「全く問題ない」です。
なお、
>At Fri, 12 Sep 2003 00:30:21 +0900,
>in the message, <20030912003021cal@nn.iij4u.or.jp>,
>cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>>(……てえか、錯誤なら原則無効にするのかい?)
それでなんか問題ありますか?
まあ実際には、動機の錯誤でなくて要素の錯誤で重過失がないというのはそん
なに多くないと思いますけどね。
いずれにしてもどっちが原則であるかは結論の異同に必ずしも影響しないか
らどうでもいいけどね。
>著作権と著作権者の保護に必要な範囲を超えて
>著作権者に有利にすぎるという「問題」を指摘しています。
外形を信じたから必ず保護するって方がよほど「必要な範囲を超えて」相手を
保護しすぎで著作権者に不利に過ぎます。
そもそも「外形上許諾と信じた」場合はなんで常に保護しなければならないん
ですか?
物を使用させる場合は使用させる権限のある人の意思を問題にするのに、著作
権に抵触する態様での著作物の利用には著作者の意思を完全に無視して良いの
はなぜ?
権利者が不利益を被ることは同じでその法的保護に値する利益は有体物と無体
物とで何が違うの?
あるいは、
At Fri, 12 Sep 2003 00:30:21 +0900,
in the message, <20030912003021cal@nn.iij4u.or.jp>,
cal@nn.iij4u.or.jp (SASAKI Masato) wrote
>そして63条1項や2項って
>外観があっても内心の意思を優先させなきゃいけない(場合がある)
>って条項なの?
61条1項の「譲渡」は(譲渡自体が意思表示ではないが)意思表示によるから
こそ同条2項で「契約」と言っているわけですが、この「譲渡」の場合と「許
諾」の場合とを区別する理由は何?
あるいは、
At Mon, 20 Oct 2003 22:30:01 +0900,
in the message, <3f93dd45.6227%szk_wataru_2003@yahoo.co.jp>,
SUZUKI Wataru <szk_wataru_2003@yahoo.co.jp> wrote
|有効でない許諾(あるいはそもそも許諾でない)ものを「許諾」だとして著作
|権侵害にならないという方がよほどおかしいです。
と書いたとおり、例えば意思無能力者の「許諾」が有効なの?
例えば作家が心神喪失になって成年被後見人になったとして、本人が「許諾」
したらそれでその人の著作を利用できるの?
また、「外形を信じた者を保護」と言うなら、信じなかった場合には保護しな
いということでしょうからその法的根拠は?
って言うかもっと言えば準法律行為なら「信じる必要もない」んじゃないです
か?
つまり、外形が存在すれば相手が信じなくても構わないはずじゃないですか、
本来?
すると、「言い間違いと知っていても許諾の効力を認めてしまう」と言うこと
になります。
そりゃあどう考えたって理不尽。
だけど実際はそうではない。
では、必ず保護するわけでないならその準則は?
意思表示なら意思表示の規定通り。
準法律行為なら意思表示の規定の類推適用。
で、結論はまず同じ。
ならばあえて準法律行為と考えるメリットは何もない。
行為の純客観的性質から考えれば足ります。
そして許諾には「使用を認めようという意思決定」が入っているのは確実。
ならば意思表示か意思の通知
(この時点で観念の通知は論外。)。
そして、意思決定の中身は、本来使えない無権利者に使うことを許す=使用す
る権限を与えるという権利の処分を意図してする内心の表示だから意思表示と
考えるべきだ、と。
で、仮に意思表示でないとして、「意思の通知ではなくて観念の通知だ」とす
る根拠は何ですか?
意思の通知と観念の通知の違いは、通知者の内心に基づく決定・判断などの表
白か通知者の内心とはその存否が無関係な事実の表白かであり、通知者が許諾
権(代理権を含む)を有する者である限り「許諾」が前者であるのは明らか
(なお、そもそも許諾権のない者の許諾は法律上許諾ではない。)。
……ちなみに、「こないだ使って良いって言ったよね?」「ああ言ったよ」の
「ああ言ったよ」は「許諾したという事実」を表白しているのだけど、そもそ
も法律効果が何も発生しないから観念の通知ですらない。
>#次は11月末?
何がですか?
投稿タイミングの話なら、いつ投稿しようがわたしの勝手です
(ちなみに前回間が空いたのはうっかり見落としたから。)。
間が空くのがお気に召さないなら無視すれば宜しい。
--
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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