工繊大の塚本です.

In article <ivs9jm$tq$1@dont-email.me>
"Kyoko Yoshida" <kyokoyoshida123@gmail.com> writes:
> lim_{n→∞}n^s n!/Π_{k=0}^n (s+k)ではなく
> Σ_{k=1}^∞|1-exp(-s/k)+s/k exp(-s/k)|が
> 全複素平面上で正則になるというのですね。 

不思議な式を書きますね. 絶対値を取っての和では
実数値を取る関数になりますが, 定数でない実数値
関数は正則にはなりません.

正しい言明は何か, お考えいただくとして,
 
> In article <110708172407.M0116033@ras1.kit.ac.jp>
> Tsukamoto Chiaki <chiaki@kit.ac.jp> writes:
> > e^{\gamma s} z \prod_{k=0}^\infty ((1 + s/k) e^{-s/k})
                 s ですね. 又, \prod_{k=1}^\infty です.

> > は全複素数平面で正則であることが分かる,
> > という話です.
> 
> e^{\gamma s} z \prod_{k=0}^\infty ((1 + s/k) e^{-s/k})
> は 
> exp(s(ln(n)-Σ_{k=1}^n 1/k))/(sΠ_{k=0}^n ((1 + s/k) e^{-s/k}))の事ですね。

違います. \lim_{n \to \infty} の極限を取らないと,
 \lim_{n \to \infty} (\sum_{k=1}^n 1/k - \log(n)) = \gamma \xE3^B^B
 \prod_{k=1}^\infty ((1 + s/k) e^{-s/k}) の無限積も出てきません.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__01.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__02.jpg
> ではlim_{n→∞}[exp(s(ln(n)-Σ_{k=1}^n 1/k))/(sΠ_{k=0}^∞((1 + s/k)e^{-s/k}))]
> の収束までしか分かっていませんが、、
> どうして正則である事まで分かるのでしょうか?

無限乗積 \prod_{n=1}^\infty (1 + a_n(s)) は
正則関数 a_n(s) に対して |a_n(s)| \leq M_n となる
数列 { M_n }_{n=1}^\infty で
 \sum_{n=1}^\infty M_n が収束するものがあれば
絶対収束して(一様収束して)正則関数となることについては,
岩波講座 現代数学への入門「複素関数入門」神保道夫著 を
お読み下さい.

> 分子についてはlim_{n→∞}exp(s(ln(n)-Σ_{k=1}^n 1/k))=exp(sγ) (但し,γはEuler数)

 \gamma の定義を良く見てください.
 \lim_{n \to \infty} \exp(s(\log(n) - \sum_{k=1}^n 1/k)
 = \exp(- \gamma s) です.

> なので∀s∈Cにて微分できる事は分かりますが
> 分母についてはlim_{n→∞ }sΠ_{k=0}^n ((1 + s/k) e^{-s/k})が
> ∀s∈Cにて微分できる事はどうして分かるのでしょうか?
 
岩波講座 現代数学への入門「複素関数入門」神保道夫著 を
良くお読み下さい.

> > \lim_{n \to \infty} n^s n!/\prod_{k=0}^n (s+k) の式そのままで
> > s = 0 を放り込んで議論することには意味がありません.
> 
> どうしてでしょうか? ちゃんとs=0の時はどうなるか確かめただけなのですが、、、
> s=0の時の議論は単にtrivialなだけだと仰るでしょうか?

 \int_0^\infty u^{s-1} e^{-u} du が \Gamma(s) の表示となるのは
 Re(s) > 0 の時だけです.

   \int_0^\infty u^{s-1} e^{-u} du
    = \lim_{n \to \infty} \int_0^n u^{s-1} (1 - u/n)^n du
    = \lim_{n \to \infty} n^s n!/(\prod_{k=0}^n (s + k))

から, 最後の極限が Re(s) > 0 では \Gamma(s) の表示であることは
分かりますが, この極限に Re(s) > 0 より広い範囲での意味が
あることを示さない限り, Re(s) > 0 を満たさない点,
例えば s = 0 で適用しても無意味です.

> そしてlim_{n→∞}n^sn!/Π_{k=0}^n(s+k)はC\setminus{0,-1,-2,…}で収束するので

収束は Weierstrass の乗積表示に書き換えて,
初めて分かることですから,
 Weierstrass の乗積表示にする前の極限の形で
議論するのでは意味が有りません.

> 題意をFor∀s∈C\setminusZ^-\setminus{0}に訂正すべきではないでしょうか?

意味不明です.

> > Weierstrass の乗積表示に帰着して議論するしかありませんが,
> > 最後の行への変形に計算間違いがあります.
> >  (1 + s/k) e^{-s/k} (= e^{-s/k} + (s/k) e^{-s/k})
> >   = 1 + ((1 + s/k) e^{-s/k} - 1)
> >  (= 1 + (-1 + e^{-s/k} + (s/k) e^{-s/k}))
> > は 1 + 1 - e^{-s/k} + (s/k) e^{-s/k} とは違います.
> 
> そうでした。有難うございます。

しかし,

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__01.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__02.jpg

のどちらも訂正されていませんね.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__03.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__04.jpg

と訂正するなら, 投稿の際に

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__01.jpg
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_93__02.jpg

の引用を削除するように.

> と自分なりに改良してみたのですがこれではいけませんでしょうか?

そこでの問題は \lim_{n \to \infty} s \prod_{k=1}^n ((1 + s/k)\exp(-s/k))
が 0 にならないといった間違ったことが書いてあることです.
 s \neq 0 としても, s = -1, -2, \dots では上の無限乗積の値は 0 と
なります.

> > 一般に, 有理形関数 f(s) の m 位の極 s_0 の近傍に於いて
> > Laurent 展開
> >  f(s)
> >   = a_{-m} (s - s_0)^{-m} + a_{-m+1} (s - s_0)^{-m+1} + \cdots
> >     + a_{-1} (s -s _0)^{-1} + a_0 + a_1 (s - s_0) + a_2 (s - s_0)^2 +
> > \cdots
> >   = (s - s_0)^{-m} (a_{-m} + a_{-m+1} (s - s_0) + \cdots
> >                     + a_{-1} (s - s_0)^{m-1} + a_0 (s - s_0)^m
> >                     + a_1 (s - s_0)^{m+1} + a_2 (s - s_0)^{m+2} + \cdots
> >   = (s - s_0)^{-m} g(s)
> 
> このように因数分解できますね。
> 
> > を考えると, g(s) は g(0) = a_{-m} \neq 0 の正則関数であり,

失礼, g(s_0) = a_{-m} \neq 0 の正則関数, です.
 
> これはg(s)はs=0で微分可能という意味ですよね。

 s = s_0 で, です.

> どうして正則関数と分かるのでしょうか?

収束するベキ級数で表される関数であるからです.

> d/ds g(s)
> =d/ds a_{-m} +d/ds a_{-m+1} (s - s_0) + d/ds … 
>           + d/ds a_{-1} (s - s_0)^{m-1} + a_0 (s - s_0)^m
>                    + d/ds a_1 (s - s_0)^{m+1} + d/ds a_2 (s - s_0)^{m+2}
> + … 
> がs=0で一様収束である事はどうすれば示せるのでしょうか?

「 s = 0 で一様収束」というのは無意味ですが,
それはさておき.

 \sum_{n=0}^\infty a_n (s - s_0)^n が 0 でない収束半径を
持っていたのですから, g(s) の収束半径も 0 でなく,
収束円の内部では g(s) は正則です.

> > 1/f(s) = (s - s_0)^m (1/g(s)) ですから,
> 
> これはs=s_0の周り(s_0の近傍でs_0を除いた開領域)でf(s)≠0
> 且つg(s)≠0でなければ逆数は採れませんよね。

 g(s_0) \neq 0 ですから, s = s_0 のある近傍で
 g(s) \neq 0 です.
 s = s_0 の近くの s = s_0 以外の点で
 1/f(s) = (s - s_0)^m (1/g(s)) が成立し,
右辺は s = s_0 を含めて s = s_0 の近くで正則ですから,
 1/f(s) は s = s_0 まで正則に延長されます.

> s=s_0の周りでf(s)≠0且つg(s)≠0である事はどうすれば言えるのでしょうか?

 f(s) \neq 0 の方は要りません.
 g(s) \neq 0 は条件より自明.

> > 1/g(s) が s = s_0 のまわりで正則であるので,
> 
> 1/g(s)=1/f(s) (s-s_0)^-mで 

どうして元に戻してしまうのか.

> 今,f(s)はs=s_0で極を持つ(s=s_0は孤立特異点)のでs=s_0の近傍で正則でしかも
> s=s_0は孤立特異点なのでs=s_0の周り(s=s_0の近傍でs≠s_0の開領域)で正則なので
> 確かに(1/g(s)=)1/f(s) (s-s_0)^-mはs=s_0の周りで正則となりますね。

今は s = s_0 を含めた s = s_0 の近傍での話をしています.
 
> > 1/f(s) は s = s_0 で m 位の零点を持つ正則関数になります.
> 
> m位の零点とはつまり,s=s_0で1/f(s_0)=0で
> d^m/ds^m 1/f(s)|_{s=s_0}≠0 となるという事ですよね。
> 今,1/f(s) = (s - s_0)^m (1/g(s))だから確かに1/f(s_0)=0となりますが
> 両辺をf(s_0)倍すると1=0・f(s_0)で1=0と矛盾が生じてしまいますが
> これはどういう風に理解すればいいのでしょうか?

 f は s = s_0 を m 位の極としていたのですから,
 s = s_0 での値 f(s_0) などというものは有りません.
# f(s_0) は無限遠点である, という考え方はありますが.

> そしてd^m/ds^m 1/f(s)|_{s=s_0}≠0である事を確かめたいのですが
> d^m/ds^m 1/f(s)はどのように書けますでしょうか?

 Leibniz の公式を使えばよいでしょう.

  (d^m/ds^m)((s - s_0)^m (1/g(s)))
   = \sum_{k=0}^m
      { m \choose k } (d^{m-k}/ds^{m-k})((s - s_0)^m) (d^k/ds^k)(1/g(s)).

> > もっとも今の場合話は逆で, Weierstrass の乗積表示
> > e^{\gamma s} z \prod_{k=0}^\infty (1 + s/k) e^{-s/k}
                 s です. 又, \prod_{k=1}^\infty です.
 
> Weierstrass の乗積表示とはlim_{n→∞}Π_{k=0}^n(s+k)/(n^s n!)の事ですよね。

違います.

  1/\Gamma(s) = e^{\gamma s} s \prod_{k=1}^\infty ((1 + s/k) e^{-s/k})

のことです.

> どうして
> lim_{n→∞}Π_{k=0}^n(s+k)/(n^s n!)
> =(exp lim_{n→∞}Σ_{k=1}^n 1/n-ln(n))zΠ_{k=0}^∞((1+s/k)exp(-s/k))
> と書き直せるのでしょうか?

それが分からないまま, これまで議論されていたのですか.
因みに, 正しくは,

  \lim_{n \to \infty} (\prod_{k=0}^n (s + k))/(n^s n!)
   = \lim_{n \to \infty} (s \prod_{k=1}^n (k (1 + s/k)))/(n^s n!)
   = \lim_{n \to \infty} (s n! \prod_{k=1}^n (1 + s/k))/(n! \exp(s \log n))
   = \lim_{n \to \infty} (s \prod_{k=1}^n ((1 + s/k) \exp(-s/k) \exp(s/k)))
                         \times \exp(- s \log n)
   = \lim_{n \to \infty} (s \prod_{k=1}^n ((1 + s/k) \exp(-s/k)))
                         \times (\exp(- s \log n) \prod_{k=1}^n \exp(s/k))
   = \lim_{n \to \infty} (s \prod_{k=1}^n ((1 + s/k) \exp(-s/k)))
                         \times \exp(s (\sum_{k=1}^n (1/k) - \log n))
   = \exp(s \lim_{n \to \infty} (\sum_{k=1}^n (1/k) - \log n))
     \times s \prod_{k=1}^\infty ((1 + s/k) \exp(-s/k))

です.

> そしてzとは何なのでしょうか?

これは失礼. s です.

> > が全複素数平面で正則な関数であることが先ず分かり,
> 
> (exp lim_{n→∞}Σ_{k=1}^n 1/n-ln(n))zΠ_{k=0}^∞((1+s/k)exp(-s/k))
> のzがsの事ならlim_{n→∞}Σ_{k=1}^n 1/n-ln(n)はEuler constantなので
> 後はΠ_{k=0}^∞((1+s/k)exp(-s/k))部分が微分可能なら
> (exp lim_{n→∞}Σ_{k=1}^n 1/n-ln(n))zΠ_{k=0}^∞((1+s/k)exp(-s/k))が
> 正則である事は分かるのですが
> その為にΠ_{k=0}^∞d/ds((1+s/k)exp(-s/k))が
> 全複素平面上で一様収束である事を言わねばなりませんよね。

その必要はありません. 全複素数平面上で広義一様収束であれば
十分です.

> どうすれば言えますでしょうか?

任意の正数 R について, |s| \leq R においては
 |(1 + s/k) \exp(-s/k) - 1| \leq M/k^2 となる M が
取れたのですから, |s| \leq R では一様収束です.

> > それを W(s) とすると, W(s) は s = 0, -1, -2, \dots で
> > 1 位の零点を持つことが分かります.
> 
> これはWeierstrass の乗積表示の定義式lim_{n→∞}Π_{k=0}^n(s+k)/(n^s n!)から
> s=0,-1,-2,…で零点を持つ事は明らかですね。

だからそれは Weierstrass の乗積表示ではないし,
その形では正則関数になることも分からないので,
駄目です.

発散する無限乗積 \prod_{k=0}^\infty (s + k) になるものを
発散する n^s n! で割って, Re(s) > 0 でないところで意味がある
と考えるのが間違っています.

> つまり,Re(s)>0では
> lim_{n→∞}Π_{k=0}^n(s+k)/(n^s n!)=1/∫_0^∞t^{s-1} e^{-t} dt
> が成立つという訳ですね。
> これは今,全複素平面上で1/Γ(s)=lim_{n→∞}Π_{k=0}^n(s+k)/(n^s n!)の関係にある訳で

だから, その形では駄目です. Re(s) > 0 という限定を
外すには, Weierstrass の乗積表示に書き直す必要があります.

> つまり,
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop199_96__00.jpg
> という事ですよね。
> どのようにしてz=aでfが1位の極を持つ事が示せますでしょうか?

 f(z) = \sum_{n=1} a_n (z - a)^n, a_1 \neq 0 であれば,
 f(z) = (z - a) \sum_{n=0}^\infty a_{n+1} (z - a)^n であり,
 g(z) = \sum_{n=0}^\infty a_{n+1} (z - a)^n という
 g(a) = a_1 \neq 0 となる正則関数の逆数の正則関数を
 1/g(z) = \sum_{n=0}^\infty b_n (z - a)^n と Taylor 展開すれば,
 b_0 = 1/a_1 \neq 0 であり,

  1/f(z)
   = (z - a)^{-1} (1/g(z))
   = (z - a)^{-1} \sum_{n=0}^\infty b_n (z - a)^n
   = b_0 (z - a)^{-1} + \sum_{n=1}^\infty b_n (z - a)^{n-1}
   = b_0 (z - a)^{-1} + \sum_{n=0}^\infty b_{n+1} (z - a)^n

が 1/f(z) の Laurent 展開を与えるので,
 1/f(z) は z = a を 1 位の極としていることが分かります.
 
> > 因みに, \Gamma(s) の表示の仕方は Weierstrass の乗積表示には
> > 限りません. \Gamma(s) が s = 0, -1, -2, \dots で 1 位の極を
> > 持つことには別の分かりやすい説明もあります.
> 
> それはどのような説明でしょうか?

 Re(s) > 0 において,
 \int_0^\infty u^{s+1-1} e^{-u} du = s \int_0\infty u^{s-1} e^{-u} du
が成立するので, その解析接続である \Gamma(s) は
 \Gamma(s+1) = s \Gamma(s) という関数等式を満足します.
 \Gamma(s) = (1/s) \Gamma(s+1) = (1/(s(s+1))) \Gamma(s+2)
 = \cdots = (1/(s(s+1)(s+2)\cdots(s+N-1))) \Gamma(s+N)
となり, Re(s) > - N で, \Gamma(s+N) は正則関数ですから,
 s = 0, -1, \dots, -N+1 で \Gamma(s) が 1 位の極を持つことが
わかります. N は任意の自然数と出来ますから,
 \Gamma(s) が非正の整数 s で 1 位の極を持つことが分かります.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__34.jpg
> という具合にしてみたのですが

先ず,

> Σ_{a=1}^{N-1}χ(a)1/[N^s lim_{n→∞}n^s
> n!/Π_{k=0}^n(s+k)][Σ_{n=0}^∞(-1)^n B_n(a/N)/(n!(s+n-1))+∫_1^∞
> u^{s-1}exp(-au/N)/(1-exp(-u)) du]

この変形は, Re(s) > 0 での話をするときには使いません.

> =Σ_{n=1}^N χ(n)/(0・N+n)^s + Σ_{m=1}^∞Σ_{n=1}^N χ(n)/(mN+n)^s
> と 

自然数 n を n = m N + k と N で割った商 m と余り k で書くことにすれば,
 n が N で割り切れるときは \chi(n) = 0 であることに注意して,

  \sum_{n=1}^\infty \chi(n)/n^s
   = \sum_{m=0}^\infty (\sum_{k=1}^{N-1} \chi(m N + k)/(m N + k)^s)
   = \sum_{m=0}^\infty (\sum_{k=1}^N \chi(k)/(m N + k)^s)

となります. これは, 一般に, 収束する級数 \sum_{n=0}^\infty a_n
について,

  \sum_{n=0}^\infty a_n
   = \sum_{m=0}^\infty (\sum_{k=0}^{N-1} a_{m N + k})

となることによります.

さて, 今, \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k) = 0 でしたから,

> Σ_{m=1}^∞|Σ_{n=1}^N χ(n)(1/(mN+n)^s-1/(mN)^s)|
> =Σ_{m=1}^∞|Σ_{n=1}^N χ(n)[-s/x^{s+1}]_{mN}^{mN+n}|
> の変形はどうしてできるのでしょうか?

  \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)/(m N + k)^s
   = \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)(1/(m N + k)^s - 1/(m N)^s)
   = \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k) [1/(m N + t k)^s]_{t=0}^{t=1}

となります. 更に,

   = \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k) \int_0^1 (d/dt)(1/(m N + t k)^s) dt
   = \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k) \int_0^1 (-s) k/(m N + t k)^{s+1} dt

となり,

> あと,
> Σ_{m=1}^∞|Σ_{n=1}^N χ(n)∫_{mN}^{mN+n}s/x^{s+1}dx|
> ≦Σ_{m=1}^∞Σ_{n=1}^N |s| 1/(mN)^{s+1}
> ≦Σ_{m=1}^∞Σ_{n=1}^N |s|/m^{Re(s)+1}
> と 
> N|s|Σ_{m=1}^∞(1/m)^{Re(s)+1}≦N|s|(1+1/Re(s))
> の不等号はどうして成立つのでしょうか?

  |\sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)/(m N + k)^s|
   \leq \sum_{k=1}^{N-1} |\chi(k)| |\int_0^1 (-s) k/(m N + t k)^{s+1} dt|
   \leq \sum_{k=1}^{N-1} \int_0^1 |s| k/(m N)^{Re(s)+1} dt
   \leq ((\sum_{k=1}^{N-1} k)/N^{Re(s)+1}) |s|/m^{Re(s)+1}
   \leq N |s|/m^{Re(s)+1}

となります. 従って, 

  \sum_{m=2}^\infty |\sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)/(m N + k)^s|
   \leq \sum_{m=2}^\infty N |s|/m^{Re(s)+1}
   \leq N |s| \int_1^\infty 1/u^{Re(s)+1} du
      = N |s| [-(1/Re(s)) 1/u^{Re(s)]_1^\infty
      = N |s| (1/Re(s))

となるわけです.

> それからどうして
> Σ_{m=1}^∞f_m(s)が{s∈C;|s|≦C,Re(s)≧C'} for ∀C,C'∈R^+で一様収束する事

 |s| \leq C, Re(s) \geq C' > 0 なら,
正則関数 \sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)/(m N + k)^s に対して
 |\sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)/(m N + k)^s| \leq N C/m^{C'+1} であり,
 \sum_{m=1}^\infty N C/m^{C' + 1} は収束しますから,
 Weierstrass の優級数判定法により,
 \sum_{m=1}^\infty (\sum_{k=1}^{N-1} \chi(k)/(m N + k)^s) \xE3^A\xAF
一様収束していて, 正則関数になります.

> と 
> Σ_{m=1}^∞f_m(s)が{s∈C;Re(s)>0}で収束&正則となるのは
> どうして分かるのでしょうか?

収束は広義一様で, Re(s) > 0 となる s に対しては
適当な C, C' > 0 を |s| < C, Re(s) > C' となるように
取れますから, s の近くでは正則関数になります.

> そして今,題意は
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__35.jpg
> なのですが(3)の丸3で全複素平面でのL(s,χ)の正則性の証明を要求してます。

はい.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__34.jpg
> ではs∈{s∈C;Re(s)>0}での議論に留まっているようですが
> s∈{s∈C;Re(s)≦0}でのL(s,χ)の正則性はどのようにして証明すればいいのでしょうか?

それは元々, \chi に何の条件が無くても,
 L(s, \chi) は高々 s = 1 にのみ極を持つ
複素数平面全体での有理形関数であったのですから,
 Re(s) \leq 0 で正則であることは分かっているわけです.

> > はちゃんと書いてあることですが,
> > 任意の \chi に対して L(s, \chi) が高々 s = 1 のみを極とする
> > 全複素数平面での有理形関数になることと,
> 
> (2)の丸3ですね。
> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/prop3_15__36.jpg
> となったのですが

何故 s で微分しているのでしょう.
 s で微分しているのに \chi(a) のような定数の微分を
計算せずに残しているのはどうしてでしょう.

ともあれ, L(s, \chi) は高々 s = 1 のみを極とする
全複素数平面での有理形関数 \zeta_{\equiv a (N)}(s) らの
一次結合 \sum_{a=1}^{N-1} \chi(a) \zeta_{\equiv a (N)}(s)
として表されているのですから, やはり L(s, \chi) が
高々 s = 1 のみを極とする全複素数平面での有理形関数になっている
のは明らかです.

> s=1のみで極を持つ事はどうすれば示せますでしょうか?

それ以外の点では正則な関数 \zeta_{\equiv a (N)}(s) らの
スカラー \chi(a) 倍の有限和ですから正則です.

> > \chi: (Z/nZ)^\times \to C^\times の像が { 1 } でないなら,
> > \sum_{n=1}^\infty \chi(n)/n^s は Re(s) > 0 で定義された
> > 正則関数を表すことは,
> > 御理解いただけているのでしょうか.
> 
> えっ? すいません。どうして正則関数を表すのでしょうか?

上で示したばかりですね.

> http://beauty.geocities.jp/yuka26076/study/Number_Theory/def__13.jpg
> と訂正すればよいのですね。 

最後の行は "and" でなく "or" であり,
条件は \chi((Z/NZ)^\times) \neq { 0 } でなく \neq { 1 } です.
そういう肝心なところを間違ってはいけません.

# \Gamma(s) をそんな風に書いてはいけないということも繰り返して
# おきましょうか.
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塚本千秋@数理・自然部門.基盤科学系.京都工芸繊維大学
Tsukamoto, C. : chiaki@kit.ac.jp