佐々木将人@函館 です。

>From:Yasuyuki Nagashima <yasu-n@horae.dti.ne.jp>
>Date:2005/07/03 23:58:05 JST
>Message-ID:<da8u11$p1k$1@caraway.media.kyoto-u.ac.jp>
>
>Followup-To指定はとりあえずしません。

理由も含めて同じく。

んで、引用順を変えますけど

>年寄株がそういう性質のものかどうか、で決まるのでしょう。
>私は、見聞きしている年寄株の扱われ方からして、
>違うんじゃないかと思っていますが…
>
>うん、それこそ「年寄株って何?」をはっきりさせることが重要ですね
>…これは相撲に詳しい方のフォローを期待。

を確定させないことには
法律的な議論はできないんじゃないかなあ……。

一応手持ちの情報で語っては見るけど
そもそもマスコミ報道という
信用性の薄い情報で議論をせざるを得ないんで
確定的なことは何も言えないとは思います。

>何しろ上記のとおり、相続は
>「『一切の』権利義務」について行われるわけですから。
>
>相続の対象にならないとすれば、その理由は
>「被相続人の一身に専属したもの」しかあり得ません。

いや、
「それは法律上の権利ではない」
という線はあるんじゃないかなあ……。
選択肢としては。
で、この選択肢を切るためには
平成10年9月21日付け東京地裁判決(判例時報1678号p108)の
検討がいるんじゃないか?

この判決では
「年寄名跡は、日本相撲協会に力士として在籍・所属し、
 一定の資格を有するもののみに襲名継承が許されている
 権利ないし地位である。」
ということを当事者間に争いのない事実として認定しているんで
ここが争われない限りは先例としてよく
その限りで「法律上の権利ではない」という線が切れる。

そして「法律上の権利・地位」としてその対価が必須のものかと言えば
判決中でも一定の資格を有しない者が有する者に無償譲渡するのは
不自然ではないとしているんで
少なくとも「金銭の移転が権利の移転に必要」という解釈は
とってないと見ることができるし
それは平成15年2月24日東京地裁判決
(判例時報1121号p284)が
結論として金銭の支払請求を認めたものの
その理由を「権利の移転をしたんだから当然」ではなく
「口頭による合意の成立」に求めたのと
平仄があっていると思います。

さらに私が持っている情報では
「親方を譲る際には譲られた親方が譲った親方及びその家族の面倒を見る
 という慣習があった。」
「明治から大正にかけて親方及び家族の面倒を見る代わりに
 一定の金を給付する慣習に変化していった。」
というのがあるんですね。
(でもしょせんマスコミ報道だから……。)

で、これらを総合すると
「年寄株も法律上の権利ではある。」
「しかしそれは誰でもが認められるものではなく
 相撲協会が認める範囲内で認められるものである。
 (=相撲協会が認めない者には権利取得が認められない)」
「権利の譲渡に際し授受される金銭は別途の合意に基づくものであって
 その合意がなければ金銭を受け渡しする必要はないし
 金銭の授受が権利譲渡の要件でもない。」
ということが言えると思います。

そうすると相続財産かどうかを議論したって
「相撲協会が認めなければだめ」
なんだから
議論の実益がないんじゃないかなあ……。

せいぜい税務当局が課税対象にするかどうかだけであって……。

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