河野真治 @ 琉球大学情報工学です。

なんか、ゆっくり読んだな。ってよりは「持ち歩いていただけ」の
時間が長かった。

ハイニッシュユニバースもの。実は、割とつまらないと思っていた
りします。「所有せざる人々」みたいな、いかにもな奴も、今から
考えるとそれほど面白くなかったかも。2000年か。また、いろいろ
書き始めた時期ですね。

で、ファーストコンタクトのあおりで、焚書するはめになった社会
に来て、文化人類学するエクーメンの女の子調査員の話。華氏451 
みたいな話ですね。邦題は凝りすぎ。Telling は Simple すぎるけど。

小谷真理子の解説がついているんですが、真面目すぎない? もっとも、
面白くないと書くわけにもいかないか。

でも、ゆっくり読むのには良い本だったな。この手の話だと落ちが
なかった方が良かったかも。別に「何かが起きる」必要はなかった
気がする。山に登って、何も出来ずに帰っていくみたいな方が僕は
好きかな。そういう話なら話で「終ってない」とか文句を言うだろ
うけどさ。

本とか言葉で残せるものって文化の一部だよね。あるいは、逆に言
葉になるものしか形のある文化としては残せない。実は、それは死
んだ文化でしかない。 一方で、人々が引き継いでいく文化は、

    その人が発見した分しか引き継げない

わけだけど、

    必ず、引き継いだ人が変化させた分がある

わけだ。それが文化の多様性と可能性を増すことになる。だとしたら、
焚書自体は、特定の文化に対して、そんなにダメージはないんじゃない
かな? と言うより、その星が、それを選んだのは必然性がある気がする。

もちろん、ル・グィンは、文字で残す文化に執着するわけだけど、
その反対もつい書いちゃうわけね。そういう物書きの自己否定と
自己確認として読むものなのかも。

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Shinji KONO @ Information Engineering, University of the Ryukyus
河野真治 @ 琉球大学工学部情報工学科