工繊大の塚本です.

In article <jt4umf$38l$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> すっすいません。この二つの曲線の"差"とは一体何を意味しているのでしょうか
> (C_{ε_2}-C_{ε_1}がその"差"を意味しているのかもしれませんが)?

積分路の「差」を考えるのは普通行われることです.
 
> 積分で書けば
> ∫_{C_{ε_2}-C_{ε_1}}f_s(u)du
> =∫_{C_{ε_2}}f_s(u)du-∫_{C_{ε_1}}f_s(u)du
> と書けるのですよね。

当然そうなります.
 
> その積分路は
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/graph171.jpg
> となるのですよね。

はい.

> この積分路は確かに単純閉曲線である事は分かりますが,
> 始点と終点が共に点ε_2ですよね。
> でもどのように解釈すればこれと
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/graph174.jpg
> が同じ積分路と見做せるのでしょうか?

 \epsilon_1 と \epsilon_2 が入り混じっているので
駄目ですが, 要はそれは一つの C_\epsilon.
ここで問題にしているのは C_{\epsilon_2} - C_{\epsilon_1}.
重なって向きが逆になっている部分は打ち消しあって消える
と解釈すれば, C_{\epsilon_2} - C_{\epsilon_1}
 = \gamma_{\epsilon_2} + (- [\epsilon_1, \epsilon_2)
   + (- \gamma_{\epsilon_1}) + [\epsilon_1, \epsilon_2]
と考えることに何も問題はありません.

# 但し, u = 0 を分岐点とする関数 f_s(u) を考えているので,
# C_\epsilon の正の実数の部分については, 最初の部分と
# 最後の部分は別のシートの上にあると考えておくのが良い.
 
> でもでも
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/graph174.jpg
> http://www.geocities.jp/sayori_765195/graph171.jpg
> ででもf_s(u)は円周上では相変わらず一価にはならないけど,
> 線積分してもいいのは何故なんでしょうか?

 C_\epsilon の出発する部分の実軸上での u^{s-1} の分枝を
正の実数 u について u^{Re(s) - 1} e^{i Im(s) \log u}
という値を取るものと定めておけば, f_s(u) は C_\epsilon 上での
連続関数として定まりますから, 線積分は定まります.
 C_{\epsilon_2} - C_{\epsilon_1} 上での線積分も同様です.
 
> え゛ーっ??, でっではどのように解釈すればいいんでしょうか?

別に線積分は閉曲線についてだけ考えるものではありません.

> つまり, u^{Re(s)-1} e^{i Im(s) \log u}/(e^u - 1)は
> 偏角が0のf_s(u)という事ですよね?

正の実数 u に対する f_s(u) の一つの分枝をそう表現しても良いでしょう.

> f_s(u)の分子部分がu^{Re(s)-1} e^{i Im(s) log(u)}となるのですよね。

正の実数 u に対する値として, C_\epsilon の最初の部分では
それを取る約束をしています.

> =u^{Re(s)-1} e^{i Im(s) log|u|}
> となってしまったのですが、、

今, u は正の実数ですから, \log |u| = \log u です.

> u^{Re(s)-1} e^{i Im(s) \log u}/(e^u - 1)は分岐ではなく
> 一般岐(?)だと思うのですが、、勘違いしてますでしょうか?

その式に含まれている \log は, 当然, 複素関数に対する
 \log ではなく, 実数に対する指数関数の逆関数としての
正の実数上で定義された実関数の \log です.

# 複素関数だと考えたりすると, \log |u| だって一価では
# ありません.
-- 
塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp