Re: 教科書に意義アリ!
河野真治 @ 琉球大学情報工学です。
In article <d9rrn7$qc1$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>, kiguchi@rist.kindai.ac.jp writes
> 1) 重力は剛体棒の重心に働くと考えなくてはならない。
>
> 剛体束縛はホイヘンス流に考えればテコの原理で表現でき、重心回りの重力ト
> ルクはゼロである。
>
> 2) 抗力 N は面に垂直に働く。
>
> これをはっきり言ったのはダランベールかな。いわゆる仮想仕事の原理。
> 束縛力は仕事をしない。
このあたり(力学系の拘束条件からくる制約)を、「運動は力で決ま
る」みたいな嘘を元に、中学生や(ひねた)高校生に納得させるのは
不可能だと思う。これらの力は、拘束条件を実現するために「存在
して欲しい力」ですよね。なんで、そんなに都合良く出現する力が
あるのか?
大きさや内力を持つ物体を、少ないパラメータで表現できるのは何
故か? それは、エネルギー保存や運動量保存の制約から可能になっ
ていることで、実は、出発点は、保存則だってことですよね。だか
ら、その力学系に存在するエネルギーに注目すれば良くて、力は、
そこから導出されるってわけだな。だから、都合良く出て来てくれ
る。
> 3) 摩擦力は F= μ N で表される。
> これは現象論だから、あれこれ考えても仕方がない。
ミクロなでこぼこのある斜面に対して、「抗力 N は面に垂直に働
く」ってなわけにはいきませんよね。
個々の原子に働く力とかではなく、マクロな現象として摩擦を取り
扱うにはどうすれば良いかってことで、
H = 一定
ではなくて、
H = ΔE
みたいな形で失われていく、あるいは、熱に転嫁されていく摩擦エ
ネルギーなわけだよね。
結局は、「解ける問題」を提示しているから、あんな問題が出て来
るわけで、「解ける問題の類型」を学習するって割り切れば、もっ
と、楽に理解できたと思う...
---
Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
GnuPG Key ID = ECC8A735
GnuPG Key fingerprint = 9BE6 B9E9 55A5 A499 CD51 946E 9BDC 7870 ECC8 A735