# フォロー先はfj.miscにしておくか。

At 8 Aug 2003 12:51:50 +0900,
in the message, <bgv6om$2dk9$1@mozart.shiino.taito.tokyo.jp>,
alceste@shiino.taito.tokyo.jp (Shiino Masayoshi) wrote
>自然科学って、多少分野が違っても「言葉」や「概念」の使い回しが利きます。
>例えば数学と物理学で共通の言葉を使ってたり、物理学と化学で共通の言葉を使
>ってたり、化学と生物学で共通の言葉を使ってたりします。
># ちょっとずつずれてく事もあるけど
>物理学なんかの教科書的な言葉や概念だと、自然科学のどの分野に持ってっても、
>まあまあ似た様な意味で使われてますんで、ごく専門的な話でもしない限りは何
>とか話は通じるんです。
>一方、法律学に限らず社会科学や人文科学では、自然科学の言葉の使い回しが利
>かない事が時々有る。分野の基本的な概念でも自然科学とは全然別の意味だった
>りする。

詰るところ、
自然科学において異分野で同じ言葉をわざわざ別の定義で使う必要があること
は社会科学に比して少ない。
逆に、社会科学では他の学問における定義をそのまま使ってみても'役に立た
ない'場合が少なくない。
一方、日常用語としては自然科学系の定義(に近い定義)で使う事が多い。
ってだけのことだと思いますよ。

物理学と同じ定義で問題がないなら法律学だって同じ定義を使って問題ない
のは当然。

そもそも言葉は有限だけど概念・事象はそれこそ無尽蔵にある。
そこで、すべてを定義して異なる言葉を与えるなんて不可能なのだから一定の
言葉に'限定付きで'必要な意味を与えればそれでいい。
そうすると、'合目的的に'言葉を使い回すということをするだけの話。

同じ言葉でも話者によって意味合いが違うのだって本質的には同じ現象。

>>私は物理学の大槻教授は割と好きなんだけど
>>彼も似たような発言を著書でやっていますね。
>>「法学は科学ではない。なぜなら真理を追究しないからだ。」的な。
>>これ読んだ後あたしfjでチャチャ入れてる。
>>「法学は○○ではない。なぜなら○○をしないからだ。という主張には
>> おおむね賛成するよ。
>> ところで物理学って真理を追究できてるの?」って。
>
>自然科学教の人で、哲学の素養が無い人だと「真理」って言葉を割に無反省に
>使うんで、罠に落ちます。

大槻教授(に限らず実は工学系の人間は同じ様な傾向があるというのがわたし
の経験則。)の言う「真理」ってのは「存在の法則」くらいの意味じゃない
の?って気がします。

法学の最初の方でやることに「存在の法則」というのと「当為の法則」という
のがあるけど、仮に存在の法則だけを探求するのが自然科学だとすれば、殊に
法学では避けて通れない当為の法則を探求する面は、確かに異質。

単に、これをもって「真理の探求」かどうかって言ってるだけじゃないの?っ
てね。

それとも、いつでもどこでも無条件で同じ法則が通用しないと駄目ってことか
ね。
でもそもそも「科学とは条件付きである」という有名な?言葉があってたとえ
自然科学においても無条件に成立するものなんて何一つない
(無条件に成り立つのは神の領域だけ。)。

# 生物系の方が物理化学系よりは多様性に対する理解はある様子。

まあ、人為的要素を排除した存在の法則を「真理」と定義すれば、人の営みを
対象とする社会科学は人為的要素を排除できない以上「真理」の探究じゃない
ことは間違いないね。
でも「科学」がこの意味でもこの意味でなくても「真理」の探求であると誰が
決めたの?って問題もあるわな。

結局、「真理」って何?「科学」って何?ってとこに行き着くだけじゃない
の?

-- 
SUZUKI Wataru
mailto:szk_wataru_2003@yahoo.co.jp