Re: 「戦場のピアニスト」
Kiwiです。
解釈として成り立つんだからいちいち反論しなくても良いじゃないかと
も思ったのですが、この手のテーマを語るのにあまりに無防備な感じが
したのでいらぬ老婆心から。
Hiroki Kashiwazaki <reo@cc.hokudai.ac.jp> wrote:
|僕はこの作品の残酷さは、死を描かないところにあると思います。僕達に
|とっての戦争のリアリティっていうのは、飛び交う銃弾の中で手足がもげ
|たり、残酷な方法で虐殺する(される)事ではなくて、自分にとって最も
|大切な人々が次々と「いなくなる」事ではないでしょうか。
|
|この作品では、前半に出てくる家族や、中盤に出てくるシュピルマンを助
|けてくれた人々が、後半において何の説明もなく「死んで」しまいます。
・・・・・ちょきちょき・・・・・
|観客が気付かない限り、死にっぱなしというほどに
|突き放された残酷さがそこにある。
ロマン・ポリャンスキーが「死を描かなかった」部分があるとすれば、
それは自分と自分の祖国のひとつが被ったmassacreの中で心情的に描け
ない部分が彼にあったからだ、と言う方が私にはしっくり来ます。
http://www.allcinema.net/prog/show_p.php?num_p=1544
ドキュメンタリー映画『ショアー』の中で、虐殺に荷担させられ、知人
女性を見殺しにしたユダヤ人理髪師が絶句してしまった様子に、この映
画に取り組むロマン・ポリャンスキーの姿が重なって見えます。
http://www.jca.apc.org/~altmedka/shoah.html
|戦争のリアリティに関してもう一つ述べると(戦争の、というより敗戦の、
|ですが)祖国の徹底的な荒廃、というか破壊による絶望というものが挙げ
|られるんじゃないかと思います。
描かれていたのは戦争のリアリティではなく、あくまでもユダヤ人虐殺
のリアリティです。ここを取り違えるのはちと具合が良くないと思いま
すが、ただ。。。
|さらにもう一つ、リアリティの素晴らしさとして述べたいのは、主人公が
|「逃げるだけ」という点です。
あくまで「ユダヤ人虐殺の」リアリティとしてみる限りでは、このご指
摘は当たっている面があると思います。
--
Kiwi / 川島 貴 <kiwi@do-z.net>
http://www.cinemasaloon.com/
Fnews-brouse 1.9(20180406) -- by Mizuno, MWE <mwe@ccsf.jp>
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