佐々木将人@函館 です。

>From:DSS <DSS@mbj.nifty.com>
>Date:2004/07/15 22:55:28 JST
>Message-ID:<20040715225249.D890.DSS@mbj.nifty.com>
>
>>しかしそれは関係のない第3者にはたいてい興味のないことですし
>
>いや,前例というものになりますよね.

前例が意味を持つのはその理由の部分です。
勝ち負け自体ではありません。
たとえば今回まつむらさんは東京地裁で勝訴判決を得ていますが
そのことは
これから提起されるであろう
誰かから別の誰かに対する貸金返還請求訴訟には何の影響もありません。

>>>では,勝った負けたの判断基準ってなんでしょう?(^^;
>>
>>たいていの人にとって自分の請求が通るかどうか
>>言い換えれ訴状記載の請求の趣旨通りの主文の判決が出れば勝ちで
>>出なければ負けです。
>
>いえ,そうではなく,裁判官が下す判決の基準です.その判決によって勝った
>負けたと思ってしまうんですが,その判決基準ってなに?ってことです.

法律と法律書に書いてあります。
一例を示すなら
貸金訴訟の場合だと
原告は貸金契約の存在と金銭を交付した事実の存在を主張すればよい。
被告がその主張を認め他に何の主張もしなければ
原告勝訴の判決が必ず出ます。
(出ないと違法)
この要件が何か深く勉強したいのであれば
法曹会で出している
「民事訴訟における要件事実」を読んでください。

ポイントは
「法律の定める要件を原告が満たせば原告勝訴の判決が出る」
という点であり
その要件の中に「原告が正しい」なんてことは含まれてないってことです。
上の貸金訴訟で言えば
別に「原告がお金を貸したのは正しいから勝った」
訳ではないということです。

また理由も検討せずに結果だけ見て勝った負けたいうのでは
それは気分の変化以外にはあまり意味がないでしょう。

例えば貸金訴訟で
領収書を受け取ったのになくしてしまった、
相手から訴訟をおこされた、
弁済の事実の立証に失敗し
原告勝訴の判決が出てしまった……。

この場合に
「領収書をなくしてしまって
 弁済の事実の立証が困難になってしまった。
 それが敗訴の原因だ。」
と検討したのであれば
これは将来に役立つでしょう。
しかし単に「負けた」だけでは
あまり意味はないでしょう。

これは話を聞く第3者の立場になればより鮮明です。
「領収書なくしちゃってねえ。」
と言われれば
「他の立証方法はなかったの?」
とか
「なくしたのはミスだったね。」
とか言えるものです。
「負けた」としか言われなければ
「どうして」と相手からさらなる情報を得ない限りは
「それは残念だったね」で終わりです。

そしてこの文脈で
「裁判はやってみないとわからない」
としか思えなければ……と続くわけです。

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cal@nn.iij4u.or.jp  佐々木将人
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ルフィミア「本当に本が出そうなんですか?」
まさと「なんか出そうな感じだよ。」