佐々木将人@函館 です。

>From:Keizo Matsumura <kmatsu@nr.titech.ac.jp>
>Date:2005/06/24 17:12:55 JST
>Message-ID:<42BBC087.AAF87129@nr.titech.ac.jp>
>
>「法治国家」幻想、佐藤友之著、学文社、P.109
>
>太政官布告第32号「爆発物取締罰則」1884年公布。

は
起源が太政官布告に遡るだけで
その後
明治41年法律第29号によって改正されていますから
この時点で帝国議会が制定した法律になっています。
(その後の改正は大正7年法律34号と平成13年法律第121号)

>それ以前の法律(太政官布告も含みます)を・・・・・この表現だと
>太政官布告は法律だということですか?

正確に言うと「爆発物取締罰則」はまぎれもなく法律だということです。
それを「法律でない」と思い込んでいるあたりが「幻想」な訳です。
……「幻想と思っているあんたが幻想を見ている」ってやつですね。

ちなみに太政官布告の法律としての効力のおさらい。

まず太政官布告という法形式が使用されるようになったのは明治6年。
この時点で太政官布告は法律としての効力を有しています。

太政官布告という法形式が廃止されたのは明治19年。
しかしそういう法形式が廃止されたのであって
法律としての効力を有する個々の太政官布告が
一律一斉に廃止されたのではありません。
むしろこの時点では法律としての効力は引き続き有しているものです。

次に明治22年に大日本帝国憲法が制定された際
その76条1項で
「法律規則命令又は何等の名称を用いたるに拘わらず
 この憲法に矛盾せざる現行の法令は総て遵由の効力を有す」
(適宜現代かなづかいに直しました。)
としていますから
大日本帝国憲法制定前に法律としての効力を有しているものは
(その名称のいかんにかかわらず)
大日本帝国憲法制定後も引き続き法律としての効力を有します。
(例外が「大日本帝国憲法と矛盾するもの」
 矛盾するものは効力を失う訳です。)
(で、爆発物取締規則は、この後の明治41年に
 法律によって改正されたことにより
 「法律の効力を持つ太政官布告」ではなく「法律」になった訳です。)

日本国憲法制定時にも
「従前の法律の効力は?」という問題はおきる訳ですが
これについては相変わらず法律としての効力を持つ訳ですから
「法律としての効力を持つ太政官布告」は
相変わらず「法律としての効力を持つ」のです。
(ちなみこれは「廃止・失効していないんだから有効」という論理です。)

これを確認したのが昭和36年7月19日最高裁判決で
死刑執行方法について定めた明治6年太政官布告65号について
検察官の主張である「そもそも法律事項ではない」
という主張を退けて
法律事項であるから「法律としての効力を持つ太政官布告」であって
有効であるとしています。

※ちなみに「法律としての効力を持つ太政官布告」という表現自体は
 最高裁判決では使われていませんよ。

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まさと「あんなに雪多かったのにね〜。」